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本日は、令和5年度一般会計決算の概要について御報告申し上げます。
令和5年度における決算総額につきましては、令和5年5月に新型コロナウイルス感染症の法的な位置づけが5類へ移行したものの、引き続き必要な対策を講じますとともに、長引く物価高騰から府民生活や事業活動を守るため、累次にわたり補正予算を編成し、対策を講じたこともあり、4年連続で1兆円を超える決算規模となりました。
コロナ対策や物価高騰対策を除いた歳出は約8,625億円で、社会保障関係経費は増加する一方、新行政棟・文化庁移転施設整備費の減少などにより、約33億円減少となりました。
また、歳入は約8,798億円で、府税や地方交付税は増加いたしましたけれども、臨時財政対策債の減少により約21億円の減少となりました。
この結果、単年度収支につきましては、昨年度末の予算の専決後の府税収入の増加、職員の退職手当の減少などにより、コロナ対策関連の国庫支出金を除きますと約12億円台の黒字となりました。
ただ、社会経済情勢の先行きが不透明なことや、物価高騰による府民生活や事業活動への影響など、引き続き注視していく必要があると考えております。
いずれにいたしましても、今後とも厳しい財政状況が続くことが見込まれる中、昨年度策定しました「京都府行財政運営方針」に基づき、持続可能な財政運営に努めてまいりたいと考えております。
次に、2ページ目以降では、令和5年度の主な取組みと成果をまとめております。
まず2ページ目ですけれども、「子育て環境日本一」の京都の実現に向け、京都府子育て環境日本一推進戦略の改定や、新条例の制定を行いました。これによりまして、例えば、京都子育て支援医療助成制度を拡充することで、子育て家庭の経済的負担の軽減を図るなど、子どもたちをあたたかく育むとともに、府民の皆様の生活や絆を守る取組を進めてまいりました。
3ページ目ですが、地域の強みを活かしながら、次代を担う企業や産業を創造していく産業創造リーディングゾーンを推進いたしますとともに、文化庁の京都移転を契機とした、移転記念事業「きょうハレの日、」をはじめ、府内各地で様々な文化の取組を市町村等と連携して実施するなど、京都の活力の源である産業や文化、スポーツ、学生の力が発揮できる社会づくりを進めてまいりました。
次に、6ページの財政調整基金についてです。
この間、京都府では新型コロナ対策や物価高騰対策など、府民サービスへの還元を優先して財政運営を行ってまいりました。ただ、長引く物価高騰への対策や、各種災害への備えをはじめ、ある程度の一般財源が必要となる案件も想定されますことから、年度末の財政調整基金を5億円増額して確保したところです。
このように、誰もが未来に夢や希望がもてる「あたたかい京都づくり」の実現に向けた施策を全庁一丸となって積極的に取り組んでまいりましたけれども、引き続き、複雑・多様化する課題に迅速かつ的確に対応してまいりたいと考えております。
私からは以上です。
令和5年度一般会計決算について、特に府税収入が近年ではかなり高い水準になっている。
法人2税が減った一方で、個人府民税の増加が全体を押し上げるという状況だと思う。単年度収支は10億円を超える黒字ということで、単年度で見れば余裕がある決算だと思うが、知事の考えはどうか。
全体の話は今お話したことに尽きますが、コロナが5類に移行した訳ですが、緊急的な対策ということで、一部のコロナ対策は引き続き実施したことと、原油価格・物価高騰の対策を実施したということで全体の緊急的な対策を行いました。
一方で、京都府の総合計画に基づく「あたたかい京都づくり」につきましては、「安心」「温もり」「ゆめ実現」の3つの視点に基づく施策は、そういう社会経済情勢にあっても、全庁一丸となって力強く取り組めたのではないかと考えています。
まず単年度の収支で言いますと、府税収入が前年度から約19億円増加するとともに、退職手当の減少などの要因もありまして、先ほど申し上げましたように単年度収支では、昭和52年度以来の10億円を上回る約12億円の黒字となったということです。ただ、これはあくまで単年度の収支なので、引き続き厳しい財政状況が続くということで、そのことに一喜一憂はできないですが、一定の成果はあったと考えています。
