「京都の出版社に聞く」開催報告(第10回)
京都府立京都学・歴彩館では、京都の出版社の方に、自社のことや刊行している出版物のこと、ご自身の日々の仕事内容等についてご講演いただく、「京都の出版社に聞く」を開催しています。第10回目として、法律文化社の方をお招きして開催しましたので、下記のとおり報告します。
※令和2年3月に開催予定でしたが、新型コロナウィルスの影響で、延期して実施されたものです。
- 日時
令和2年11月8日(日曜)14時00分~15時30分
- 場所
京都府立京都学・歴彩館1階 小ホール
- 参加者数
20名
- 内容
講演 株式会社法律文化社 代表取締役兼社長 田靡純子氏
法律文化社は、法律を中心とした人文社会科学分野の学術書、大学生向けの教科書を出版しています。
昭和21(1946)年に吉川大二郎氏が創刊した雑誌『法律文化』を前身とし、昭和23(1948)年に株式会社法律文化社となりました。
「新たな学問動向を踏まえた書籍、その時どきの時代の問題を反映した争点を提起するような書籍、大学教育に対応した教科書等の刊行」「学術文化の向上と発展は社会の羅針盤として不可欠なものと位置づけ、出版を通して社会に寄与していく」という理念をもって出版してきました。創立記念出版企画(50周年、60周年)として出版された『民事保全講座』『講座 人権論の再定位』の出版意図や、大学設置基準の改正や大学進学率の高まりなど、大学をめぐる情勢を反映した教科書の変容、共謀罪や安全保障法制等の社会の動きに警鐘を打つ出版などについてお話されました。
ご自身の編集者人生について、学生時代のアルバイトから大学卒業後入社し、現在に至るまで、節目となった本のお話なども交えて紹介していただきました。
また、学問について、そのまま知識として出すのではなく、本質・芯にあるものを伝えることや、現実の政治・社会に追従するのでなく独立したものとして提起していくことが大切だと考えており、今後も、そういった精神は受け継いでいきたいと語られました。
- 当日の様子
質疑応答では、北山駅近くの本社に何度も本を買いに行っていた方からの期待を込めたご要望や、講義を聞いて社会の動きに対して改めて自分の考えを持つことの重要性を感じ、今後もそのような本を出して欲しいというお声がありました。
展示資料は、当館所蔵資料に加え、法律文化社様にも資料をご持参いただき、参加者は講演中に取り上げられた本などを中心に興味深く閲覧されました。
また、アンケートでは、「資料と話題の進め方が明瞭で分かりやすかったです。今後も貴社の出版理念に沿った良質な書籍を出版しつづけて下さい。」「久々の「京都の出版社に聞く」楽しかったです。大変面白い内容で、参考になりました。」などの声を頂きました。