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令和6年3月1日定例知事記者会見

能登半島地震被災地視察の報告について

1点目は能登半島地震の被災地への訪問についてです。

地震発生以降、被災地訪問については慎重に検討しておりましたが、発災から2カ月が経ち、水道などインフラの復旧もある程度は進みつつあるということで、石川県と七尾市と調整した結果、一昨日の2月28日に、石川県を訪問し、馳知事と茶谷七尾市長との面談、それから被災状況の視察を行いました。

訪問の目的として1点目は、これまで石川県の被災地全体では、消防・警察による救助・救出や、DMATなどの医療関係による支援のほか、対口支援先である七尾市に避難所運営や支援物資の配布、また罹災証明書の発行業務の支援、それから教育委員会による学校再開の支援を行ってきたところですが、今後の復興に向けて、直接、知事や市長から支援ニーズを聞くということです。2点目は、七尾市に派遣している京都府職員と府内の市町村職員を激励することです。3点目は、今後の京都府の地震対策に活かしていくためにも、直接被災現場を見たいということでした。

まず馳知事との面談においては、これまでの支援への御礼がありましたが、私からは、京都ならではの強みを活かして、被災した文化財の修復に係る支援のほか、石川県産品を京都府で開催するイベントやキャンペーンなどでの販売、それから情報発信などの支援もこれからも行っていきたいと提案させていただきました。

茶谷市長からも、これまでの支援への御礼がありました。

私からは、現在行っている避難所運営と罹災証明書発行の支援に加え、3月に、七尾市に向けた災害ボランティアバスの運行も予定していることをお伝えしました。

また和倉温泉の様子を見て、お互いに観光地であるということで、宿泊施設の早期復旧が必要であるという認識で一致したところです。

我々としては、支援団体としての役割として、発災直後の緊急的な支援から、復興のための中長期的な支援への移行を検討する時期に来ているのではないかと考えております。

特に、文化財の復旧や伝統産業などについては、昨年12月に石川県との間で「文化の振興等に係る連携・協力に関する協定」を締結したこともあり、文化庁とも連携して、しっかり支援していきたいと考えております。

資料にも書いていますが、当面すぐの具体的な支援としては、3月6日から9日に、ホテルカンラ京都において、「DIALOGUE 2024」という全国の伝統工芸品等の展示販売・商談会があります。会場のホテル内に特設コーナーを設置し、輪島塗等の商品を展示・販売することとしております。

また、歴史的建造物など文化財の復旧支援については、一定程度時間が必要ということで、今後、石川県、また文化庁とも相談したいと考えております。

いずれにしても、今後の支援ニーズに応えられるよう、石川県、それから国、知事会、関西広域連合とも連携しながら、対応したいと考えております。

これまでの京都府の対応の経過につきましては、後ほど資料を配付させていただきます。

馳知事との会談後に、七尾市内の和倉温泉などの被災状況と、大規模な崩落があった「のと里山海道」のほか、大きな被害を受けた輪島市の総持寺祖院、それから地盤が隆起しています黒島漁港などの被災現場の視察をさせていただきました。

道路の崩壊、住宅などの建物の倒壊、海岸の隆起などの被害を見て、改めて被害の大きさを実感しましたし、当然避難されているので「まち」に活気がなくなっていると感じたところであり、一日も早く被災された方々が日常を一日も早く取り戻せるように、引き続き支援の必要性を強く感じたところです。

今回と同じような地震被害は、京都府でも発生する可能性があります。また、今回の地震で被害を受けた海岸沿いの町、村や中山間地域は京都府にも多くありますので、その辺りの地震対策を改めて検証する必要があると感じています。

いずれにしても今回の視察も踏まえ、来年度に予定している「京都府戦略的地震防災対策指針」の改定、また「地域防災計画」の見直しに活かしていきたいと考えております。

京都府危機管理センターの運用開始について

2点目は京都府危機管理センターの運用開始についてです。

常設の危機管理センターの整備を進めてまいりましたが、災害対策本部会議室や映像情報システムなどの機能が一定程度整いましたので、本日からセンターの運用を開始いたします。

