「分かりやすく、使いやすい公共交通ネットワーク実現会議(丹後地域)」第3回会議開催結果
1 開催日時
平成18年5月25日(木曜日)午後1時から午後3時
2 開催場所
天橋立ホテル(宮津市字文珠310)
3 会議の概要
(1)これまでの検討経過及び「改善実行計画」骨子たたき台について説明
<資料>
1.これまでの検討経過について(PDFファイル、89KB)(PDF:86KB)
2.丹後地域公共交通ネットワーク「改善実行計画」骨子たたき台(PDFファイル、483KB)(PDF:273KB)
(考え方)
- 失敗を恐れずに、まず、モデル的・実験的に改善に取り組む
- 公共交通を事業者任せにせず、利用者も行政も一緒になって自ら考え、皆で良くする
(主な改善例)
<ダイヤ>
- パターンダイヤと接続の取れたダイヤ(できるだけ両立)
- 土休日に「臨時特急」や「貸切団体臨時列車」の新設
- 地域やJR、旅行業界等と一緒になって、「丹後ならでは」の観光資源を気軽に無駄なく回れるコースの設定
→KTRで今夏の臨時快速(景勝地での一時停止等)提案
<運賃>
- 覚えやすい運賃、料金(10円刻みから100円刻みへ)
<駅・停留所>
- 改札から近いホームへの乗り入れ
- 駅舎、病院、公共施設等の近くまでバス乗り入れ
<車両>
<情報>
- 乗換情報、目的地到着時刻、運賃・料金、地図上路線図も含めた一目で分かる表示
- 運賃・料金・ダイヤを検索できるシステムの導入
(2)協議における主な意見等
今井座長就任あいさつ
- 公共交通網は市民の手で守っていかなければならない
- 地域で生活している、車の運転ができない人(子どもや高齢者の方たち)でも、公共交通機関を使用して行きたい所へ自由に行くことができるのは大事なこと。公共交通ネットワークが構築されているところに人は住みたくなる
- 今回の取組みは、実行することが課題。今までにない発想を持って改善に取り組んでいかなければならないが、何としても実現しよう
- 自分たちで改善するんだという内容の計画に仕上げていきたい
京都大学大学院中川助教授
-
公共交通利用者の減少の原因を、モータリゼーションの進展や、少子化に伴う人口減などのような外部の要因に求めていたのでは前進はない。実際に利用の増えているところは少なくないのだから、発想を変え、利用者は必ず増えるという信念を持って取り組むことが必要
- 「環境」、「高齢化」の時代にあって公共交通が重要なのは明らか
- 事業者任せではなく、地域が主体となって公共交通を考えていくことが大切
京丹後市中山市長
- 分かりやすく、使いやすい公共交通ネットワークを、合併して広域になった京丹後市でも検討
- 産業でも観光でも多くの人にお越しいただける環境づくりが大切
- 以下要望
・午前の早い時間帯に丹後に到着する京阪神から特急の新設(日帰り観光客向け=新しいニーズの掘り起こし可能。また従来の宿泊客に対しても、時間の余裕ができ丹後全体の面的な観光を提供可能)
・京都・大阪方面から1時間程度での北部直行便
・DMV(デュアル・モード・ビークル:軌道と道路の両方を走る車両)導入
JR西日本森田福知山支社長
- 天橋立を中心とした観光のお客様は「通過型」となっていることから、丹後半島の景勝地をゆっくり堪能していただく「滞在(宿泊)型」が良いのではないかと考え、JR・KTRの往復の特急券と観光施設入場券がセットになった、大変お得な「天橋立・舞鶴ぐるりんパス」を好評発売中
- 3月18日に安全第一、ゆとりのある「ダイヤ改正」を行い、列車ダイヤという商品の品質向上に努めているので、京都と天橋立を一時間で結ぶ特急列車は、今の路線(単線区間が多い)では困難
- DMVは、現在、JR北海道で種々検討が行われているが、まだ実用化には至っておらず、今後の検討課題
網野町商工会沖田会長
