○文化がきる京都の推進に関する条例

令和6年7月8日

京都府条例第31号

文化がきる京都の推進に関する条例をここに公布する。

文化がきる京都の推進に関する条例

京都は、長い日本の歴史における政治と文化の中心地として、四季折々の自然や気候風土と関わりながら独自の文化を育み、我が国の文化的経済的な発展に重要な役割を果たしてきた。そこでは、古くから国内外との多様な交流が活発に行われ、先人たちは、異なる文化を背景にした様々な考え方、新しい技術等を受け入れ、自らの文化を更に発展させることを繰り返す中で、現在にまで通じる京都の人々の「こころ」が培われていくこととなった。こうして育まれた京都の文化は、長く人々の暮らしの基盤となり、豊かな人間性をかん養し、地域への誇りや愛着を醸成するとともに、新しい価値の創造や技術革新の原動力となってきた。

そして、京都においては、現在では国宝、重要文化財等となっている多くの文化財、能、狂言等の伝統芸能及び茶道、華道、書道、衣食等の暮らしに根差した生活文化、並びにこれらを基盤とする伝統産業が生まれ、受け継がれてきた。さらに、南北に広がる府内の全域を見渡せば、様々な歴史的文化的地理的諸条件の下に、人々の暮らしと密接に関係し、地域社会における人と人との有機的な関わり合いの中で育まれた伝統芸能、祭り等、多様で個性があふれる地域文化が府内各地域それぞれの魅力を創り出しており、これらは、総じて、京都の文化の力として国内外の人々をき付ける強みともなっている。

また、これら京都の文化の力は、大学等による知の集積をもたらすとともに、京都の人々の進取の気質と相まって、多くのベンチャー企業を輩出し、伝統産業を基盤とした企業や世界規模で活躍する企業を生み出すなど、京都が、現代日本においても文化的経済的な基盤の一端を担っていることの源泉となっており、私たちは、今後もそうした役割を果たしていきたいと考える。

そのためには、全ての府民が大切に受け継いできた京都の文化に誇りと愛着を持って生活することができ、及び、企業活動を含めて、府民の多様な文化的経済的諸活動に京都の文化の力をかしていく取組の一層の推進が重要である。

このような認識の下に、社会のあらゆる分野において、京都の文化が将来にわたって継承され、現在及び将来の府民の間で大切に育まれるとともに、京都の文化に親しみ、及び京都の文化を学び、新たな価値が持続的に創造される文化がきる京都を推進することにより、京都の文化の力で地域の活性化、産業の振興その他社会の持続的な発展に寄与し、並びに人と人とのきずなが大切にされ、及び心豊かに暮らせる温かい京都を築き、もって国内はもとより世界に貢献していく京都の実現を目指して、この条例を制定する。

(定義)

第1条 この条例において「文化がきる京都の推進」とは、社会のあらゆる分野において、京都の文化(京都において創造され、又は継承されてきた文化及びその文化的所産をいう。以下同じ。)が継承され、府民の間で大切に育まれるとともに、京都の文化に親しみ、及び京都の文化を学ぶことができる機会が提供されることその他京都の文化をかした多様な取組が実施されることで新たな価値が持続的に創造される社会の実現に資する施策の推進をいう。

(基本理念)

第2条 文化がきる京都の推進は、京都の文化の力を府民の多様な文化的経済的諸活動にかしていくことが、地域の活性化、産業の振興その他社会の持続的な発展に寄与し、並びに人々の相互理解及び心豊かに暮らせる温かい生活の実現に資するものであることについての国内外の理解を深めることを旨として、行われなければならない。

 文化がきる京都の推進は、府民の自主性を尊重しつつ、府民が京都の文化に誇りと愛着を持って生活し、及び活動することができるよう、行われなければならない。

 文化がきる京都の推進は、国内外の多様な機会を通じて、京都の文化の力が国内外の交流の促進に資するよう、行われなければならない。

 文化がきる京都の推進は、文化芸術、観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業その他の社会のあらゆる分野における有機的な連携が図られるよう、行われなければならない。

(府の責務)

第3条 府は、前条に定める基本理念にのっとり、文化がきる京都の推進に関する総合的かつ効果的な施策を策定し、及び実施するものとする。

 府は、前項の規定による施策の策定及び実施に当たっては、次に掲げる事項に留意するものとする。

(1) 国をはじめ国内外の文化に関する施策の推進に寄与するものとなるよう取り組むこと。

(2) 文化がきる京都の推進において、府民、事業者並びに国及び市町村(以下「府民等」という。)が果たす役割の重要性に鑑み、それぞれの役割を踏まえた必要な情報の提供その他の必要な支援を行うとともに、府と府民等との間及び府民等相互間の連携の確保に努めること。

(基本指針)

第4条 府は、文化がきる京都の推進の総合的かつ効果的な実施を図るための基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めるものとする。

 基本指針には、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 文化がきる京都の推進に関する基本的な方向に関する事項

(2) 文化がきる京都の推進を総合的かつ効果的に実施するために必要な事項

(3) 文化芸術基本法(平成13年法律第148号)第7条の2第1項に規定する文化芸術の推進に関する事項

(4) その他文化がきる京都の推進に関する重要事項

 府は、基本指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、文化がきる京都推進審議会の意見を聴くとともに、府民の意見を反映させるために必要な措置を講じるものとする。

 府は、基本指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

(連携協力体制の整備)

第5条 府は、府民等その他の関係者と連携し、及び協力して、文化がきる京都の推進を効果的に実施するための体制を整備するものとする。

(文化がきる京都推進審議会)

第6条 第4条第3項の規定による知事の諮問のほか、文化がきる京都の推進に関する重要事項の調査審議を行わせるため、文化がきる京都推進審議会(以下この条において「審議会」という。)を置く。

 審議会は、前項の規定による調査審議のほか、文化がきる京都の推進に関する事項について、知事に建議することができる。

 審議会は、委員20人以内で組織する。

 委員は、学識経験を有する者その他適当と思われる者のうちから、知事が任命する。

 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(調査研究)

第7条 府は、文化がきる京都の推進に関する施策の策定及び実施に必要な調査研究を行うものとする。

(財政上の措置)

第8条 府は、文化がきる京都の推進に関する施策の実施に必要な財政上の措置を講じるものとする。

(施行期日)

 この条例は、公布の日から施行する。

(京都府文化力による未来づくり条例の廃止)

 京都府文化力による未来づくり条例(平成30年京都府条例第27号)は、廃止する。

(京都府文化力による未来づくり条例の廃止に伴う経過措置)

 この条例の施行の際現に前項の規定による廃止前の京都府文化力による未来づくり条例第27条第1項の規定により置かれている京都府文化力による未来づくり審議会(以下「旧審議会」という。)は、文化がきる京都推進審議会となり、同一性をもって存続するものとする。

 この条例の施行の際現に旧審議会の委員である者は、この条例の施行の日に、第6条第4項の規定により文化がきる京都推進審議会の委員として任命されたものとみなす。この場合において、その任命されたものとみなされる委員の任期は、同条第5項の規定にかかわらず、同日における旧審議会の委員としての任期の残任期間と同一の期間とする。

 前2項に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な経過措置は、規則で定める。

文化が活きる京都の推進に関する条例

令和6年7月8日 条例第31号

(令和6年7月8日施行)