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令和6年3月25日定例知事記者会見

令和6年度の執行体制について

本日は、令和6年度の組織改正と職の設置、人事異動規模などの執行体制について概要を御説明いたします。

令和6年度執行体制見直しのポイント

まずポイントは、「あたたかい京都づくり」の加速化に向けた執行体制の強化ということで、総合計画の着実な推進、それから複雑多様化する課題に迅速かつ的確に対応すること、時代に即した行政運営への転換というのがポイントです。

以下、(資料2頁の)上に記載している「安心」「温もり」「ゆめ実現」の3つの視点に基づいて説明します。

「安心」

まず、「安心」の第1番目は、あらゆる危機事象への対応に向けた体制の整備ということで、現在、危機管理監が1名いますが、それを補佐する役として、副危機管理監を新設いたします。この分は1名増員になります。

なお、自然災害への対応力の強化ということで2名増員し、有事につきましては、備蓄倉庫の最適化や防災システムの最新化に向けた人員体制の強化で1名、(資料3頁の)下段、今年の秋に近畿府県合同防災訓練という、これは持ち回りでありますが、かなり大規模な訓練があります。そうしたことも含めて、平時の防災力強化に向けた取組の推進に1名です。

なお、防災スペシャリストの養成のための国への職員の派遣につきましては、この2名増員とは直接関係ありませんが、そうしたスペシャリストを養成するために、今年度から内閣府の防災担当に職員を派遣していますが、それを継続して実施するものです。

それから次の(資料4頁)の「安心」の項目については、公営事業の更なる効果的・効率的な運営に向けた体制整備についてです。

令和5年度に上下水道一体として建設交通部の所管としましたが、今回は新たに、総務や経理、経営といった部門を「公営企業経営課」ということで、今までの「公営企画課」から名前も変えて、集約をいたします。

上水道と下水道それぞれについて、業務部門と市町村の支援部門を一体的にそれぞれのところで運営するという体制に変えさせていただきまして、市町村への支援体制の強化に繋げたいと考えています。

「温もり」

それから「温もり」については、現在は「こども・青少年総合対策室」と「家庭支援課」がありますが、「こども・子育て総合支援室」に名前を変えて、青少年(の課題への対応)の部分を「家庭支援課」の方に持っていくというものです。

現在は、ひきこもりの対策などは「家庭支援課」が担当しており、それ以外の有害図書やボーイスカウト・ガールスカウトといった、いわゆる青少年行政は「こども・青少年総合対策室」が担当していますが、青少年の分野については、一体的に対応させていただきたいということです。

それから(資料5頁の)下の段は、府内の中小企業のニーズに応じた人材の確保・定着、育成支援ということで、これも(当初)予算の発表の時に言っていましたが、「京都企業人材確保センター」を京都テルサ内に設置し、そのセンターを統括する企画参事を「労働政策室」に配置します。この1名増員です。

それから、その下は別の話になりますが、畜産と水産業を担う人材の確保のための体制強化ということで2名増員させていただきます。

「ゆめ実現」

次は、大阪・関西万博に向けた体制整備ということで、現在は総合政策室の中に万博推進係というものがありますが、いよいよ(開幕まで)384日となり、万博が近づいて参りましたので、推進体制を新たに整備するということで、「万博・地域交流課」というものを新たに設置いたしまして、その課自体は11名体制ですが、全体としては6名の増員で仕事をさせていただきたいと考えています。

それから(資料6頁の)下の段は、現在はものづくり関係については、工業や新産業の部分と、伝統産業の部分について、それぞれ副部長が2人で担当していましたが、海外の販路開拓など色々なことをやっていく上で共通する部分も多く、一体的に支援をしようということで、同一の副部長が一体的に所管します。

