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令和6年9月13日定例知事記者会見

 

「京の都恋(みやこい)プロジェクト」の立ち上げについて

本日の発表項目は、「京の都恋プロジェクト」の立ち上げについてです。

京都府では、子育て環境日本一推進戦略におきまして、「若者の希望が叶う環境づくり」を重点戦略に掲げて、結婚を希望する方に対して、企業との連携などにより出会いの機会を提供する婚活応援に取り組んでいます。

この度、平成30年から地域活性化包括連携協定を締結している明治安田生命保険相互会社と連携し、若手社会人に向けた婚活応援の取組の推進を目的に、異性との出会いや、結婚を希望する若手社会人への支援を行う「京の都恋プロジェクト」を共同で立ち上げることとなりました。

その第一弾としまして、まだ結婚を意識していない方や、結婚の希望はありながらも婚活に踏み出せずにおられる方に、同世代との交流の機会と、結婚も含めたライフデザインを考えるきっかけを提供して、婚活気運を醸成するため、大規模交流イベント「ハロウィンナイト2024」を10月30日(水曜日)に開催します。

当日は、私も参加します都恋トークセッションにおいて、常盤貴子さんから若手社会人にメッセージをいただいたり、モノマネタレントのほいけんたさんの進行によるクイズ大会も行います。

参加者を本日から募集いたしますので、多くの皆さまに御参加いただけますよう、御周知いただきますとともに、当日の取材についても御協力をよろしくお願いいたします。

今後、京都府庁旧本館や清水寺を会場に、若手社会人向けの出会いイベントも実施する予定です。これらについては、詳細が決まり次第、改めてお知らせいたしますので、よろしくお願いします。

私からは以上です。

質疑応答

記者

「京の都恋プロジェクト」について、今までも婚活支援の取組としてマッチングイベントの開催などをしてきたが、今回は大規模交流イベントということで、婚活の手前の段階から支援をしていこうということだが、こうした取組を行政が主催で行うことは、これまであまりなかったが、知事の考えはどうか。

知事

我々が実施してきている一連の婚活応援プロジェクトの中では、今回は、マッチングを行わない、前段階の支援というのは、新たな取組です。

ただ、20代の社会人をターゲットとすることは、これまでも婚活応援センターで実施している様々なパターンの活動の中の一つのターゲットではありますので、そこは初めてではありません。

婚活を始めようとする方は、婚活応援イベントに来られますが、そうではなくて、結婚する希望はあるけれども、婚活にはまだ取り組まれていないとか、まだ、結婚を意識していないという方もおられるかもしれませんが、そのような婚活を始めようとする前段階の方の背中を押して、婚活を始められるように1歩踏み出してもらいたいたいという思いで、このような取組を行います。

しかも今回は、明治安田生命保険相互会社の方からも、包括連携協定に基づいて「京都府子育て環境日本一推進戦略」に基づく取組を一緒に立ち上げたいという希望もございました。民間企業と連携して開催するということであれば、若干大規模にして、社会人の方を対象とするというのがいいのではないかと考え、相談して、今回このような形で開催することといたしました。

記者

「京の都恋プロジェクト」について、若者の出会いや結婚を行政がここまでバックアップしなければならない理由やプロジェクトの狙いはどうか。

知事

結婚に関連する様々な統計データの中に「いずれ結婚したい」と考えている男女が8割以上に上るというデータがあり、結婚を希望されている方は一定数います。一方で、結婚になかなか踏み出せないのは、もちろん経済的な理由もありますが、出会いの機会が少ないためというデータがあります。

我々が取り組んでいる色々な婚活応援プロジェクトへの応募倍率も非常に高いことから、ニーズがあることもはっきりしています。それから、京都府の合計特殊出生率は全国平均と比べて低いのですが、既に子どもを持っておられる方の平均子ども数は、全国平均並です。

結婚している方の比率が非常に低いということから、若者の希望に沿うような環境整備に乗り出すことが必要なのではないかと判断し、我々は婚活支援に取り組んでいます。

その中で、今回のイベントは、マッチングを行うということではなく、結婚に関心はあるものの婚活を始めていない方の背中を押したり、結婚を含めたライフデザイン全般についての関心を高めてもらうものであり、婚活イベントの前段階のイベントだと考えています。