歳出面で言いますと、先ほど言いました「安心」「温もり」「ゆめ実現」のそれぞれの成果につきましては、資料の2ページから3ページにかけて詳細に書いていますが、少し例を挙げますと、1つ目の「安心」では、何と言っても常設の京都府危機管理センターを3月に情報提供システム等の根幹的な部分を含めて運営を開始しまして、今日皆様に御披露しましたが、本日から全面的な運用を開始しました。この体制が整ったということが1つ大きいと考えています。
2つ目の「温もり」では、子育て環境日本一のための推進戦略を改定して条例も制定させていただいたということで、これは令和5年度に先行的に実施した部分もありますが、子育て環境日本一の取組のスタートに対する体制を令和5年度に整えさせていただきました。
それから3つ目の「ゆめ実現」で言いますと、国内では最大規模のスタートアップのカンファレンスであります「IVS2023KYOTO」を初めて開催しまして、海外からの方2,000人を含みます1万人以上の方に参加いただきました。今年も7月4日から6日まで、京都で連携して2回目となりますが「IVS2024KYOTO」を開催して、約1万2,000人の参加を得ましたし、サイドイベントの数が倍になるなど、スタートアップにおける京都のポテンシャルの高さ示せたというふうに考えています。
そういう意味では、歳出についても確実に施策の推進ができたと考えています。
ただ全体を見ますと、やはり社会保障関係費の増加や、公債費等もありますので、引き続き厳しい状況には変わらないと考えています。
税収の話がありましたけれども、今御指摘いただいたように、リーマンショック後で言えば最高の税収になりましたけれども、1つは、製造業を中心に企業業績が全体としては好調だったということから、法人2税が高水準で前年度並みの規模を確保できたということと、個人所得も、給与所得の伸びと株高を背景として譲渡所得が増加したことから、個人住民税が前年度より46億円増ということでの大幅な増収だったということで、リーマンショック後の平成21年度以降では最も高い額となりました。
ただ、府税収入と地方交付税というのはトレードオフの関係にありますし、税収につきましても、足元の状況や円安の水準など様々な要因があります。そのあたりは企業収益や、家計に与える影響も非常に大きく、税収を大きく左右する要因ですので、しっかりと注視しながら財政運営に努めて参りたいと考えています。
いずれにしても、全体としては持続可能な財政運営というのが最も重要だと考えていますので、昨年度策定しました方針に基づいて、持続可能な財政構造の確立に努めて参りたいと考えています。
財政調整基金について、地方財政法上、決算剰余金の2分の1を積み立てる必要があり、令和5年度で言うと131億円の半分を積み立てるということになると思うが、昨年度は取り崩しを5億円減らして積み立てる対応を行った。最終的には今年度末の2月精算補正で決定することになると思うが、今年度の対応についての考えはどうか。
令和5年度末に5億円積み増したことについては、今御指摘のありましたように、令和4年度の実質収支が120億9,600万円だったので、その2分の1に相当する60億4,800万円を積み立てて、例年だと同額を取り崩していましたが、今回は取り崩し額を抑制することで最終的に令和5年度末の財政調整基金の積立額が5億2,100万円になったということです。(剰余金の)半分を積み立てるということについてはそうですが、取り崩し額については、今の段階ではなかなか想定しがたいこともあります。一般論で言えば、財政調整基金は安定的・計画的な財政運営のためには一定額は積み立てておくことが望ましいと思いますが、一方で府民サービスの維持向上という観点もありますので、そのあたりはその時々の足元の税収の動向や社会経済情勢を踏まえて判断したいと思いますので、今後の検討課題といいますか、その時の情勢に合わせてどれぐらいの財調基金にするのかは検討させていただきたいと考えています。
持続可能な財政運営を目指すということだが、京都府の実質公債費比率や将来負担比率は、都道府県別に見ても悪い。改めて今後の財政運営の見通しを聞きたい。
臨財債を除く府債残高は、令和4年度末と比較すると令和5年度末は10億円減となり、わずかではありますが、改善傾向を示しました。
地方債を活用した社会基盤整備を進めるには、やはり世代間の負担の公平性が重要です。それを見ながら、国の経済対策を活用した防災・減災対策や道路交通網の整備など、府民の安心・安全や地域経済の活性化に向けた取組を進め、未来への投資と財政の健全化のバランスを考慮して、持続可能な財政運営をするのが原則だと考えています。