1人副部長が減るということですが、伝統産業も含めた形で、ものづくり産業への支援体制を一体的にすることによって強化をしたいということです。

時代に即した行政運営への転換

それから、時代に即した行政運営の転換の中では、まずは庁内の業務改善に向けた体制整備ということで、基本的にはDXを活用するということで、「行財政改善プロジェクトチーム」というものを新たに設置し、情報部門に2名増員をする訳ですが、それは事務局体制ですので、庁内を挙げたプロジェクトチームの体制として、庁内業務の効率化の検討並びに推進を進めたいと考えています。

それから(資料7頁の)下の段は、府有資産の有効活用へ向けた検討体制の整備ということで、これも検討のプロジェクトチームを設置いたしまして、総務調整課に1名増員しますが、未利用の府有資産はもちろんですが、現在利用中の施設であっても、工夫次第では活用ができるのではないかということで、もう一度、府有資産の活用可能性について洗い直すという意味で、検討体制を整備するものです。

ここまでが、組織改正関係です。

人事異動規模・異動の特徴

人事異動につきましては、規模については1,600人台ということで、中規模です。昨年は大規模でしたが、今回は加速化予算ということで、予算の中身や施策も、年度当初からスタートダッシュよく仕事をしてもらわないといけないものがかなりたくさんありますので、一定の継続性を重視したということです。本庁部長、広域振興局長については、若干の例外はありますが、基本的には留任です。部課長級の異動も最小規模にしています。

それから、女性職員の登用につきましては、女性管理職の比率が18.5%ということで、これは令和4年度の時は18.0%でしたが、それを上回って過去最高ということです。これにつきましては、課長級へ昇任する者が20名おり、去年10名だったと思いますが、それが増えているというところも1つ要因ですが、いずれにしても積極的な登用を行っています。

それから、主要ポストに積極的に若手職員を登用するということで、これはそれぞれのランクに応じまして、積極的に若手を登用したいと考えています。

私からの説明は以上です。

質疑応答

記者

組織改正について、今回は部の再編というよりは、どちらかというと個別の課題に対応するということかと思うが、改めて全体について知事の考えはどうか。

知事

(資料2頁目の)「執行体制見直しのポイント」に尽きますが、令和5年度は、一昨年の年末に総合計画を1年前倒しで改定して、それがスタートするということだったので、そこに盛り込んでいる施策について色々新しく検討もするし、すぐにできる施策は進めるということで、1年間かけて様々検討してきました。令和6年度は、その総合計画を着実に推進するために「あたたかい京都づくり」加速化予算と銘打って進めていきたいと考えていますので、色々施策について検討してもらった方やその組織については、基本的にできる限り年度当初の早いところから始動してもらおうという意図が1つあります。

それから、やはり部制の見直しを毎年できるかというと、継続性もありますので、今回は令和5年度に比べると規模が小さくなったということで、コンパクトな変更になっていますけれども、思いとしては総合計画の着実な推進のためにどうしても必要な継続性を重視したというのが一番です。

また個別の執行体制の見直しについては先ほど説明した通りで、例えば危機管理体制では能登半島地震だけでもないですが、いざ何かが起こった時に、やはり現場で指揮するのが危機管理監1名だけだと不在の場合もあり得ます。それから関係機関との連絡調整がたくさん必要になるということも今回の能登半島地震でも分かりましたので、そういうことを責任者として外部の人と調整するということであれば、副危機管理監という職を設けて、まさに危機管理監と一体的に動いてもらう形がいいのではないかというようなことなど、それぞれの新たな行政ニーズに合わせた執行体制の見直しを行いました。

記者

副危機管理監と危機管理監の住み分けはどうなっているか。

知事

危機管理監とは縦のラインにいますので、基本的には危機管理監が対応しますが、例えば、危機管理監がずっといるという訳でもなく不在の場合もあります。庁内の体制に対して指揮する時や、外部の方と接触する時に、もちろん部下職員もいますが、全て危機管理監が対応するという訳にもいきません。それから、何か事が起こった時に、これは霞ヶ関でもそうですが、いつも府庁に近いところにいることで、宿直体制の強化などにも繋げられると考えています。