なお、残る工事については、引き続き実施し、本格稼働は7月中を予定しています。

センターの主な特徴としては、1点目が災害対策本部会議室の常設と、職員の常駐による迅速な初動体制の確立、2点目が新たに整備した映像情報システムをはじめ、災害の情報を一元的に集約し、関係機関と共有可能な通信環境の構築、3点目は今月から工事に着手するエリアですが、関係機関からの派遣職員に活動いただくためのオペレーションルームや備蓄庫、休養室など、災害時の業務環境の構築ということです。

この会見終了後、この建物6階北側エレベーターホール前のセンター入口において看板除幕式を実施いたします。その後引き続き、報道機関の皆様には実際にセンターの内部を御覧いただきたいと考えておりますので、御参加をお願いします。

また、3月8日(金曜日)には、新しいセンターで初となる地震災害対応訓練を行います。

京都府内で最大震度7の直下型地震が発生した災害を想定し、府職員のほか、消防、警察、自衛隊などの関係機関にも危機管理センターに参集いただき、災害対策本部会議の運営について確認いたしますので、この点についても当日の取材をお願いいたします。

このセンターを新たな危機管理の拠点として、平時から市町村、関係機関と連携して災害対応力の向上を図り、府民の皆様の安心・安全につなげていきたいと考えております。

路線バス「園福線」の運行継続について

3点目は路線バス「園福線」の運行継続についてです。

福知山市と南丹市園部町間を走る「園福線」については、令和4年12月に現在の運行事業者である西日本ジェイアールバス株式会社から撤退の申し出を受け、沿線自治体である福知山市、南丹市、京丹波町とともに、地域の移動手段を確保するため、運行継続に向けた調整を進めてまいりました。

新たな運行事業者については、公募により京都交通株式会社と有限会社中京交通を選定し、京都府と沿線自治体が共同で、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づく「地域旅客運送サービス継続実施計画」を作成し、国に認定申請していたところです。

その計画が、本日国土交通大臣から認定を受けました。これにより、運行に伴う経費に対する補助など国の支援の特例措置を受けられることとなります。新たな運行体制による運行については4月1日から実施されます。

地域旅客運送サービス継続実施計画の認定は府内では初めてであり、また都道府県を含む複数自治体が共同で作成した計画の認定というのは全国初と伺っております。

運行継続に当たっては、国、沿線自治体の支援のもと、地域ニーズに対応して、病院や商業施設などに乗り入れるなどの利便性向上のほか、運賃の値下げを行うことで、学生などバス利用者の負担軽減が図られています。

京都府としても、国や沿線市町などと協調し、運行経費などに対する支援を行うとともに、この地域の公共交通の活性化に向けて取り組んでいきたいと考えていますので、広く周知をお願いいたします。

私からは以上です。

質疑応答

記者

被災地を訪問された際、馳知事、茶谷市長から支援の要望は何かあったのか。

知事

もちろん支援の要望はありました。

馳知事との間では、文化の振興に関する連携協定もありますし、文化財の被害の状況がまだわからないところがありますが、文化庁の京都移転は馳知事が文部科学大臣の時に推進していただいた方ということで、文化庁とも相談しますと言ったら、是非、国とも一緒になって、そういう支援をして欲しいということでした。

それから、先日、岡崎の平安神宮参道で2日間にわたって開催した「和食の祭典」において、石川県のブースを設けまして、結構、売り上げもよかったということもありましたので、我々のイベントとか、そういうものについては是非とも声をかけて欲しいとのことでした。ただ、馳知事の方も、販売ということであれば多分、京都だけでなく全国に向けて発信したいということもありますし、準備する方も結構大変なところもありますので、是非息長く支援して欲しいという話がありました。