一方で、行財政運営方針において、令和10年度には収支不足額200億円に加え、未来の京都づくりのための約100億円、合計300億円の取組効果が必要だと見込んでいます。
まずは、この方針に基づきまして、持続可能な財政運営の確立に努めたいと考えています。いずれにしても、厳しい財政状況にあることに変わりはありませんし、急に改善することはないので、府民サービスの維持向上にしっかりと努めつつ、持続可能な財政構造の確立に努めたいと考えています。
財政調整基金は、今回取り崩しを抑制して5億円積み立てたということだが、その背景について聞きたい。
一般財源の投入が必要な行政ニーズがあるのではないかということも踏まえて、令和5年度末の財政運営の中でそのようにさせていただきました。基金に一定額を積み立てておくことができれば、安定的・計画的な財政運営上望ましいですが、必要な施策があればできる限り財源を充当したいという思いもあります。そのバランスの中で、5億円という額自体は絶対額としては様々な評価がありますが、その前の基金残高が2,100万円だったので、私としては、より安定した財政運営のために思い切って増やしました。これも当然、必要な時に使うための基金なので、どういう施策のニーズがあるかということも見ながら、この扱いについては今後の予算編成等の中で検討していきたいと考えています。
アリーナや万博関係など、この5億円を財源として具体的に何か大きな事業を行うことを考えているのか。
今のところは考えていません。予算編成上で財源構成として議会にお諮りすることになりますので、府民の皆様に納得していただけることが大前提です。そうした観点で、その都度検討したいと考えています。
財政調整基金の5億2,100万円という額について、知事は率直に少ないと考えているのか。前年度末は、2,100万円の基金残高であり、2,000万円は府の財政規模からすると相当少ないが、本当はもっと積み立てたいという思いはあるのか。
例えば償還に備えて積んでおく府債管理基金のように様々な基金がありますが、財政調整基金はずっと積み立てておくものではなく、何かあった時に使うためのものです。
念のためという、安心感・安定感の意味では多い方がいいですが、目の前に財政需要があるのに、そちらに充てずに基金に積むことをどう評価するか、バランスが難しいです。基金残高が2,100万の時と比べると令和5年度末は、その25倍です。それだけ積んだということを見ると、ある程度財政調整基金の存在を重視した結果としての財政運営だと理解いただきたいです。
ただ、一定の財政構造上の力がないと積めません。令和4年度末の残高は2,100万円でしたので、重要性・必要性を考慮した上での5億の積み立てだと考えていただければと思います。
府債残高が2年ぶりに増えているが、この要因と増えたことについての受け止めはどうか。
要因については、負債の償還額と発行額の兼ね合いもあります。我々としては、臨財債を除いた府債残高については10億円の減で、2年連続で減らしていますので、財政のコントロールでやっている地方債発行については、財政構造を改革する中で発行を抑制できたのではないかと考えています。
府債残高はすぐに減らないと思いますが、債務管理として、できる限り安定的にコントロールしていくことが重要だと考えています。
臨財債の残高は9,300億円ほどあって、そもそも臨時ではなくなっている。知事は臨財債は借金という考えなのか、それとも交付税措置されるという意味で借金ではないという考えか。
形式的に見れば債権を発行している訳ですから、債権に着目すれば償還義務があるので当然借金ですが、臨財債はあくまで国と地方の地方財政対策の枠組みの中で、交付税措置ができない代替措置という形での地方への財源の手当ですので、我々としては地方が自主的に行う借金と同様に論じられたら困るという思いがあります。
交付税と同じとは言いませんが、一定国から財源が補償された借金だということだと考えています。形式的には借り入れですが、実質的には交付税措置と同様の財政効果があるものだと考えるのが正しいというのが私の考えです。
財政調整基金の積み立てに能登半島地震は影響しているのか。
それはありません。
新型コロナウイルス感染症の感染者が増加しているが、府内の感染状況や府の対応についてはどうか。