我々としては、行政がこうした役割を果たす必要があるのではないかと考えています。

記者

今回は、明治安田生命保険相互会社との連携だが、京都府が民間企業との連携するのは初めてのことか。

知事

民間企業と一緒に、婚活のプロジェクトを立ち上げるのは初めてです。

記者

民間企業と連携する狙いはどこにあるのか。

知事

1つは、民間企業は行政よりもPR効果のあるツールを持っておられるので、取組をより広くPRしてもらうという狙いがあります。

また、私自身は、企業の従業員や職員に対しても、できれば家庭を持ってほしいという希望もありますので、企業で働いている方にも結婚に関心を持ってもらいたいということで、明治安田生命保険相互会社に限った話ではありませんが、企業に参画してもらうことによって、結婚への機運醸成もできればいいなという少し中長期的な思いを持っています。

記者

今回のプロジェクトが、どのような成果に繋がってほしいと考えているのか。

知事

今回実施するハロウィンナイト2024では、マッチングは行いませんが、京都府がこうした婚活応援のプロジェクトを行っていることを参加者に知っていただきたいです。もちろんトークセッションなどの中身を知っていただきたいということもありますが、京都府が婚活の様々なプロジェクトを実施しているということもPRしますので、実際のマッチングに繋がるような婚活プロジェクトもあるということを分かってもらい、今回、このイベントに参加した方が、次の段階として、そうしたものに参加いただけるということが直接的な狙いです。

先ほど言いましたように、1月と3月には、若手社会人を対象としたマッチングイベントも行いますし、それ以外にも色々な婚活イベントを行っています。また、きょうと婚活応援センターの存在も知ってもらいたいです。

このイベントに来られる方は、結婚に一定の関心がある方だと思いますので、そうした方が次の段階に進んでいただけるような形でのPRをしたいです。

記者

将来的には府内の出生率の上昇に繋げたいということか。

知事

最終的にはそうです。

現在実施している婚活支援の取組においても、カップルの成立率が非常に高く、きょうと婚活応援センターを介した婚活によって成婚に繋がっている方も多くいます。もちろん、結婚を希望されていることが大前提ですが、結婚に繋がり、それがいずれ子どもを持つことにも繋がるということで、「京都で結婚したい、子どもを育てたい」と思う方が増えることを望んでいます。

記者

「京の都恋プロジェクト」は、異性との出会いを求める方を対象としているが、LGBTの方に出会いの機会を提供することを目的にはしていないのか。

知事

世の中には様々な目的の取組・イベントがあると思いますが、今回はLGBTの方を対象としていません。

記者

その理由はなぜか。

知事

別の形での取組が行われる可能性はありますが、今回のプロジェクトについては、あくまで「京都府子育て環境日本一推進戦略」の一環として実施しています。今回の施策についてはターゲットではないということです。

記者

同性婚が日本の法律で認められていない中で、各自治体で独自のパートナーシップ制度が設けられており、今年4月から大阪府と兵庫県と京都府内の自治体間の連携も開始している。その枠組みに、大阪府や兵庫県は入っているが、京都府は入っていない。府として今後参加する意向はないのか。

知事

元々、課題認識はありますし、大阪府、兵庫県の動きも分かっていますが、制度の導入によって影響が出るのは、どちらかというと市町村の仕事に関することが多いのではないかという認識があります。都道府県が入ることによる意味や施策効果については、引き続き検討させていただきます。

記者

長崎県大村市が同性カップルの住民票に「夫(未届)」の記載を認めるという異例の措置を行うなど、自治体独自の動きも出てきているが、知事はどのように考えるか。

知事

世の中の流れとして、結婚、家族、家庭において非常に多様な形態があることは十分認識していますし、それぞれの方の考え方を尊重することが大前提で、それに伴う様々な行政の手続等をどこまで寄り添った形にするかが問題です。御指摘のような事案は、様々な社会経済活動の変化に伴って変わってきたものですので、当然、それに合わせて行政も変わっていかなければいけないと考えています。

記者

京都府独自で何か取組を考えているのか。

知事

今のところは考えていません。

記者

婚活のプロジェクトを企業とともに立ち上げるのは「京の都恋プロジェクト」が初めてとのことだが、今後、企業とこういった取組をしたいなどの希望はあるか。

知事

一緒にやるかどうかは分かりませんが、企業の中でも社内で出会えるような取組があれば良いなと思います。正式に話を受けたということではありませんが、時々、私もそういう声を聞きます。