今後の復興に向けては、やはり産業振興と、それから文化財の修復ということでした。

それから七尾市の方は、今、対口支援で行っていて、それはまだ続きます。避難所運営と、特に罹災証明書の発行がピークを迎えているということもありまして、その支援はありがたいということでした。

また、ボランティアについては募集してすぐ満員になったので受付は終了しているのですが、家は倒壊していないけれども家の中の整理のニーズがまだまだあるので、ボランティアは本当に来てもらうとありがたいという話をされてまして、ボランティアバスを運行し、まずは3月に行きますという話をいたしました。

それから、和倉温泉は全てのホテルが休業していて、あそこを復興させないと奥能登の復興はないと市長も思っておられました。結構時間がかかるかもしれませんが、いずれ復興してくれば、観光地同士なので、連携した形での観光振興にも協力して欲しいという話がありました。

記者

文化財の修復についての支援を提案されたとのことだが、どんなことができると考えているか。

知事

お金の問題は、我々がというよりも、もちろん国の制度もあります。

文化財といってもいろいろありますが、今壊れてるのは建造物です。文化財の建造物については京都府にも専門家がいますので、まだそこまでの段階には来ていないということですが、修復にも人手が非常にたくさんいるはずなので、マンパワーの派遣もきっと必要になると思いますし、専門家はそんなにたくさんおられる訳ではないようですので、そこは是非とも協力をさせていただきたいと考えています。

これは都倉長官とも話していて、文化庁としても文化財の修復について何か、国の方での支援が必要ではないかという問題意識を持っておられました。

被害の全容とか、どういう形で修復するかといったところまでまだいってないものですから、それは少し時間もかかる話かなと思っています。

記者

七尾市長との話の中で出てきた観光地同士の連携というのはどのようなイメージなのか。

知事

コロナ前のインバウンドの行先の状況を見ると、京都観光の後にサンダーバードで石川方面に行かれる方がかなり多かったです。結構長い間滞在されるということであればパッケージになると思いますし、和倉温泉などは1つの観光地の拠点ですので、京都に来た人をそちらに送り込むなどということが考えられます。

和倉温泉自体はまだ全く営業していないですし、水が止まっているだけではなく、建物の被害も結構あるみたいですので、少し時間がかかると仰ってましたが、そういう連携したパッケージとしてのツアー造成など、そういう話がありますねという話を市長との間でさせていだきました。

記者

「北陸応援割」が始まるが、知事の受け止めはどうか。

知事

やはり石川県全体の活性化をしていかないと被災地の復興にもつながりません。そうした意味においては、和倉温泉のように行けないところもありますが、石川県の復興のために旅行先として選ばれる可能性のあるところがあるのであれば、旅行割で支援すべきだと思います。

統計の結果ということではありませんが、聞いたところによると「インバウンドの人は、被災していないところでも金沢方面への旅行を控えられているのではないか」と地元の方が仰っていました。そういったことがあれば、需要喚起という意味では一定の役割を果たすと考えています。

記者

(被災地訪問の)3点目の目的の、府の地震対策につなげるという観点では、「京都府戦略的地震防災対策指針」や「地域防災計画」の改定を行うと言われているが、今のところどのようなことを考えているか。

知事

これは議会でも質問が度々出ていますが、道路の寸断によって救出・救助に対する影響が出ましたし、今もインフラ復旧には道路の寸断が一つの課題になっています。それは避難所運営など全てに影響しています。そこが一つあります。

また、水道をはじめとするライフラインの復旧の遅れがあります。

それから、二次避難について、二次避難が必要だということは最初の避難所がかなり劣悪な環境だったのではないかと思われるので、その辺りの避難所開設の話があります。

今回の地震においていくつかの課題が見えてきておりますので、それを活かすということです。

ただ、地形の条件なども全て違うので、京都府でどう活かしていくかについては、今後のことであり、私自身まだイメージはありません。

また、能登半島地震の検証が終わっている訳ではありませんが、課題の一つが木造家屋の倒壊が多かったということです。これは検証も必要ですが、先行的に令和6、7年度で耐震化率を上げなければいけないということで、令和6年度の当初予算において、2カ年度で緊急的に耐震化率を上げるための補助制度の拡充を盛り込ませていただきました。これは京都市も歩調を合わせて拡充されるということです。できることから始めようと思っていますが、それも一つの大きな課題です。京都は特に木造家屋が多いので、そこは共通性のある課題だと考えています。

