○京都府森林水源地域の保全等に関する条例
平成30年3月30日
京都府条例第22号
京都府森林水源地域の保全等に関する条例をここに公布する。
京都府森林水源地域の保全等に関する条例
目次
第1章 総則(第1条―第8条)
第2章 重点森林水源保全地区(第9条)
第3章 取水の許可等(第10条―第16条)
第4章 権利移転等の契約の事前届出等(第17条―第20条)
第5章 京都府森林水源地域保全審議会(第21条)
第6章 雑則(第22条・第23条)
第7章 罰則等(第24条―第27条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、水が府民の生活のみならず、京都の伝統的な文化及び産業を支える府民共通の貴重な財産であることに鑑み、森林水源地域の保全に関し、基本理念を定め、府、取水する事業者、土地所有者等及び府民の責務を明らかにするとともに、森林水源地域における土地の利用及び取水の適正な実施について必要な事項を定めることにより、森林水源地域の有する水源の涵養の機能(以下「水源涵養機能」という。)の維持を図り、もって豊かな水資源を将来にわたって確保することを目的とする。
(1) 森林水源地域 森林法(昭和26年法律第249号)第2条第1項に規定する森林の存する地域及び水源の涵養の観点から当該地域と密接に関連する地域をいう。
(2) 土地所有者等 森林水源地域内の土地に関する所有権又は地上権その他の規則で定める使用及び収益を目的とする権利(以下「土地に関する権利」という。)を有する者をいう。
(基本理念)
第3条 森林水源地域の保全は、森林水源地域の有する水源涵養機能が府民の生活のみならず、京都の伝統的な文化及び産業を支える豊かな水資源の確保に欠かすことができないものであるという基本的認識の下で、府民が将来にわたって豊かな水の恵みを享受し、安心して豊かな生活を営むとともに、伝統的な文化及び産業を継承することができるよう、当該地域の自然環境等に配慮しつつ、当該地域の特性に応じて推進されなければならない。
2 森林水源地域の保全は、府、事業者、土地所有者等、府民、市町村及び国の適切な役割分担と協働の下、それらの積極的な取組により推進されなければならない。
(府の責務)
第4条 府は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、森林水源地域の保全に関する総合的な施策を策定し、及び実施するものとする。
2 府は、前項の規定による施策の策定及び実施に当たっては、市町村及び国と連携して取り組むものとする。
(森林水源地域において取水する事業者の責務)
第5条 森林水源地域において取水する事業者は、基本理念にのっとり、森林水源地域の有する水源涵養機能の維持に配慮して取水し、又は土地を利用するよう努めるとともに、自ら率先して森林水源地域の保全に努めなければならない。
2 森林水源地域において取水する事業者は、府が実施する森林水源地域の保全に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(土地所有者等の責務)
第6条 土地所有者等は、基本理念にのっとり、その所有し、占有し、又は管理する土地の利用に当たっては、その土地の有する水源涵養機能の維持に留意するよう努めるとともに、府が実施する森林水源地域の保全に関する施策に協力しなければならない。
(府民の責務)
第7条 府民は、基本理念にのっとり、森林水源地域の保全に関する理解を深め、森林水源地域の保全に積極的な役割を果たすよう努めるとともに、府が実施する森林水源地域の保全に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(情報の提供等)
第8条 府は、事業者、土地所有者等及び府民が森林水源地域の保全に関する理解を深め、森林水源地域の保全のための活動に自主的に取り組むことができるよう、情報の提供、啓発等の必要な施策を講じるものとする。
第2章 重点森林水源保全地区
(重点森林水源保全地区の指定等)
第9条 知事は、森林水源地域のうち、水源涵養機能を考慮して土地の利用又は取水について特に適正な実施を図る必要があると認める区域を、その区域を所管する全ての市町村長の提案を受けて、重点森林水源保全地区として指定することができる。
2 知事は、前項の規定によるほか、特に必要があると認めるときは、重点森林水源保全地区を、あらかじめ、当該重点森林水源保全地区を所管する全ての市町村長の同意を得て指定することができる。
3 知事は、重点森林水源保全地区を指定しようとするときは、あらかじめ、京都府森林水源地域保全審議会の意見を聴かなければならない。
4 知事は、重点森林水源保全地区を指定しようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、その旨及びその区域を公告し、当該重点森林水源保全地区の指定の案を当該公告の日から起算して1月間縦覧に供するものとする。
5 重点森林水源保全地区の指定の案に意見がある者は、前項の縦覧期間満了の日までに、知事に理由を付した意見書を提出することができる。
6 知事は、前項の規定により重点森林水源保全地区の指定の案に異議がある旨の意見書の提出があったときその他重点森林水源保全地区の指定に関し広く意見を聴く必要があると認めるときは、公聴会を開催するものとする。
7 知事は、重点森林水源保全地区を指定したときは、規則で定めるところにより、その旨及びその区域を告示するとともに、当該重点森林水源保全地区を所管する全ての市町村長に通知するものとする。
8 前各項の規定は、重点森林水源保全地区の指定の変更及び解除について準用する。
第3章 取水の許可等
(取水の許可)
第10条 重点森林水源保全地区において揚水機等の取水するための設備(以下「取水設備」という。)であって吐出口の断面積(吐出口が2以上あるときは、その断面積の合計。以下同じ。)が19平方センチメートルを超えるものにより取水する方法その他規則で定める方法で取水しようとする者(以下「取水予定者」という。)は、知事の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる取水については、この限りでない。