京都府の直近の7月15日から21日までの定点当たりの報告者数は、13.56人で、6月上旬から増加傾向にあります。
これまでも、令和2年から令和5年までの過去4年とも、大体夏場に流行のピークが来ており、8月から9月にかけて流行しています。今年も同じ傾向で進んでおり、5類に移行後の昨年の夏とほぼ同様の傾向と考えています。
医療機関へ状況を確認しましたところ、個別で見ると、一部で入院受け入れが困難な医療機関も出始めてはいますけれども、全体としては逼迫した状況にはないと聞いております。
ただ、昨年の夏は9月上旬がピークでしたので、現在の感染者数の推移が同様の傾向を示せば、まだしばらくは流行が続く可能性がありますので、感染状況について十分に注視していきたいと考えています。
この4月からは、通常の医療体制の中で対応していただくことが基本ですので、是非とも府民の皆さまには、感染しない、感染させない行動を取っていただき、できる限り陽性者の増加を抑制することが一番重要だと考えています。
我々も、情報発信に努めますし、基本的な感染対策を取っていただけるよう、府民の皆さまに呼びかけていきたいと考えています。
手洗いや換気、せき等の症状があればマスク着用を行うなど、それぞれの状況に応じて、基本的な感染対策をとっていただきたいと考えています。
また、詳細は決まっていませんが、この秋から新型コロナワクチンの定期接種が始まります。高齢者や基礎疾患をお持ちのような、重症化リスクの高い方が対象になると考えていますので、冬場に備えて検討をお願いしたいです。
基本的には、外来なども含めて医療機関が逼迫している状況ではないということか。
そうです。もちろん感染者数が一定増えているので、発熱患者の方が増えているということはありますけれども、逼迫している状況にはないと聞いております。定期的に、しっかりと状況は把握していきたいと考えています。
本日、危機管理センター本格運用が始まったが、知事の所感はどうか。
私は就任以来、先進的な危機管理体制の構築を掲げていて、ハード整備はやれば効果があるのですが、お金と時間がかかるので、ソフト対策と組み合わせて取組を進めてきました。
特に、命を守るという観点に立てば、初動体制が必要です。最近の様々な災害を見ても、自衛隊や消防・警察といった関係機関の応援も多いですし、自治体間の応援や電力やガスといったインフラ事業者など、様々な方が災害時に応援に来られます。その意味では、3月に映像情報システムと常設の会議室ができましたが、今回オペレーションルームができたことで、トータルな危機管理体制が一定のレベル出来上がりました。本当は災害が起こって欲しくはないのですが、万が一起こった時に、より的確な初動体制と防災・減災対策の体制が整ったと考えています。
これから様々な訓練などを重ねて、より実効性のある運用になるよう努めていきます。
先日、府内の観光入込客数が発表され、コロナ前を上回り、「お茶の京都」や「森の京都」はかなり観光客が入っている。京都市外の観光の需要や全体の傾向をどのように見ているのか。
令和5年の観光入込客数は、京都府全体で7,518万人で、コロナの影響前の比較となる令和元年比でいうと101%、観光消費額は1兆6,578億円で令和元年比で125%という結果です。これはコロナが5類になってイベントが再開されたり、イベントの人数制限が減ったり、訪日外国人観光客の急速な回復があると考えています。
質問にありました京都市を除く京都府域でいうと、観光入込客数は2,490万人で、令和元年比で120%、府全体では101%です。観光消費額が1,211億円で、令和元年比が133%、府全体では125%だったので高くなっています。
一定、府域への周遊がウエイトとして増えたということは歓迎したいです。ただ観光消費額で見ると1,211億円ということで、前々からの課題として、京都市域に比べて京都府域が非常に低いので、これをできる限り伸ばしたいという思いでやってきました。少し効果は出てきていますが、そうしたことは引き続きやっていきたいです。
府市トップミーティングで、周遊観光を具体例として発表しましたが、京都市の周辺部分と府域との周遊観光を手始めにやっています。松井市長も府内の市町村長との会議で、周辺部分だけでなく、京都府域全体を見た周遊観光の必要性を分散化の観点から言及されていますので、もっと分散させて京都府域に観光客の入込を図り、なおかつ、観光消費額を増やすような取組を進めていく必要があると考えています。