そういう意味では、水平に役割分担すると責任が不明確になるので、あくまで縦系列にはいますが、危機管理監の意思を完全に体現した上で、副危機管理監には動いていただくということが前提です。

記者

大阪・関西万博までいよいよ1年で、体制を強化するということであるが、「万博・地域交流課」については、「地域交流」という名称もついているが、ここは万博に専念するところか。

知事

万博会場に関西パビリオンを作り、そこに京都ブースを設置します。そうしたことは明らかに万博に関する仕事ですが、一方で、京都側で万博の時にどういったイベントをするかや、コラボレーションをするかという場合、万博と銘打っていますが、それ自体は万博ではなく、地域活性化のイベントなどもある訳です。

大阪・関西万博きょうと推進委員会において、昨年の9月に策定したアクションプランVer.1の中でも、例えば、「川を活用しよう」ということや、「お茶の歴史を活用しよう」といったものがあります。万博といっても、実際に取り組むのは、京都府内におけるそうした万博のコンセプトを持ったイベントですので、あまり区別はつかないのですが、あくまで万博の時にイベントなどを開催することを前提とした課であることは間違いありません。

ただ、取り組んでいく中で、レガシーとして何を残すのかなど、色々なことを考えないといけませんが、まずは当面、来年の4月からの半年間でどういうことを京都府内でやっていくのかということと、先ほど言った、関西パビリオンの中の京都ブース、それから万博会場内の中央催事場や関西パビリオン中央の共通スペースでのことなど、万博に直接関わりのある調整も行います。

これは京都府だけで行う訳ではなく、今までどおり、京都市や経済界、文化関係団体を含めた推進委員会が母体として進めますので、その中の京都府の役割を果たすための課だと考えていただければと思います。

記者

知事も2期目に入ってしばらく経つが、組織面で施策を推し進めていく上での体制は整ってきたということか。

知事

2期目のスタートの時に総合計画を作り、そのスタートとしての令和5年度の当初予算案を編成し、しかもそれに必要な組織体制の骨格は5年度で作ったと考えており、基本的には、スタートは総合計画・当初予算・執行体制を一つのパッケージとして決めました。だからこそ職員にも無理を言って、半年あまりで総合計画を改定させていただいたということです。

ただ、そうはいっても各年度で新しい行政ニーズが起こって来ますので、今回、それに合わせた執行体制といたしました。令和5年度で基本的な枠組みは作っているので、その体制の下で着実に仕事をしていくのが令和6年度だと考えております。

記者

山下前副知事が任期途中で退任された経緯と、鈴木副知事を登用した理由を聞きたい。

知事

山下前副知事は、私が知事に就任した時に既に副知事だったので、非常に幅広い人脈をお持ちで、政策にも明るいということで引き続き副知事をお願いし、3期目もお願いしました。現在は3期目で11年となります。来年まで任期があるといっても、2月に就任されているので、その意味では任期が年度の区切りと合わない部分もありました。また、御本人の退任の意向が非常に強かったこともあり、交代を決めさせていただきました。

これまで京都全体の経済界・産業界の発展に非常に尽くされたと思いますし、改めて感謝を申し上げます。特に、総合計画の改定については1年前倒しで、しかも短期間で策定することについてお支えいただいたことに感謝しております。

後任の鈴木一弥副知事については、東京事務所長をされてから商工労働観光部長を務められ、山下前副知事の下で産業政策・経済政策に携わってこられました。総合計画の改定や、子育て環境日本一推進戦略の改定についても責任者としてやっていただきました。また、産業政策の目玉である「産業創造リーディングゾーン」の進行管理を企画理事として2年間担当していただきました。府政全般についての最新の流れや施策の経緯、今後の展開について一緒になって考えてきましたので、まさにこれからは一段高い立場で仕事を前に進めていただくことを期待したいということで選任いたしました。