我々が関与するかどうかは別にしても、我々の取組に触発されて、企業内でもそういうことができれば良いなと考えています。また、もし似たようなことをしたいという御相談があれば、我々もかなりノウハウを積み上げてきていますので、今回と同じ形にするかは別ですが、企業と連携した婚活応援のプロジェクトは色々とできるのではないかと考えています。

そういうことも念頭に置いて、本取組を「京都府子育て環境日本一推進戦略」の中に位置づけていますので、具体的にどこと組むという予定はまだありませんが、色々と広がりが出てくる可能性は感じています。

記者

10月30日に開催するハロウィンナイト2024に明治安田生命保険相互会社の方は参加するのか。

知事

共同で立ち上げたプロジェクトなので、どなたが参加するかはまだ決まっていませんが、いずれにしても参加していただくという前提でいます。今回のイベントは募集人数が多いので、募集開始を早めたいということで早めに発表しており、それは明治安田生命さんにも御理解いただいています。具体の参加者等については、いずれ発表します。

記者

「京の都恋プロジェクト」は、府庁の職員などの公務員も参加することができるのか。

知事

はい、参加できます。

記者

事業費は決まっているのか。

知事

事業費は会場の借り上げや出演者の謝礼などで、それほど膨大にはかからないと思います。当然、明治安田生命さんと一緒にやっていくことになると思いますが、まだ金額は決まっていません。

記者

「京の都恋プロジェクト」のイベントに参加することできょうと婚活応援センターの支援が受けられるとか、他のマッチングイベントに優先的に参加できるといった追加のメリットはあるのか。

知事

今のところ、そういうことは考えていません。

ただし、先ほども言いましたように、きょうと婚活応援センターの存在や様々な婚活イベントの紹介をします。きょうと婚活応援センターの登録には抽選などもなく、申し込んだ人は全て会員になっていただけます。

プロジェクト型の婚活イベントには確かに定員もありますが、これに参加したからといって優先的に参加できるようにすることは今のところは考えていません。

記者

マッチングは行わないということだが、参加者が自分でアプローチすることはできるのか。

知事

自然発生的にマッチングされることについてはもちろん止めません。そういうことがあれば非常に良いことだと思います。

記者

先日、山陰海岸ジオパークがユネスコから「ユネスコ世界ジオパーク」に再認定されたことについて、受け止めはどうか。また、再びイエローカードが出ないようにするための取組についてはどうか。

知事

まず、結果がグリーンカード(再認定)ということになり、ほっとしているというのが正直な気持ちです。

詳細な審査内容については、ユネスコの報告書が公表されるまで分かりませんが、令和4年12月にイエローカードの結果が示されて以降、山陰海岸ジオパーク推進協議会やその構成自治体、地元関係者が一体となって対策を行ってきたことがユネスコから評価されたものと受け止めています。

4年後の再認定審査に向けて、当然、協議会としても引き続き対応を続けていかなければいけないと考えていますし、今後も継続してグリーンカードを獲得することによって、山陰海岸ジオパークを世界に誇れるような魅力的な地域にしたいです。そのためにも、関係者と力を合わせてジオパーク活動に取り組んでいきたいです。

今回の審査で焦点の1つになっていたのが、鉱物の販売です。現地審査を行った審査員からも、完全な販売中止には至っておらず、指摘事項は達成されていないものの、非常に取組が進んでいると評価いただき、ユネスコの報告書でどう記載されるかは分かりませんが、これからも最善な解決策を見つけるように努力してもらいたいというコメントをいただきました。

ユネスコ側からも前進していると評価されましたので、これからも、鉱物を販売している事業者側とお互い知恵を色々と出し合って、より改善を目指し、地質資源の販売中止に向けた取組を続けていきたいと考えています。

記者

総務省が地方公務員の地域手当について、これまでは市区町村単位となっていたものを都道府県単位の設定に見直すと表明した。府職員については、北部地域とそれ以外の地域の差をある程度縮めてきたという経緯があるが、都道府県単位に見直すとなると影響はかなり大きいと思うが、知事の見解はどうか。