(1) 田畑等のかんがいの用に供するための取水
(2) 生活の用に供するための取水
(3) 国、地方公共団体その他規則で定める者が行う取水
(4) 前3号に掲げるもののほか、規則で定める取水
2 前項の許可を受けようとする者は、規則で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を知事に提出しなければならない。
(1) 取水予定者の氏名及び住所(法人にあっては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)
(2) 取水設備の設置の場所
(3) 取水設備のストレーナーの位置
(4) 取水設備の吐出口の断面積及び原動機の出力
(5) 取水する量
(6) 取水の目的
(7) 取水の期間
(8) 取水する地点の周辺地域における取水の状況
(9) 森林水源地域の有する水源涵養機能の向上若しくは維持のための活動又はその支援の実績又は予定
(10) 前各号に掲げるもののほか、規則で定める事項
3 前項の申請書には、取水設備の設置の場所を示す図面を添付しなければならない。
5 知事は、第1項の許可をしようとするときは、京都府森林水源地域保全審議会の意見を聴くものとする。
(廃止等の届出)
第12条 第10条第1項の許可を受けた者は、当該許可に係る取水を廃止し、若しくは休止し、又は休止した当該許可に係る取水を再開したときは、遅滞なく、規則で定めるところにより、その旨を知事に届け出なければならない。
(勧告)
第14条 知事は、重点森林水源保全地区における取水が、当該取水をする地点の周辺地域の生活環境等に著しい影響を与え、又は与えるおそれがあると認めるときは、当該取水をしている者に対し、期限を定めて必要な措置を講じるよう勧告することができる。この場合において、知事は、京都府森林水源地域保全審議会の意見を聴くものとする。
(取水の中止等の措置命令)
第15条 知事は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、取水の中止その他の必要な措置をとるべきことを命じることができる。
(3) 正当な理由なく、前条の規定による勧告に従わない者
(3) 前条の規定による命令に従わないとき。
第4章 権利移転等の契約の事前届出等
(重点森林水源保全地区内の土地の権利移転等の契約の事前届出)
第17条 重点森林水源保全地区内の土地について、土地に関する権利又はその取得を目的とする権利の移転又は設定(規則で定めるものに限る。以下「権利移転等」という。)をする契約を締結しようとする土地所有者等は、その契約を締結しようとする日の30日前までに、規則で定めるところにより、次に掲げる事項を知事に届け出なければならない。
(1) 権利移転等の契約の当事者の氏名及び住所(法人にあっては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)
(2) 権利移転等の契約を締結しようとする日
(3) 権利移転等の契約に係る土地の所在及び面積
(4) 権利移転等に係る権利の種別及び内容
(5) 権利移転等の後における当該権利移転等に係る土地の利用目的
(6) 前各号に掲げるもののほか、規則で定める事項
2 前項の規定は、権利移転等の契約の当事者の一方又は双方が国又は地方公共団体である場合その他規則で定める場合には、適用しない。
2 知事は、必要があると認めるときは、契約等届出に係る土地の利用について、関係市町村長に意見を求めることができる。
(助言)
第20条 知事は、契約等届出があったときは、当該契約等届出をした土地所有者等(以下「届出者」という。)に対し、当該契約等届出に係る土地の利用について、当該土地及びその周辺の森林水源地域内の土地の有する水源涵養機能の維持を図るために必要な助言を行うことができる。
2 届出者は、前項の助言を受けたときは、契約等届出に係る土地について権利移転等を受けようとする者に当該助言の内容を伝達するものとする。
3 知事は、必要があると認めるときは、契約等届出に係る土地について権利移転等を受けようとする者に対し、直接に、第1項の助言を行うことができる。
第5章 京都府森林水源地域保全審議会
(京都府森林水源地域保全審議会)
第21条 この条例の規定に基づく知事の諮問のほか、森林水源地域の保全に関する重要事項の調査審議を行わせるため、京都府森林水源地域保全審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、前項の規定による調査審議のほか、森林水源地域の保全に関する事項について、知事に建議することができる。
3 審議会は、委員10人以内で組織する。
4 委員は、学識経験を有する者その他適当と思われる者のうちから、知事が任命する。
5 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
第6章 雑則
(報告の徴収及び立入検査)
第22条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、重点森林水源保全地区において取水しようとし、若しくは取水している者若しくは重点森林水源保全地区内の土地について権利移転等の契約を締結しようとし、若しくは締結した者(以下「取水者等」という。)に対し、必要な事項について報告を求め、又はその職員に、当該取水者等が所有し、占有し、若しくは管理する重点森林水源保全地区内の土地若しくは当該取水者等の事務所若しくは事業場に立ち入り、取水若しくは土地の利用の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第7章 罰則等
(罰則)
第24条 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
(2) 第15条の規定による命令に違反した者
附則