○京都府犯罪のない安心・安全なまちづくり条例
平成16年12月24日
京都府条例第42号
京都府犯罪のない安心・安全なまちづくり条例をここに公布する。
京都府犯罪のない安心・安全なまちづくり条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 活動の推進(第5条―第10条)
第3章 安全の確保(第11条―第14条)
第4章 犯罪被害者等に対する支援(第15条―第17条)
附則
犯罪のない安心・安全な社会の実現は、私たちが未来に向かって前進していくための基盤であり、京都府民すべての願いである。
しかし、今日、利益の追求に走り秩序を逸脱した経済活動や有害な情報の氾濫、都市化の進展等を背景として、また、家庭や地域における人と人との絆が弱まる中で、残念ながら私たちの願いに反して犯罪の低年齢化や凶悪化が進むなど、府民生活の安心・安全が脅かされ、京都の輝かしい未来を築く上で憂慮すべき事態となっている。
すべての府民が安心して安全に暮らせるまちづくりのため、府民生活の安定を図る行政施策とともに、地域住民の安全確保に向けた警察活動の強化が求められる。また、同時に、私たち府民も、健全な家庭や地域を再生し、一体となって犯罪の防止に取り組んでいかなければならない。
ここに、私たちは、互いの基本的人権を尊重しつつ一人ひとりが安心・安全なまちづくりのために不断の努力を行うことを決意して、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、個人の生命、身体又は財産に危害を及ぼすすべての犯罪の防止に関し、府の責務並びに府民及び事業者の役割を明らかにするとともに、犯罪のない安心・安全なまちづくりの推進及び犯罪により被害を受けた者、その遺族等(以下「犯罪被害者等」という。)に対する支援を行うために必要な事項を定めることにより、府民が安心して安全に暮らすことができる社会の実現を図ることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「犯罪のない安心・安全なまちづくり」とは、地域社会における府民、事業者及びボランティア団体(以下「府民等」という。)による犯罪の防止のための自主的な活動の推進並びに犯罪の防止に配慮した環境の整備を、個人のプライバシーの保護をはじめ基本的人権に最大限の配慮をしつつ、府、市町村及び府民等の連携及び協力の下に行うことをいう。
(府の責務)
第3条 府は、市町村及び府民等と連携及び協力をして、犯罪のない安心・安全なまちづくり及び犯罪被害者等に対する支援に関する計画を策定し、総合的な施策を実施する責務を有するものとする。
2 府は、前項の計画の策定及び施策の実施に当たっては、国、市町村、関係団体等との連絡調整を緊密に行うものとする。
3 府は、犯罪のない安心・安全なまちづくりに関する市町村の施策の実施及び府民等の自主的な活動を促進するため、技術的な助言その他の必要な支援を行うものとする。
(府民及び事業者の役割)
第4条 府民及び事業者は、自ら安全の確保に積極的に努めるとともに、犯罪のない安心・安全なまちづくりについての理解を深め、その推進に努めるものとする。
2 府民及び事業者は、犯罪を誘発し、又は助長するおそれのある行為を行わないよう努めるものとする。
3 府民及び事業者は、犯罪により他の者が危害を受け、又は受けるおそれが明らかであると認められる場合等には、警察官への通報等、状況に応じた適切な措置を講じることにより、犯罪被害を防止し、又は最小限とするよう努めるものとする。
4 府民及び事業者は、様々な機会を通じて、地域社会の一員として、府が実施する犯罪のない安心・安全なまちづくりに関する施策に協力するよう努めるものとする。
第2章 活動の推進
(推進体制の整備等)
第5条 府は、市町村及び府民等と協働して、犯罪のない安心・安全なまちづくりに関する総合的な施策を推進するための体制を整備するとともに、次に掲げる事項に関する業務等を行うものとする。
(1) 犯罪のない安心・安全なまちづくりに関する施策の策定及び実施に必要な調査研究