知事

元々は、市町村単位で決めると隣接する市町村との間に不均衡が生じるということで、まず国において都道府県を基本とした単位に見直すようにという人事院勧告がされました。地方公務員においても同様で、隣接する市町村間で支給割合が違うと人材確保に課題があるということで、総務省が、国家公務員と同様に都道府県単位を基本とする見直しを表明されたということで、これは一定理解できます。

今御指摘がありましたように、京都府はこれまでも国に先んじて地域単位を大括り化してきました。

民間の賃金水準も考慮しながら、地域の連続性や行政圏や経済圏の一体性を考慮して、全体としては国の平均水準を上回らない範囲で9.4%~3.2%の間で4区分を設け、広域的、段階的に設定するという措置を国に先んじてしてきました。

今回の人事院の見直しにおいて京都府は、長岡京市を除いて府内一律8%と示されましたが、既にある程度大括り化していますし、どういう単位で、どういう支給割合にするかは、人事委員会の勧告事項でもあるので、人事委員会勧告の内容を注視しながら対応を考えていきたいです。

今回の見直しは、一定、我々の今までの取組に近づいた形になっていると考えています。

記者

京都市内で働く府庁職員の地域手当は少し減る一方で、郡部で働く方の手当は上がるというメリットがあるが、その辺りの影響についてはどう考えるか。

知事

逆に言うと、できる限りその辺りの影響が出ないようにしたいです。先ほど申し上げたように、今までは国の基準が市町村単位だったところを、我々は市町村単位とはせず大括り化してきました。

今回の大括り化によって影響が出ることは分かっているので、できるだけ影響が出ないようにしていきます。

それも含めて人事委員会がどのような形で勧告されるかということも踏まえなければいけません。おそらく一定の見直しが必要なのではないかと思いますし、新しい基準に基づくと、市町村間での影響は出てくると考えています。

記者

兵庫県の斎藤知事の不信任決議案が近く提出され、可決される見通しとなっているが、隣県の知事として受け止めはどうか。

知事

地方自治体というのは、知事や市町村長といった首長とそれぞれの議会の議員が、両方とも直接選挙で選ばれ、まさに二元代表制が敷かれています。そのため、議会の議決を得なければ、予算や条例の制定、改正をはじめ、様々なことが進まない仕組みになっています。

そういう意味では、今回は少なくとも全会派から辞職の要求が出たということは、大変重いものがあると考えています。ただし、兵庫県の話なので、私が詳細を知っている訳ではありません。

一方で、それぞれの政治家の進退は、自ら判断するべきものだと考えていますので、最終的には斎藤知事本人が今回の一連の動きを受けて判断するべきことであり、私のコメントは差し控えさせていただきます。

記者

今回の一連の問題を巡っては、公益通報制度についての関心が高まっており、特に、法が禁じる通報者探しが兵庫県で行われたのではないかと問題になっている。

京都でもかつて京都市役所で告発した人の氏名が内部で漏れて左遷人事が行われ、後に裁判で違法と判決が出たことがあり、けっして他人事ではない。

通報者探しをしないことは府庁の内規で決まっており、もちろん法律でも禁止されているが、知事から「通報者探しはしない」というメッセージを出してもいいのではないか。

知事

公益通報制度は、職務上での法令等に対する違反行為の発生を防いだり是正したりすることで、公正な行政運営を行うことを目的として職員が通報を行う制度です。

そうした公益通報制度の趣旨を踏まえれば、まず公益通報は正当な行為として保護されなければなりませんので、通報を行った職員が不利益な扱いを受けるということは、制度の趣旨からもあってはならないことだと考えます。

京都府庁では、平成18年4月1日に公益通報者保護法が施行されたことに伴い、内部通報の受付体制や通報の処理手続について要綱を定めています。また、法律自体が令和4年6月1日付で改正されたことを踏まえ、改正内容に合わせて、通報対象者の拡大や匿名の取扱い、改善措置後の確認等についても関係規定を整備して対応しています。制度導入当初は、通報窓口として内部通報専用電話とメールアドレスだけを整備して対応していましたが、平成19年2月1日から弁護士の外部調査員による内部通報の受付も開始して対応しており、制度や要綱は整っていると考えています。

ただ、法律や制度が整っているから良いということだけではなく、やはり運用が大切であり、行政職員全員が公益通報制度の趣旨をしっかりと理解して、通報者は保護されるべきであると考えます。その上で、公正な行政運営を行うために、通報された内容をよく精査し、しかるべき対応をしていくということに尽きます。