京都市を中心とした周遊モデルを販売されると思うが、それが府域に与える影響はどのように考えているか。
分析はそろそろ始めるのではないかと思いますが、今まで美山と京北を組み合わせたような旅行商品は、あまりありませんでした。地域も近いし、親和性もあるので、まずはそこを取り組んでいこうということです。
欧米のリピーターの方は京都府北部にもかなり来ていただいています。そのような方は、京都市内には何度も来られている方も多いようです。既にそのような周遊的な動きもされているので、周辺の観光商品の開発が進めば、全体の大きな周遊にも取り組んでいけるのではとアイデアベースですが考えています。
そのためには、効果測定により効果的な方法を組む必要があると思いますし、旅行業者もそうしたことを求めると思いますので、より的確な府域への周遊を図ることはぜひトライしたいと考えています。
7月19日に環境立国推進閣僚会議が開かれ、国立公園に宿泊施設を誘致する方針が示された。京都府では京丹後市に山陰海岸国立公園があるが、どのように受け止めているか。
国立公園は、我が国の風景を代表するに足りる傑出した自然の風景地として、環境大臣が全国で35カ所指定されています。今御指摘ありましたように山陰海岸国立公園は丹後半島の網野から鳥取砂丘まで、京都・兵庫・鳥取の3府県にまたがっており、かなり広域的な国立公園です。しかも、平成22年からは国立公園を中心とした山陰海岸ジオパークが、世界ジオパークネットワークへの加盟が認められています。
今、御紹介ありました閣僚会議では国立公園の制度ができて100周年となる2031年までに、民間活用による魅力向上事業を実施するということで、ホテル建設等も話題に上ったと聞いています。
自然公園法の中に国立公園が位置づけられていますが、法律の目的の一つに「公園の利用の増進」があるので、それに資するものであろうと思います。
当然、自然の景観を有することによって国立公園になっていますから、そうした自然環境の保全が図らなければいけないということで懸念の声が上がる可能性がありますから、あくまで国立公園の持つ自然環境をきちっと保全した上でどうやって利用増進に繋げていくのかということです。
ただ、具体的な動きは見えないので、なかなか評価はできないのですが、利用増進の観点からは一つの方策だと思います。
昨日、住民基本台帳に基づく人口が発表され、住民基本台帳上で改めて人口の減少が確認されたが、知事の所感を伺いたい。
私は知事就任以来、我が国が抱えている最大の構造的課題は人口減少だと言っておりまして、改めて住民基本台帳の発表資料により浮き彫りになったと考えています。
京都府は、今年の1月1日現在で248万8,075人となり、昨年に比べて1万3,194人減り、250万人を割りました。減少幅の内訳や詳細の分析はされていませんが、自然増減でいえば1万7,011人の減、社会増減は3,817人の増で、外国人の方が7,444人増えています。日本人だけで見ると自然減かつ社会減となります。外国人はコロナの影響もあり、2年連続の社会増です。
人口減少への対応は今更言うまでもないのですが、自然減の対応については「子育て環境日本一推進戦略」の確実な推進ですし、社会増については京都に住みたい・働きたい・子育てをしたいと思ってもらえるような、京都の魅力を向上させる取組を総合計画に基づいて行うことです。もう一つは、人口減少下においても社会経済システムを維持することは、ある程度の人口減少の予測が出ている中では、府民サービス向上の維持・向上のために必要だと考えています。
増えている外国人の対応についてはどうか。
もう少し細かく見なければいけませんが、コロナが明けて留学生が増えていることもありますし、例えば京都府内でいえば八幡市にベトナム料理店が増えています。そのように色んな仕組みの中で、雇用市場に入ってきておられます。京都にはもともと多文化共生の土壌があるので、外国人の方でも留学生の方、働いておられる方、またその家族の方も含めて同じように京都で生活して、一緒になって地域を支えていただいていますので、そうした方々が住みやすい・働きやすい環境を作っていくことが必要だと考えています。
外国人の増加に伴う対応について、府内の外国人は10年前から1.4倍に増えていて、府では計画を作って学習支援にも取り組んでいる。府内には日本語教室が31ヶ所あるが、ボランティアが不足しており、高齢化も進んでいる。外国籍の児童も増えていて放課後支援をしていると思うが、京都市を除いては学級を設けているのは八幡など二市くらいだと思う。他府県と比べると少し見劣りするが、どのようにすべきだと考えているのか。