記者

昨年末に子育て環境日本一の戦略を策定されたが、それに関係する組織体制の変更などはあるか。

知事

もともと総合計画の中で「社会で子どもを育てる京都の実現」と言っており、戦略を考える時から組織体制はありました。今回の組織改変である家庭支援課についてはどちらかというと青少年行政の一元化であり、もちろん子育て環境には繋がりますが、直接関係するものではありません。

こども・青少年総合対策室を作った時や、子育て環境日本一の戦略自体を企画理事の下で策定した時など、これまでからも組織体制を整えてきたつもりですが、家庭支援課を家庭・青少年支援課にするのは、その一環ではあります。

記者

執行体制の中で、女性の管理職の比率が過去最高の18.5%になったが、この数字について例えば、「よくやった」とか「20%まではいきたい」など知事はどのような感想をお持ちか。

知事

もともと20%という目標を掲げているので、目標に到達していないという意味においては「よくやった」ということではなくて、まだまだです。しかも、20%でいいのかという問題もあります。

ただ、一方で管理職になるということは、管理職の一歩手前の仕事をしている人が一定の規模でいないと、いきなり管理職になる訳ではないのでいけません。その意味では、最近は採用比率で4割が女性になっているので、いずれは徐々にそうした環境が整ってくると思いますが、急に1年で大幅には増えません。徐々に育成して管理職になる前の人材の数を確保することからだと考えています。

今回たまたま過去最高となったのは、昇任者数が前回は10名だったのが今回は20名と多く、数字としては効いたのだと思います。それとて20名になるということは、それまでの間に徐々に環境を整えていたということです。まずは20%というのは目標の数値として掲げていますので、達成を目指して引き続き努力していきたいです。

記者

他の都道府県や政令指定都市と比較するとどれくらいになるのか。

知事

管理職員に占める女性職員の比率の全国順位は12位で、令和5年度の実績です。この時の全国平均は14.9%です。

記者

府内でもはしかの感染報告が相次いでいるが、京都府内の状況や、府の対応があれば教えてもらいたい。

知事

京都府内では、2019年を最後に今まで発生数がゼロでしたが、3月12日に1例目ということで、30代男性の感染が京都市内で確認されました。ただ、その後は、この1例目の方との2次感染を疑うような事例を含めて発生していないということです。

はしかは散発的に発生しているのですが、例年と比べて患者数が増えているかというと、そうでもないように思います。全国的に見ても、今のところ海外からの輸入例とその輸入例からの感染事例のみが認められている状況ですので、ワクチンを慌てて接種するような状況ではないとは認識しています。

ただ、海外への渡航を予定されている方や御心配な方については、過去の罹患歴やワクチン接種の回数などをかかりつけ医の方と相談されたらいいと思います。場合によっては麻しん抗体価という、いわゆるはしかのかかりにくさといったことも調べることができます。

その場合でも本当に不安な方はワクチン接種を検討していただきたいと思いますが、患者数がそんなに急激に増えている訳でもないというふうに認識しています。

記者

能登半島地震については、来週で発生から3カ月となるが、京都府の今後の支援としてどういったことを考えているか。

知事

まずは、今回の震災でお亡くなられた方に謹んでお悔やみ申し上げますと共に、被災された全ての方に心からお見舞い申し上げます。

被災直後から消防や警察、医療関係の方にはかなり幅広く被災地に入っていただいて、最初は救助・救出活動から始まり、支援活動をしていただいています。

我々は対口支援先が関西広域連合の枠組みの中で七尾市に決まりましたので、1月5日からリエゾン職員を派遣し、9日から府内市町村とも合同で、まずは避難所運営の支援を開始し、2月6日からは罹災証明書の発行業務にも応援に入りました。