記者

具体的な支援で、輪島塗などの商品の展示・販売とあるが、そうした業務を京都府の職人さんが行うということか。

知事

どのように販売するかは別ですが、もともと「DIALOGUE」では、輪島塗の展示・販売は想定していませんでした。

このイベントは、(ホテルの)客室やロビーで展示をするとともに販売もするものです。これを輪島塗の展示・販売に活用されたらどうですかということを我々から提案しています。いくつか物が出るとは思いますが、石川から人が来たり、品物を送ったりしないといけません。「DIALOGUE」は生産者がその場で解説するのが一つの特徴なので、ありがたいということで参加を決定いただいたということですが、我々ではなかなか商品の説明ができません。

なお、この間に開催した「和食の祭典」では石川県庁の方も民間の事業者の方も来られていました。

誰かに来ていただいて、このイベントの中に(輪島塗の展示・販売を)組み込むということです。当初は予定していませんでしたが、特別にスペースを開けることなどの申し出をしたということです。

記者

被災地に行かれて一番印象に残ったことは何か。

知事

知事や市長との懇談については、あくまで懇談ということで、私としては一番最初に行ったところで、何といっても和倉温泉です。和倉温泉には過去にも行ったことがあるのですが、すごく賑わっていたところに人がほとんどいなくて、全てのホテル・旅館が閉まっていて活気がないことを痛感しました。道路も波打っていて、建物も被害を受けていたのが一番印象に残っています。

それから「のと里山海道」を通る時に、(配付資料の)写真でも片側が崩れていますが、崩れているところもいろいろで、崖になっていたり、谷筋になっていて落ちているところなどがありました。また、全部がだめになっていて仮道を山側に作っているところもありました。

しかも、七尾市に比べて北に行けば行くほど道路や、周りの被害の状況も酷くなっていき、最終的に輪島市に入るとかなり倒壊している家屋がありました。特に木造家屋の倒壊しているところは大変だと思いました。

また、印象に残ったのは總持寺祖院です。ここは曹洞宗の永平寺と並ぶ総本山であり、昔に火事があって総本山自身は横浜の鶴見に移っていて、「祖院」というのはもともとあったという意味です。たまたま僧侶の方がおられて案内をしていただいたのですが、前の能登半島地震の時にすごく壊滅的な影響を受けて、十数年かけて耐震補強も含めて修復して、一昨年に落慶法要したのに、また今回被災してしまったとのことでした。耐震補強で防げたところもありましたが、地震の揺れ方が違ったそうです。

今は登録文化財ですが、重要文化財への指定の準備で、文化庁に申請をして調査官も見に来ていたということですが、またこれから十何年もかけて本当に復興できるのかという話もお聞きしました。おそらく奥能登は様々なお寺も含めてそういう状況になっているのでないかと思います。これは非常に印象深かったです。

最後に黒島漁港です。地面が4メートル隆起している状況というのは、漁港がもともとどういう構造だったのか一瞬理解できず、改めて被害の大きさを感じました。

どこも印象深いところばかりでした。

記者

總持寺祖院の僧侶の方とお話されたということだが、それ以外に被災地の方とお話されたか。

知事

支援に行っている京都府と市町の職員とは話をしましたが、それ以外にはありません。

記者

被災地の支援として、文化財の修復支援に大きな役割を果たすと言われた。全国の国宝・重要文化財の2割程度が京都に集中しており、修復のノウハウもトップレベルのものがあると思う。府には文化財保護課の職員で、宮大工が7、8人いると聞いているが、そうした方を支援のために派遣する考えはあるか。

