○京都府がん対策推進条例
平成23年3月18日
京都府条例第7号
京都府がん対策推進条例をここに公布する。
京都府がん対策推進条例
目次
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 がん対策に関する施策(第7条―第15条)
第3章 がん対策の推進(第16条―第18条)
第4章 雑則(第19条・第20条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、がん対策基本法(平成18年法律第98号)の趣旨を踏まえ、がんの予防及び早期発見によりがんが府民の健康に及ぼす影響を少なくするとともに、がん患者及びその家族が置かれている状況を深く認識し、療養生活に伴う様々な不安を軽減するため、がん対策の推進に関し必要な事項を定めることにより、府、府民、市町村及びがん対策関係者が一体となり、がん対策を総合的に推進することを目的とする。
(1) 保健医療関係者 がんの予防若しくは早期発見又はがん医療(科学的知見に基づく適切ながんに係る医療をいう。以下同じ。)に携わるものをいう。
(2) がん対策関係者 保健医療関係者、事業者、がん対策に対する府民の理解及び関心を深めるための活動に取り組む団体その他のがん対策に主体的に関与するものをいう。
(府の責務)
第3条 府は、市町村及びがん対策関係者に対し必要な取組を要請するとともに、市町村及びがん対策関係者と連携を図り、府の特性に応じて、次章に規定するがん対策に関する施策を推進するものとする。
(府民の役割)
第4条 府民は、生活習慣及び生活環境が健康に及ぼす影響についての知識その他のがんに関する正しい知識を持ち、がんの予防に必要な注意を払うよう努めるとともに、積極的にがん検診を受けるよう努めるものとする。
(保健医療関係者の役割)
第5条 保健医療関係者は、がんの予防若しくは早期発見又はがん医療に関する技能の向上に努めるものとする。
2 保健医療関係者は、がんの予防及び早期発見に寄与する研究、がん医療の技術の向上に寄与する研究その他のがん対策の推進に寄与する研究並びに当該研究の成果の活用に努めるものとする。
3 保健医療関係者は、府のがん対策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、次に掲げる環境の整備に努めるものとする。
(1) 従業員ががんを予防し、又は早期に発見することができる環境
(2) 従業員ががん患者となった場合に、当該従業員が勤務を継続しながら、治療し、又は療養することができる環境
(3) 従業員の家族ががん患者となった場合に、当該従業員が勤務を継続しながら、当該家族を看護することができる環境
2 事業者は、府のがん対策に協力するよう努めるものとする。
第2章 がん対策に関する施策
(がんの予防の推進)
第7条 府は、市町村及びがん対策関係者と協力し、がんの予防に資するため、次に掲げる施策を講じるものとする。
(1) 生活習慣及び生活環境が健康に及ぼす影響についての知識その他のがんの予防のための知識に関する普及啓発を図るための施策
(2) 受動喫煙(人が他人の喫煙によりたばこから発生した煙にさらされることをいう。)を防止するための施策
(3) 科学的知見に基づくがんの予防の効果が見込まれる予防接種を普及させるための施策
(4) 前3号に掲げるもののほか、がんの予防のために必要な施策
(平30条例40・一部改正)
(がんの早期発見の推進)
第8条 府は、市町村及びがん対策関係者と協力し、がんの早期発見に資するため、次に掲げる施策を講じるものとする。
(1) がん検診の受診率に係る目標の設定及び当該目標を達成するための施策
(2) 性別及びがんにかかりやすい年齢を考慮したがんの早期発見を推進するための施策
(3) がん検診に従事する医療従事者の育成及び確保並びに資質の向上を図るための研修の機会を確保するための施策
(4) 前3号に掲げるもののほか、がんの早期発見のために必要な施策
(がん医療の水準の向上)
第9条 府は、府民がその居住する地域にかかわらず等しくそのがんの状態に応じた適切ながん医療を受けることができるようにするため、次に掲げる施策を講じるものとする。
(1) がん診療連携拠点病院(国が定める指針に基づき、専門的ながん医療の提供を行う医療機関として厚生労働大臣が指定したものをいう。以下同じ。)並びに京都府がん診療連携病院及び京都府がん診療推進病院の整備を推進するための施策
(2) 前号に掲げる医療機関相互及び当該医療機関とそれ以外の医療機関等の間の連携及び協力を推進するための施策
(3) 医療機関のがん医療に関する機能の充実を図るための施策
(4) 前3号に掲げるもののほか、がん医療の水準の向上のために必要な施策