(2) 犯罪のない安心・安全なまちづくりを推進するための府民等からの意見聴取
(3) 犯罪の防止に係る相談
(4) 犯罪のない安心・安全なまちづくりに関する市町村の施策の実施及び府民等の自主的な活動に対する支援
(府民運動の推進)
第6条 府は、犯罪のない安心・安全なまちづくりのための取組が府民運動として展開されるよう、市町村及び府民等と協働して、地域社会における犯罪防止活動の推進に努めるものとする。
2 府は、前項の府民運動が円滑に推進されるよう、関係団体等に対し、情報提供など必要な支援を行うものとする。
3 警察本部長は、府民等が適切かつ効果的に犯罪の防止のための自主的な活動を推進できるよう、警察署の管轄区域ごとに犯罪に関する情報の提供を行うものとする。
(広報及び啓発)
第7条 府は、犯罪のない安心・安全なまちづくりに関する府民及び事業者の関心及び理解を深めるとともに、積極的な取組が促進されるよう適切な広報及び啓発を行うものとする。
2 府は、市町村、関係団体等が行う安心・安全なまちづくりについての広報及び啓発に対して必要な支援を行うよう努めるものとする。
(財政上の措置)
第8条 府は、この条例の目的を達成するため、必要な財政上の措置を講じるものとする。
(府民防犯の日)
第9条 府民の防犯意識の向上と府民参加の取組による犯罪を発生させない環境づくりを推進するため、毎年7月10日を府民防犯の日とする。
2 府は、市町村及び府民等と連携及び協力をして、府民防犯の日から10日間において、犯罪のない安心・安全なまちづくりの機運を醸成するための活動を集中的に実施するものとする。
(顕彰)
第10条 府は、犯罪のない安心・安全なまちづくりに顕著な功績のあったものの顕彰を行うことができるものとする。
第3章 安全の確保
(子ども等の安全の確保)
第11条 府は、犯罪のない安心・安全なまちづくりに関する施策の実施に際しては、子ども、高齢者、障害者その他犯罪の被害を受けるおそれが高い者の安全の確保に特別の配慮をするよう努めるものとする。
(情報提供、啓発及び教育)
第12条 府は、府民等に対し、自ら安全の確保を図るための必要な情報の提供及び啓発に努めるものとする。
2 府は、学校、家庭及び地域社会と連携して、子どもが正しい規範意識を持ち、社会の一員として健全な生活を営む上で必要な教育や社会参画活動等の推進に努めるものとする。
(通学路等における安全の確保)
第13条 子どもの通学、通園等の用に供されている道路、子どもが日常的に利用している公園、広場等及び学校その他子どもの教育、学習、保育等の用に供される施設(以下「通学路等」という。)の管理者、子どもの保護者、地域住民並びに通学路等の所在する地域を管轄する警察署長は、連携して通学路等における子どもの安全を確保するための必要な措置を講じるよう努めるものとする。
(平17条例54・一部改正)
(施設等における防犯性の向上)
第14条 道路、公園、駐車場等の日常生活に関連する施設等を設置し、又は管理する者は、その施設等を犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有するものとするために必要な措置を講じるよう努めるものとする。
第4章 犯罪被害者等に対する支援
(犯罪被害者等に対する支援)
第15条 府は、犯罪被害者等が平穏な生活を確保することができるよう、犯罪被害者等に対する必要な支援を行うよう努めるものとする。
2 府は、前項の支援を効果的に推進するため、国及び市町村と緊密な連携を図るものとする。
(推進体制の整備等)
第16条 府は、府民等と連携及び協力をして、犯罪被害者等の支援に関する施策を推進するための体制を整備するものとする。
2 府は、犯罪被害者等への支援を適正に行う団体に対し、その団体の活動を促進するために必要な支援を行うよう努めるものとする。
(広報及び啓発)
第17条 府は、犯罪被害者等の支援に関し、府民の理解を深めるために必要な広報及び啓発を行うよう努めるものとする。
附則
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成17年条例第54号)
この条例は、公布の日から施行する。