上下水道の復旧や、避難所も避難されている方が徐々に減少していき、集約化が進んでいます。罹災証明書の発行業務もピークからは減少していると考えています。ただ、現地の状況を聞いていると、七尾市からも一定、支援のニーズがあるので、それぞれの支援先の市町によって状況が違うのですが、我々としては引き続き、避難所運営や罹災証明書の発行、場合によってはその他の新たな支援ニーズが出てくる可能性もあるので、4月以降も引き続き支援をしていきたいと考えています。

これは我々だけでしている訳ではなく、京都市、それから今は埼玉県、さいたま市からも支援に来ています。また、責任者として中部ブロックの名古屋市が入っておられます。そうしたところともよく相談しながらですが、私としては4月以降も基本的には支援を続けたいです。同じような形になるのかはまだ分かりませんが、かなり支援ニーズも変わってきていると思います。

もう1つ重要なことは、石川県と文化振興等に係る連携・協力に関する協定を結んでいます。特に文化財の修復や、石川県産品の販売・展示への協力、それから観光振興についても色々とニーズがあるので、その辺りについてはもう少し息の長い支援になると思いますが、地元のニーズを聞きながら、これは七尾市だけでなく石川県全体に対して、できるだけの支援をしていきたいと考えています。

記者

文化振興に係る連携協力協定の関係で、新たに計画されていることはあるか。

知事

文化の範囲というのが実際は難しいのですが、既に輪島塗などの伝統工芸品の販売・展示について、京都府内で行われているイベントへの出店についてお声がけをして、実際に出店していただき、販売実績も出ています。そうしたことについては、逆にこちらから情報提供をして継続していきます。

文化財については、まだ被害全体の状況や、どういう支援ニーズがあるのかもわかっていませんが、文化庁の方でも現地に窓口を設置されて支援に取り組んでいくとのことです。今のところは、文化財修復についての具体的な依頼などは来ていないと聞いていますが、こうしたニーズはいずれ出てくるので、時間はかかるかもしれませんがやっていきたいと考えています。

記者

文化庁の移転から1年が経つが、この1年で見えてきた効果と課題を伺いたい。

知事

文化庁の移転は3月27日ですので、まもなく移転1年となります。文化庁は、移転を契機に長官の直轄組織として文化観光推進本部と食文化推進本部、それから長官戦略室を設けられていて、機能を強化して京都に移転されたと考えました。

移転後、霞ヶ関にいるよりも非常に現場が近くなったという利点があるので、長官はじめ、各職員の皆さんが祭りをはじめとする地域の行催事、京都府や市町村、様々な団体が主催する行事にもかなり積極的に参加されていると思っています。

特に若手職員を中心に、文化庁の職員と京都府・京都市の職員との定期的な意見交換もしていますし、文化庁の幹部の方が府内を回って、市町村長から色々な意見聴取をしたということで、そうした意味においては地域文化への理解や地域課題の把握についてはかなり進んでいるのではないかと考えています。

見えてきた効果と言われるとそこまで出ているのかとは思います。

ただ、そうした動きが必ずや政策の企画・立案に繋がるし、我々も経済界も含めて、文化関係団体と一緒に文化庁連携プラットフォームを構築して色々な検討をしていますので、私の思いは令和6年度からがそうした施策の企画立案・推進の本格的な年度になるのではないか、また、そうしなければいけないと考えています。

その中で重要なポイントとしては、もともと京都市と府市協調で、オール京都での誘致にも取り組んできたこともあり、移転の効果を出すには京都府と京都市とが連携していくことが重要だと考えています。

あまり例を挙げてその例にこだわってしまっていけないのですが、例えば我々はArt Collaboratoin Kyotoをやっていますが、あれは国際的な評価も高いです。一方で、京都市も色々なアートフェアをされていますので、こうしたことについても、もっと連携してオール京都で国際アート市場を作っていくべきではないかといったことや、京都市では、京都市立芸術大学が民間企業と連携し、アートとテクノロジーの融合ということを仰っていますが、我々は大山崎町でアート&テクノロジーヴィレッジ京都をオープンして京都市立芸術大学とはそれほど距離も離れていません。