知事

国宝というと仏像のようなものもありますが、今回被害が大きいのは建造物なので、その専門家もいますので、そうした派遣もできますと馳知事に御提案申し上げました。

ただ今は、まだそこまではとてもいけず、總持寺祖院を見ても、中に入るには、いつ崩れるか分からず危ないので、色々な骨組みを入れて補強をして、やっとついこの間から全国に散らばっている總持寺祖院で修行された方が戻ってきて、中にある御神体や仏像の整理を始めたばかりだと仰っていました。

雨漏りがするそうでドローンで屋根の状況を確認している状況ということでしたので、まだ具体的にどうかという話にはなかなかなりませんが、そうした可能性はあると思います。

京都府もそうですが、奈良県にも、文化庁にもそうした方がある程度おられ、しかも文化庁はここにある訳ですから、いざとなれば連携した形で行くことになると考えています。

実際修復になると民間の業者も参加しないとできません。その辺りはまさにこれからの話ですが、石川県とは「文化の振興等に係る連携・協力に関する協定」を結びましたので、それは馳知事から話がありまして、今回の地震対応では文化財の修復だということで申出をしました。

記者

危機管理センター設置の意義について改めて伺いたい。特に常設になることで、これまでとはどう違い、どう府民の安心・安全の向上につながるのか。職員の方の対応はどう変わるのか。

知事

常設されているということは、そこに常駐の職員もいますが、危機管理事象の発生時に、どれだけ早く初動の体制を確立できるかというのは、実は非常に重要なことです。常設している訳ですから、それがすぐに対応することができます。今は、その度ごとに、部屋をしつらえているので、まずは迅速な初動体制の確保ということについては、圧倒的に早くなると考えています。

それから最近は、やはり映像情報で災害状況を早く把握し、しかもそれを関係の市町村や警察、消防、自衛隊などに共有するということがあります。映像のシステムを新しいものにして、ヘリからの映像もありますが、最近ではドローン、それからそれぞれのインフラにライブカメラをたくさん設置しており、そうした映像情報をどんどん接続していくことによって、リアルタイムに映像情報が出てくることで、そうした関係機関との情報共有が非常にスムーズになるということです。

それから夏に向けてのことですが、今まで災害時に応援に来られた方がいるスペースは会議室の端しかありませんでしたが、そのための部屋をオペレーションルームとして作り、それから備蓄室や給湯室なども作り、災害時の業務環境の改善をするということで、より的確な業務運営ができるということです。

その辺りの3点ですが、ただ、あくまで運用するのは人間なので、このセンターの運用の習熟や映像システムの操作を含めて、訓練の日だけではなく常日頃からきちんと、いざという時に運用ができるように習熟度を高めて、センターの機能がより高度に発揮できるように努力したいです。

記者

石川県庁や市役所も訪れられたと思うが、行政の対応などについて、こうしたセンター設置の重要性が高まっていると感じたか。視察の感想も含めて伺いたい。

知事

私は知事室と秘書室にしか行っておらず、県庁や市の防災センターに入っていませんが、これは私の国土交通省の時の経験からでもありますが、やはりいざという時にそこに人が集まって、そこにいかに的確に情報が入ってくるかということが、災害対応の時に、非常にキーポイントになるので、映像システムも含めて常設のところができるというのは、明らかに危機事象対応能力が増えると考えています。

行政というよりも、まさに司令塔としての機能を果たすためには、センター機能が必要だと考えていますので、今回このセンターができることによって、そうした能力が飛躍的に向上すると考えています。

実は国土交通省の2号館の十何階に、もともと防災センターがあり、東日本大震災の時には1日2回程度、その十何階を階段で上り下りしましたが、その教訓によりその後は3号館の4階か5階に、完全な形ではないですがセンターを設置することになり、徐々にセンターの重要性を認識できてきました。