場合によっては、御指摘がかなり正しいかもしれません。外国人といってもいろんなジャンルがあり、留学生は留学生支援ですし、卒業した後に京都の会社に就職したい人や起業したい人もいます。現に、技能実習であれば現場で働いている方もいますし、高度人材であれば家族も帯同してこられています。
それぞれの方で、京都で住みやすい環境に違いはあると思いますが、全体として多文化共生でバリアをなくすことが重要です。
日本語教室では八幡の日本語教室の現場を見ましたが、日本語だけでなく全てのことを相談に乗っておられます。例えば出産について相談されていたり、赤ちゃんを連れてきて相談されていたりしています。日本語ができればある程度生活できるので日本語教育も重要です。
京都が外国人にとって住みやすい所にする取組というのは、かなり総合的な取組なので是非必要です。ただ、どこもかしこもくまなくやるというのではなく、八幡市は先進的にやっていただいています。
男山団地で、ベトナムの人に一番大変なことは何かと聞いたら地震でした。防災訓練に参加したいと言われていて、日本語に一番詳しいリーダーが参加して、それをコミュニティに広げるという話がありました。色んなニーズがあるので、先進的なところでやったものを横展開するのがいいのではないかと考えています。なかなかボランティアでやるのも大変ですし、全て税金でやるのも大変です。高度人材はまた(ニーズが)違って、子弟、子女の教育の話などになります。
外国人の方のニーズを一定分類して、本当に多文化共生といえる街づくりをする必要があると考えています。
昨日、最低賃金の目安額が取りまとめられ、1,054円と過去最大の引き上げ幅となったが、知事はどのように考えているか。
昨日、全国平均の最低賃金の目安が1,054円と過去最高になりました。現在の水準の1,004円から50円引き上げられたということで、これはあくまで中央最低賃金審議会が答申した改定額の目安なので、この後、各地方の最低賃金審議会にかけられて、それを踏まえて各都道府県の労働局長が決定されるというプロセスがあります。
過去最高の額が出たというのは、今年の春季の労使交渉の賃上げ率が連合のまとめで平均5.1%で33年ぶりの高水準であったことと、まだ物価高が続いていることを踏まえたものであるということなので、最低賃金の引き上げが生活の向上や安定に繋がり、それが地域経済の活性化にも繋がる、またその一方で、中小企業等にとってはコストの増に繋がるので、我々としては賃上げをきちんと実現するためにも中小企業側の事業継続をしっかりと支えていく必要があると考えています。賃上げの原資となる利益を確保するために我々としても様々な施策手段を持っておりますので、賃上げができる環境整備に努力をしていきたいと考えています。
昨日総理が半導体の量産について新しい法律を作ることを表明された。知事は、先日京都市長との懇談会で半導体の構想を作ると仰っていたが、今回の総理の発言について知事の考えを聞かせていただきたい。
総理が表明されたのは、方向性であり、具体にどうなるかは分かりませんが、半導体は、通信・交通などの産業インフラや、身近な電化製品まで我々の社会のあらゆるところで使われており、半導体なしには社会が成り立たない状況です。AIの発達に伴ってより高性能な半導体が求められ、市場規模のが拡大が見込まれることや、経済安全保障を確保する観点からも、半導体産業の振興は我が国挙げて取り組まなければいけない課題だ、ということからの総理の御発言だと考えています。
今回の法整備がどのようなものかは分かりませんが、半導体産業の振興に繋がるものであれば心強いです。
先日の府市トップミーティングでも話しましたが、半導体産業は素材の研究からデザイン・生産、EVやロボットなどの実装まで幅広い、裾野の広い分野なので、京都が持っている強みや特色を半導体産業にどう活かしていくかということです。京都でそうした構想ができれば、我が国全体の半導体産業の振興にも繋がるので、国が打ち出す方針をよく見ながら、国の施策内容も踏まえた上で、京都が持つ強みが発揮できる構想をどう作るかは我々にとって重要な課題だと考えています。
北陸新幹線について、前回の会見で国や与党PTから駅の位置やルート、事業費について何も聞いていないということだったが、その後変化はあったか。