府市協調を前提とした文化振興のネタはいくつかあるので、もっと熟度を高めていって「文化の都・京都」に繋げていきたいです。令和6年度からいよいよ本格的に、「文化の都・京都」づくりへのスタートを切りたいです。

記者

移転の効果が府民に見えづらいという声も一部あるが、どう考えているか。

知事

私も誘致時に自問自答しましたし、どういうものがあれば効果として感じていただけるのかということですが、文化庁といえども行政機関なので、ただ来ただけで効果があるということは絶対になくて、そこで行われる政策が重要ですが、役所だけが活性化しても仕方がないので、やはりオール京都で文化庁が来たことによってできた新しいイベントや、新たな取組などが現れてくることが重要ではないかと考えています。

現に、少しずつ効果が出ていると思います。例えば、日本版グラミー賞を文化庁で進めると言っていますが、こういったことは文化庁が来たからこそできることだと考えています。そうすると神社仏閣を活用し、それと連携した音楽祭を開催しようといったことが出てきます。

1年ですぐ即効性のある効果は出てこないと思います。ただ、ぐずぐずしていたらあっという間に日が経ってしまいます。だからこそ継続性を重視して、令和6年度の年度当初からスタートダッシュをしたいです。

記者

4月1日以降、コロナワクチンの定期接種は自己負担が生じる場合があるが受け止めと対応はどうか。

知事

今までは特例臨時接種ということで、全て公費負担でやっていました。それが4月以降は季節性インフルエンザと同等の扱いになるということで、65歳以上の高齢者と60~64歳で重症化リスクのある方については年1回の定期接種となります。そうした意味で自己負担が一部生じることになります。

これは御指摘のとおりですが、通常の予防接種の形になったのかなと受け止めています。ただ、低所得者については季節性インフルエンザと同様に接種費用が無料になるように京都府からの財源ではありませんが、国から市町村に対して普通地方交付税の措置が行われるということです。

それから、この前、国の方からもワクチン等の接種費用が想定よりも高くなることを前提に、助成金を市町村に出すことによって、一定程度の額に抑えるという話がありました。今までの特例接種から急に高額にならないようにということで、国から直接市町村に助成金が出されるものです。その意味では一定の財政的な配慮が行われた上で、通常のワクチン接種に戻るという形なので、できる限りの配慮が行われたのではないかと考えています。

記者

ライドシェアについて、先週、京都府タクシー協会の会見で4月中旬から50台から100台程度でライドシェアを開始したいという発言があったが、知事の所感はどうか。

また、会見の中で、オーバーツーリズムや交通混雑といった交通の問題をより良い交通事情にしていくための一つの手段としてライドシェアを活用したいという発言もあったが、ライドシェア解禁を契機とした京都府としてのタクシー業界や交通事業者との連携による交通問題への対応についての考えはどうか。

知事

国が一定の指針を作って、それに基づいて京都府タクシー協会が京都版のライドシェア「京都クルー」の開始を表明され、一定の事業者がそれに参加することを表明されています。新たな制度が導入されて、しかもそれをいち早く自分たちの事業に取り入れるということです。せっかくできる制度ですので、それを交通状況の改善や観光振興・地域活性化、場合によっては住民の生活向上にも繋げていただくということで歓迎したいです。

そのこと自体に府が直接コミットすることはないのですが、我々としては、制度が始まれば、制度があることを特に京都府外から来られる観光客の方にPRしていくという周知や国との調整等について依頼があれば我々もさせていただきたいです。

それから、2月議会で議決された交通事業者の担い手確保の支援事業もありますので、これも活用した上できちんと対応したいと考えています。

また、交通混雑もありますが、地域住民の足の確保の問題もあります。例えば京都市が観光地への直通バスの運行を考えられたり、私自身は、例えばJR嵯峨野線が非常に混むということで、コロナ減便にでなった分やそれ以外のものも含めて復便をお願いしたところ、即座にJRにお応えいただいて復便することになりました。