2 府は、前項に規定する施策を推進し、がん医療の水準を向上させるための方針等について検討するため、府、京都府立医科大学、京都大学その他医療機関等においてがん医療に携わる者によって構成される京都府がん医療戦略推進会議を組織するものとする。
(緩和ケアの推進)
第10条 府は、緩和ケア(がんに起因する身体的若しくは精神的な苦痛又は社会生活上の不安の軽減等を目的とする医療、看護その他の行為をいう。以下同じ。)の推進を図るため、次に掲げる施策を講じるものとする。
(1) がん患者の状況に応じた治療の初期の段階からの緩和ケアの充実を図るための施策
(2) 緩和ケアを提供する医療機関の整備を推進するための施策
(3) 居宅において緩和ケアを受けることができる体制の整備を推進するための施策
(4) 前3号に掲げるもののほか、緩和ケアの推進のために必要な施策
(医療従事者の育成等)
第11条 府は、手術、放射線療法、化学療法、緩和ケアに係る医療その他のがん医療に携わる専門的な知識及び技能を有する医療従事者の育成及び確保並びに資質の向上を図るために必要な施策を講じるものとする。
(がんに関する情報の提供等)
第12条 府は、府民に対して、がんに関する情報を提供するものとする。
2 府は、市町村及びがん対策関係者が府民に対して提供するがんに関する情報の内容及び提供方法の充実のために必要な施策を講じるものとする。
3 府は、学校等の教育機関において、児童及び生徒ががんの予防及び早期発見についての認識を深めるための教育が行われるよう、適切な措置を講じるものとする。
(がん患者等に対する支援)
第13条 府は、医療機関等と連携し、がん患者及びその家族、遺族等(以下「がん患者等」という。)に対する支援に資するため、次に掲げる施策を講じるものとする。
(1) がん患者等に対する相談体制の充実を図るための施策
(2) がん患者等の経験を生かした支援活動等を推進するための施策
(3) 前2号に掲げるもののほか、がん患者等の支援のために必要な施策
(がん登録の推進)
第14条 府は、がん対策を科学的知見に基づき実施するため、がん登録等の推進に関する法律(平成25年法律第111号。以下「法」という。)第2条第2項に規定するがん登録その他のがんの罹患、診療、転帰等の状況を把握し、分析するためにがんに係る情報を登録する制度の推進に努めるものとする。
2 府は、前項の施策を行うに当たり、がん患者の個人情報の保護が適切に行われるために必要な措置を講じるものとする。
(平28条例24・一部改正)
(研究の推進等)
第15条 府は、がん対策の推進に寄与する研究が推進され、又は当該研究の成果が活用されるために必要な施策を講じるものとする。
第3章 がん対策の推進
(がん対策推進計画)
第16条 知事は、がん対策基本法第12条第1項に規定する都道府県がん対策推進計画の策定又は変更に当たっては、京都府がん対策推進協議会の意見を聴くものとする。
(平29条例16・一部改正)
(京都府がん対策推進協議会)
第17条 この条例並びに法及びがん登録等の推進に関する法律施行令(平成27年政令第323号)の規定に基づく知事の諮問のほか、がん対策に関する重要事項の調査審議を行わせるため、京都府がん対策推進協議会(以下「協議会」という。)を置く。
2 協議会は、委員25人以内で組織する。
3 委員は、市町村の職員、がん対策関係者、がん患者等、学識経験を有する者その他適当と思われる者のうちから、知事が任命する。
4 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 前各項に定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
(平28条例24・一部改正)
(府民運動)
第18条 府は、市町村及びがん対策関係者と連携し、府民ががん対策に対する理解及び関心を自主的に深めるための活動が活発に実施されるよう必要な施策を講じるものとする。
2 府は、前項に定める活動を推進するため、府、市町村、がん対策関係者、がん患者等、教育機関、報道機関、学識経験を有する者等で構成される京都府がん対策推進府民会議を組織し、当該会議が円滑に運営されるよう必要な措置を講じるものとする。
第4章 雑則
(財政上の措置)
第19条 府は、がん対策を推進するために必要な財政上の措置を講じるものとする。
(規則への委任)
第20条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成28年条例第24号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成29年条例第16号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成30年条例第40号)
この条例は、公布の日又は健康増進法の一部を改正する法律(平成30年法律第78号)第1条の規定の施行の日のいずれか遅い日から施行する。
(施行の日=平成31年1月24日)