記者

通報者探しについては、どう考えているか。

知事

法律の内容について完全に理解している訳ではありませんが、公益通報においては、通報の内容が全てであって、誰が通報したかは関係ないと考えています。

ただ、情報公開などにおいても、通報者を全くの匿名とすると無責任な制度になるという観点での議論はありますが、通報された内容に基づいて判断をすることが基本的な運用だと考えています。

記者

京都府は公益通報を歓迎するということか。

知事

公益通報がないような行政運用をすることが大前提です。

記者

米不足については、新米の時期も近づき徐々に回復しているとは思うが、今後もこういった事態になるという見通しを示す専門家もいる。京都府として今後どのように対応していくのか。

知事

8月に品薄感が出ていたのは、元々、昨年産の米が若干少なかったことと、南海トラフ地震臨時情報の発令や台風10号の通過が非常に長引いたことから、通常よりもたくさん購入されたこともあり、しかも毎年8月は新米が出る前なので品薄になることから起こった現象です。

農林水産大臣も「いずれ新米が出てくるので、消費者の方に冷静に行動していただきたい」というメッセージを出したように、徐々に新米が出ていますので、品薄の状況は解消されていくと考えています。

ただ、値段が高いということがあり、その理由は、元々の資材費や燃料費や物価の高騰による影響など、コストに見合った面もあり、また、品薄による需給バランスによるものでもありますが、最終的にはおそらく需給バランスで価格が決まって、落ち着いてくると考えています。

今年は非常に高温でしたが、令和6年産の米の生産量は、大体通年ベースだと言われています。京都府では、去年から高温に強い品種の改良などをしており、今後も生産量を維持する取組を行っていきたいです。

それから全国ベースでの需給については、農林水産省で今回起きたことについて、ある程度きちんと分析してもらって、同じようなことが起こらないようにするために、どういう方法が良いのかを検討していただきたいです。

政府備蓄米の放出という話もありましたが、備蓄米は全体を通じた不作に備えたもので、今回のように短期的な需給によるものには、なかなか向かないというのが農林水産省の意見です。しかし、こういうことが二度と起こらないようにするためにはどうしたらいいのかは、検証されるべきではないかと考えています。

記者

京都府でも高温に強いオリジナル品種の栽培が始まっているが、今後はそれらを徐々に増やしていくのか。

知事

異常気象と言いながら、このような気象が長く続いており、第一次産業なので、気候に合わせた品種を作っていくということです。量も質も安定して供給していただくことは国全体としての課題ですが、我々も当然できる限りのことはしていきたいです。

記者

供給は進んでも値段が高くなっていることに対する対応策はあるのか。

知事

元々、需給バランスで決まっているということもありますし、販売側、特に生産者である農家の方にとってみれば、生産にかかっている費用も含めて一定の価格で販売しないとペイしないということであれば、一定仕方ない部分があるとは考えています。

ただ、需給バランスを超えたような価格の動向があれば、例えば流通が詰まっていることなどがあれば、その場合は、対応しなければいけませんが、価格上昇について直接的に支援することはなかなかできません。

過去にも急激な価格高騰の時に、本当に経済的に困窮されている家庭や施設に対して、我々が物価高騰対策として支援したことはありますので、そういう状況が起これば、当然対応する必要があると考えていますが、全体の需給に影響するような価格という部分に財政資金を投入していくのはなかなか難しいです。

記者

まだ物価高騰対策を検討する段階ではないということか。

知事

そうです。エネルギーの価格高騰については国が支援を行いましたが、岸田総理が次の経済対策では「物価高騰対策についての措置をする」と仰っていました。いずれ、もし物価高騰のレベルが府民生活や事業活動に影響するようなレベルになっていけば、当然そういう話になりますが、今、足元ではそうした状況にないと考えています。

記者

米の生産に関して、国が必要に応じて政策を見直すべきというようなことを言っていたが、減反政策のことを指しているのか。

知事

減反政策まで行くと担い手の話にまでなってしまうのですが、少なくとも今回起こったことが短期的な要因によるものだと分析されれば、基本的な骨格は変えないと思います。

まずは、8月に起こった状況を分析する必要があるのではないかと考えており、もしそれで何か変えるべきところがあれば、変える必要があると申し上げました。

現に、輸出を増やすとか食糧自給率を増やして食料安全保障をやると仰っている中には、当然、安定的な生産というのも政策目標に入っています。食料・農業・農村基本法が改正され、全体の方針としては、安定的な生産ということになっています。なので、いきなり減反政策まで行くかどうかは分かりません。