変化はありません。前回答えた時と同じです。
北陸新幹線の建設費が2倍超になる可能性があると報道されているが、知事から国や与党PTに説明を求めるアプローチをした、もしくは、その予定はあるか。
今は法律に基づく環境影響評価の手続き中で、慎重な調査と丁寧な地元説明、地下水や建設発生土に対する対応を含めた施工上の課題について、適切な対応をお願いしていく立場なので、既にお願いしているそうしたことについて的確にやっていただくことが一番重要ですので、中身に関係なく、催促するつもりはありません。
報道では京都駅周辺の駅の位置が3案出ている。駅の位置やルートについて複数案提示される可能性があるが、色々な案が示されたとき、知事として駅やルートについて判断を示すことはあるのか。
複数の案が示されるかどうかについても全く聞かされてないので、仮定の質問には答えにくいのですが、一般的に環境影響評価の手続きでは一つの案が示されて自治体から意見を聞くことになります。複数案が示される可能性があるかないかについて、私には分かりませんので、今から複数案を想定して準備することについては全く考えていないです。
特定外来種のクビアカツヤカミキリの成虫が府内で初めて確認され、被害木も見つかった。府外では桜の名所での被害木も見つかったが知事の受け止めはどうか。危機感はどのように持っているか。
外来生物で、サクラなどのバラ科の木が狙われるということですし、被害木を発見したということは、一定程度の広がりがある可能性も否定できないということから、発表した上で情報提供をお願いしています。
我々としても大きな問題意識を持って対応するのですが、被害の拡大を防ぐには早期発見、早期防除が非常に重要なので、普及啓発と樹木医などの専門家を招いて、市町村職員向けや府民向けの講習会を開くことで、より情報提供してもらいやすくし、早期に防除できる対応を取りたいと考えています。
今のところは記者発表以降、発見情報はまだないのですが、早期発見のためには多くの人に関心を持ってもらうことが重要なので、我々も情報発信に努めていきます。専門家の方による市町村職員や府民向けの講習会も実施していきたいと考えています。
情報提供について、成虫が見つかった時点では西京区と向日市で発見されたと発表されているが、具体的な地域名までは出しておらず、その理由は風評被害だということだった。広く府民に早期通報を促すのであれば、本来は地域名を出して危機感を共有すべきだったと思うがどうか。
色んな考えがあると思いますが、被害木が出る前の成虫が見つかった時には地域名は言わず、見つかったことだけを発表しました。今回、被害木が出たので一定程度の地域名は公表しました。その辺りの方には、被害木があったのでとりわけ注意していただきたいということです。
これはあくまで早期発見、早期防除のための情報提供なので、どこの地区の特定の場所に被害があったかということに意味があるかというと、私自身は、一定の範囲内でより注意をしていただく人たちを特定できれば済むと考えたので、風評被害との兼ね合いを見れば、今の発表程度の特定の地域の範囲で我々の政策目的は足りるという判断です。
色んな考えがあるとは思いますが、成虫は飛びますし行動範囲もあるので、そこだけを特定するという話とは少し違うと思いますので、一定の範囲で注意していただきたいということで発表しました。
最初は市区町村名のみで、被害木が確認されてから地域名を公表したが、その対応が正しかったのか。
最初から合理的な範囲にすべきだったかもしれないですが、あまりに特定するのは風評被害になるおそれもあります。一つの地名が表す範囲も地域によってかなり違うので、個人宅を特定するような必要性まではないと考えているということで御理解いただきたい。
番地までは公表する必要はないとは思うが、知事は最初の段階から地域名を発表するべきだったと考えているのか。
施策目的と範囲にもよります。こうしたものは、公益と公益がぶつかるところなので、ぎりぎりのところが正しいです。どちらかに寄れば必ずどちらかの公益が阻害されるので、どちらかに寄りすぎるのはだめです。我々は常にぎりぎりのところで判断しなければいけないです。そのラインも社会経済情勢で変わるのですが、今の段階であれば町名くらいがいいと私自身は考えています。
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