全体の公共交通についてはそれぞれの役割分担に合わせて、全体としてきちんと確保できるように努力していくものと考えています。

もっと大きな交通体系の問題については時間がかかることですが、とりあえず今回ライドシェアという新しい取組の開始を表明されたそれぞれの業者の方々には心から敬意を表します。うまく円滑に制度を運用してもらえればありがたいです。

記者

日銀がマイナス金利政策を解除したが、受け止めはどうか。また府としての対応はどうか。

知事

日銀の判断については、かなり長い間の検討をされ、賃金と物価の好循環を確認されて、持続的・安定的に2%の物価安定の目標が実現していくということが見通せたという判断で、マイナス金利政策の解除を含めた金融政策の変更が行われたと思っております。

一方で、日銀の植田総裁は緩和的な金融環境は継続するものとして、今回の措置を受けても貸出金利が大幅に上昇するとは見ていないとも発言されています。

ただ、そうは言っても厳しい経営環境にある中小企業は当然ありますので、今後、貸出金利等が上昇していく場合に、経営環境に影響が出る懸念も当然ありますので、そこは府内経済全体への影響も含めてきちんと注視したいですが、当面、我々がマイナス金利の解除を受けて何か施策をすることは考えていません。

一方で、金利対策については、京都府の制度融資もありますが、融資済みの分は長期固定金利でやっています。制度融資というのはセーフティーネットの役目も果たしますので、これについても何とか地元の金融機関の協力を得ながら直ちに金利を上げることなく運用していきたいです。

ただ、先ほど言いましたように全体の金融環境はよく注視していかなければいけないと考えています。

記者

まもなく桜が開花するということで、京都府内にも多くの観光客が訪れると思うが、それに対するオーバーツーリズム、インバウンド対策について伺いたい。

また、祇園での舞妓さんへの迷惑行為や私道への立ち入りなどの迷惑行為などに関する報道もあり、地元協議会も対策に悩んでいるが、府としてはどのように受け止められているか。

知事

桜や紅葉など、時期によって観光客の多寡はあると思います。オーバーツーリズムという言葉の定義は色々ありますが、特定の地域に、特にインバウンドを中心に観光客が集中する状況で様々な影響が出ることがオーバーツーリズムだとすれば、一つは分散化を図ることが一番だと考えています。場所の分散もありますし、時期の分散化もあります。桜については、京都府内に桜の名所はたくさんありますので、分散してもらえるとありがたいです。

今、京都市内で観光客の集中が特に激しいのは、嵐山と祇園と伏見稲荷と金閣寺ぐらいだと思います。それ以外にも桜の名所はたくさんありますので、分散化してもらうことは十分に可能だと考えています。そのためにも広報や周知徹底というのは、既にやっていますが、重要なことだと考えています。

後半のマナーの問題は、オーバーツーリズムに伴う問題で、コロナ前は民泊のゴミ出し等、他のマナーも含めて様々な問題があったので、これについては、京都市と京都府で連携して外国人観光客向けにマナーについての注意をしています。

迷惑行為は絶対にあってはいけません。それは祇園の人にもですし、快適に観光したい人にとっても決してよくないと思いますので、そういった事例が起こらないように我々は努力していかなければいけないと考えています。

記者

迷惑行為の事例について、府に相談は来ているか。

知事

私のところまで直接は来ていませんが、報道では承知しています。例えば単に舞妓さんや芸妓さんの写真を撮ること自体は迷惑ではないと思いますし、どういう範囲で、どういう行為が迷惑になるのかについては、特に外国の方は風習の違いによる意識のずれがあると困るので、その辺りについて、我々の方で日本のマナーや立ち居振る舞いについて広報する必要はあると考えています。

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