- 丹後の観光を点(天橋立、舞鶴等)ではなく、面で考えるべき
- 四国に均一料金の実例があるが、KTRも宮津以北は一律料金にするなど利用しやすいようにすれば、列車に乗る習慣ができるのではないか
久美浜高校PTA小牧前副会長
- (地域の)公務員が(通勤等により)率先してKTRを利用すれば地域住民も乗るようになるのではないか
- 観光も大事だが、平日は地域住民の利用がメインなので、地域住民の利便性向上を希望(KTRが使いやすくなれば車に乗らなくてもよくなる)
- サイクルトレインは良い考え。通学・通勤に活用可能
丹後町観光協会中江氏
- KTR利用者(特に学生)の乗車マナーが悪い。観光客に不快感を与えるおそれ
- オフシーズンにお客を呼ぶ工夫が必要。そのためにはKTRに乗って楽しいと思っていただけるような鉄道にしなければならない
- 高齢の旅行者の方々は車ではなくKTRを利用されることが多い
如意寺(旧久美浜町)友松住職
- 観光客を心から迎える気持が大切。構内外の整備・季節ごとの広報や装飾など全駅が生き生きした表情になるような手入れが必要
- 旅行者が初めてでも安心して丹後に来ていただけるように、環状線(舞鶴・綾部・福知山・豊岡・宮津・天橋立)的運行を行い、他線からの接続時間を便利にする。その上で、各駅からの主な観光スポット(スポット間も)へのバス・船・その他による連携を徐々に整え発信すれば、車に頼らず丹後に行けるという信頼が全国に定着するのではないか
「関西じゃらん」益子副編集長
- 3つの価値が付加された場合、地元住人のための公共交通が、観光客をターゲットとした価値提供も可能
・地元の「人との出逢い」の価値:特に中高年をターゲットとした場合、「人との触れ合い」は、旅の価値となり得る
・風景的価値:今夏予定の臨時快速「タンゴ悠遊号」の運行は、良い試み。消費者が公共交通も利用したくなる「価値の掘り起こし」、「価値作り」が重要(事例:「箱根登山鉄道」によるアジサイの植栽は、観光オフ期(6月)の集客に効果)
・その土地ならではの「食」の価値:観光客にとって、車内での「(充実した)食事」が可能か否かは、時に旅の目的化してしまうほど、重要なファクター
- 全国各地を巡った中でいいと思った地方鉄道会社は、箱根登山鉄道・会津鉄道
- 2社に共通点は、地元の人に愛される鉄道であること。その結果として、観光客にも愛されている
京都運輸支局柳田支局長
- 「じゃらん」さんの御意見は、まさに地元の活性化、公共交通の活性化にマッチ。また、中川先生の御発言のとおり、地方交通を盛り立てるには地元住民の協力が不可欠
- 全国の自動車保有台数は、7900万台を超え飽和状態であるが、高齢化社会を迎え、車を手放す、運転を敬遠する方も出てくるので、今後、新たな路線も含め、公共交通の必要性が増す
天橋立観光協会宮崎会長
- 観光客誘致には都市部でのPRが不可欠。JR大阪駅から宣伝物が撤去されたとき天橋立の観光客が激減
- 天橋立駅ホームの階段の昇降が大変。エレベーターやエスカレーターの設置が必要
- バスは時刻表や停留所の表示が分かりにくく、お客さんに対して不親切に感じることがある。バスについては行き先表示の表記も観光客にわかりやすいものにしてはどうか。例えば、バス停の表示を「伊根湾めぐり」に改めた上で大きく表示し、現行の「伊根役場前」は括弧を付け、小さく表示するなど
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会議のまとめ(今井座長)
- この「実現会議」の取組みは、我々自身が公共交通を愛し、誇りを持てるものにする試みでもある
- 地元住民が安心して利用できる、乗りたい、残したい公共交通は、観光客にとっても利用したくなるもの
- 誰にでも「分かりやすく、使いやすい公共交通」をどうしたら実現できるのか。実現できる環境に是非まとめ上げていく