記者

資材費や肥料の高騰など、農家が直面している課題に対して、府が独自に支援することによって、消費者にとっても恩恵があるような仕組みを作ることはできないのか。

知事

まずはコストに見合った価格でないと、農業を持続的な産業にできないので、販売価格の中でペイするということが大前提です。

ただし、今回の9月補正予算に、堆肥の地産地消のための支援を入れています。これは化学肥料が輸入に依存しているということがあり、輸入価格高騰の影響をなるべく少なくするものです。持続可能な農業にするという政策目的に着目した具体の対策については、それほど財源はありませんが、きめ細かく支援したいです。

ただ、全体的なコストアップ分については、販売価格の中で賄われるべきだと考えています。

記者

一昨日、鴨川府民会議が開催され、鴨川のごみ問題が議論された。鴨川で飲食や飲酒をして、そのままごみを持ち帰らずに放置する現状は、全国ニュースでも取り上げられているが、この問題への受け止めと改善策はどうか。

知事

鴨川は、山紫水明の京都の宝なので、それを美しい環境に保つことは住民にとっても重要であり、鴨川を評価して訪れておられる観光客も多いので、きちんとした環境を保持することは大前提です。

ごみを捨てることは、厳に慎んでもらいたいです。一方で現実としてごみが捨てられており、毎日、ボランティアの方なども対応されているのですが、キリがありません。私が直接見聞きした訳ではありませんが、ボランティアの方が清掃している目の前で捨てるような方もいるそうです。

府としても警察と連携してパトロールもしていますが、この問題は、我々、河川管理者だけで対応できるものではありません。鴨川府民会議や鴨川を美しくする会という長年活動されてきた団体、京都市、それから民間の事業者、鴨川を綺麗にしたいと思っている沢山の方も含めた、大きな輪の中で鴨川を美しくしていきたいです。

パトロールをしたことで一旦は結構ごみが減ったという実績もあったと思うので、大変なことですが、できる限り努力をしたいです。

記者

コンビニなどの周辺の民間事業者を巻き込んでごみ対策をするべきではないか。

知事

啓発については、事業者にも一緒にやっていければと思いますが、どちらかというと、消費されている方のマナーの問題だと考えています。

周辺の民間事業者には、鴨川が綺麗になり、美しい環境を保てたらと思っておられる方も多いので、どういう形で協力してもらうかということがありますが、もしコンビニに協力をお願いするとすれば、やはり啓発だと考えています。

記者

鴨川に設置されている災害情報発信のデジタル看板が、今年、大雨があった時に活用されず、不具合で2カ月間撤去されていたことへの受け止めはどうか。

知事

活用されなかったのは、不具合でデジタル看板が機能しなかったためであり、それについては極めて遺憾です。

ただ、デジタル看板を設置することとしていた期間は、府の担当者が現地に行って、代わりの表示版を設置していました。

記者

トラックに何か看板を載せて対策をしたと聞いているが。

知事

デジタル看板が機能していない時は、そうしていました。

記者

元々、景観の観点で住民からデジタル看板の設置に異論が出ていたので、デジタル看板の撤去中に別の対策で対応できたのであれば、看板自体を撤去すべきという声が出てくる可能性もあるが、撤去することは考えていないのか。

知事

私の耳にはそうした声は届いていません。不具合中に行った対策は極めて労力と手間暇がかかるので、デジタル看板が正常に機能するのであれば、従来からの方針通り、府民の安心・安全を守るという行政目的を達するために、活用すべきだと考えています。

今回の対応は、設置していたデジタル看板が壊れたので、緊急避難的に労力をかけて同じ機能を確保したものですが、従来からの方針で行うのが合理的だと考えています。

記者

昨日、自民党の総裁選の告示があり、顔ぶれも揃ったが、知事が注目している主張や政策はどうか。

知事

まずは、自民党の総裁であり、今の政治状況で言えば、国のリーダーを決める選挙なので、やはり様々な国の課題にきちんと向き合って解決していただける方に是非とも総裁になっていただきたいというのが正直な思いです。

ただ、候補者が非常にたくさんおられますし、つぶさにその主張を見た訳ではありませんが、これから選挙までに政策論議が交わされるということなので、それぞれの方の政策の主張がより分かりやすくなるような活発な政策論議を是非ともお願いしたいです。

人数が多いからということではありませんが、バラエティに富んだ経歴や実績、主張をお持ちなので、活発な政策論議が行われるのではないかと期待しています。

記者

特定の候補を挙げるとすれば、誰か。

知事

とてもそれは言えません。

記者

立憲民主党の代表選挙においても、顔ぶれが決まって、それぞれが色々な主張もしているが、どうか。

知事

立候補者は最終的に4人になられ、既に色々な討論会をされています。立憲民主党なので、今の立場は野党ですが、立候補された皆さんはやはり「政権交代を目指す」とか、「健全な野党として力を発揮したい」と仰っているので、今の自公政権に対峙する政策を議論されると思います。

政策の違いだけを強調しても仕方ありませんが、立憲民主党としてはこういう国にしたいということを主張して、代表選を戦ってもらったほうが将来に繋がるのではないかと思います。

記者

「川の京都」のシンポジウムに行ったが、なかなか内容が理解できないので、「川の京都」の意義や具体的な取組などを教えてほしい。

知事

シンポジウムの挨拶で、今回の万博のテーマが「いのち輝く未来社会のデザイン」であるということで、命と水の繋がりについても話をさせてもらいました。

京都の場合は、由良川水系、桂川水系、高瀬川も含めた淀川水系など、川が京都の経済を支えてきました。今の桂川に亀岡で切り出した材木をいかだに組んで流し、平城京の造営にも使ったのではないかと言われているように、川と京都の経済や生活は切り離せないですし、観光の資源でもあります。それらをもう一度、「川」というキーワードで結びつけようということです。

観光という意味では、例えば伏見から枚方経由で最終的に万博会場まで行くというものです。最後まで同じ船に乗る訳ではありませんが、川を船で遊覧することが観光資源になるのではないかと考えています。また、ストーリー性が必要ですが、淀川舟運と鴨川の景観と琵琶湖疏水の遊覧をうまくパッケージ化できれば、川に興味がある方に、京都の川にまつわる観光拠点を回っていただけるのではないかと考えています。

もう少し北部の「森の京都」「海の京都」のところに行けば、由良川水系に美山があります。美山のかやぶきの里は、その前に流れる由良川の景観と一体です。

そうした川の要素があるものをうまくストーリー性を持たせてパッケージ化できれば、京の川めぐりとして観光資源の一つになるのではないかと考えています。

観光だけとは限りませんが、このような狙いで、今回、「川の京都」を、「食の京都」に続くコンテンツとして入れました。もう少し具体的なイメージが湧くように事務方にも指示します。

記者

万博に小中学生を無料招待する事業について、学校に意向調査をすると言っていたが、その後、意向調査は行ったのか。

知事

意向調査については、以前にどこかの自治体が大阪府に問題提起をされたということがあった際にお話ししたと思いますが、まず各学校や教育委員会にどんなことを考えておられるかをお聞きしています。

今は債務負担行為で予算を計上していますが、令和7年度になると実際にお金が要るので、どれぐらいの財政需要があるのか、ある程度の目星を立てるためにも意向調査が必要だと考えています。

今は個別の具体的な意向調査はしていませんが、いずれ必要になるのではないかと考えています。

一方で、学校側からは、どのパビリオンに行けば何が見られるのかとか、バスの手配なども含めて、手を挙げるか挙げないかを決めるための情報がまだ不足していると言われています。確かに情報が少なく、おそらく小・中・高等学校によって行くパビリオンが違うなどもあります。

元々強制しているものではありませんが、そろそろ万博の開幕が迫ってきたので、その辺りの情報提供と並行して、事務方に意向調査について催促しているところです。

記者

意向調査はまだしていないが、いずれ実施するということか。

知事

行くとか、行かないとかよりも、あくまで予算の目安を知るためにどうしても必要なので、意向調査はさせていただきたいと考えています。

別のレベルの話ですが、パビリオンの事前受付に関する情報も徐々に出てくるので、そろそろ決めていかなければいけないと考えています。

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