以前は応援職員の人がすぐに来ることはありませんでしたが、今は来るのが早く、消防、警察、自衛隊、それから気象庁の方など、いろいろな方が一斉に来られるということもあり、場合によっては特定の市町村であればそこからの連絡の要員も来るし、それから府は振興局がサブの本部になりますので、そことの対応もできるということで、いずれにしても、そうした意思疎通や情報共有という意味においては、センターの存在は大きいと考えています。

記者

園福線については、地方公共交通が厳しい状況の中で、ダイヤを維持しつつ、運賃の負担も軽減した上で継続するということだが、これは京都府の支援も入るのか。

知事

もともと我々は一定の支援をしていましたが、この計画認定によって、より規制が緩和されたり、国の支援の条件に特例措置を適用できるといったことがあります。

今まで支援していなかったということではありませんが、例えばバスが近づいてきたことを知らせる「バスロケーションシステム」によるサービスの向上や福知山市民病院や商業施設への乗り入れ、運賃値下げなど、少しでも利用促進につながるようなことについては支援策を拡充したことで実現したものです。もちろん業者さんの営業努力も当然あると思います。

我々は計画を作って、国に認定をしてもらうところで汗をかかせていただきました。

ただ、それにしても厳しい状況に変わりないので、我々としては、サービス水準が向上していますので、是非利用していただきたいという思いです。

記者

先日、厚生労働省の発表では、昨年、京都府内に生まれた子どもの数が1万4,646人で8年連続の減少となった。この数字の受け止めと、今後の対策について伺いたい。

知事

今回速報値では1万4,646人で、一昨年に比べて-7.41%であり、しかも8年連続で減少しており、この数字は極めて深刻な状況なので危機感を持って受け止めています。

国全体で生まれた方は75万人で、亡くなられた方は159万人で、その差が人口減少に表れており、極めて強い危機感を持っています。

もう一つ言うと、京都府の減少率が他の近畿府県に比べて高いという状況もあります。これはこれで要因分析をしなければいけません。ただ、全国どこも減っており、なんとかしなければいけないということが、岸田総理も言われた異次元の少子化対策を打ち出す背景にあります。

昨年の出生数がすごく増えるようなことはもちろん予想していませんでしたので、一定のトレンドの中で予測していたことでしたが、改めて数字を見ると深刻なことだと考えています。

対策についてお話ししますと、75万人という数字が出た時に様々な有識者の方から、今いる子どもへの対策だけでは少子化は防げない、これから子どもを持とうとする人がより産みやすくする必要があるという意見がありました。

これは難しくて、今の子どもへの子ども政策も必要だということで、昨年12月1日に作った京都府の子育て環境日本一推進戦略でいえば、例えば重点戦略1の「子育てが楽しい風土づくり」では若い人が子どもと接する機会を増やしたり、子育てに対する負担感をなくすこととしており、まさにこれから子どもを持つ人の話ですし、重点戦略3の「若者の希望が叶う環境づくり」では経済的な状況等で結婚や子どもを持つことを躊躇されている方も、希望されていればそうしたことがないようにするということで、こうしたものは少子化の対策になりますが、重点戦略2の「子どもと育つ地域・まちづくり」は両方の要素がありますが、子育てをする地域環境があれば、自分一人で子育ての負担を抱えこまなくても周りと育てていけるということですし、重点戦略4の「全ての子どもの幸せづくり」はどちらかというと子ども政策で、どういう厳しい状況にあろうとも、色々な環境にある子どももみんな幸せになってほしいという思いから作ったものです。

私自身は子ども政策と少子化対策の両方をやるべきで、片方だけではないと考えています。ただ、少子化を止めることはなかなか大変なことですし、即効性のあることはなかなかないかもわかりませんが、私としては戦略を粘り強く、息長く推進していくということに尽きますし、我々の動きによって国全体の政策を動かせればそれに越したことはないと考えています。

記者

子ども政策と少子化対策の両方をしなければいけないということだが、知事の考えとしては、子ども政策よりも未来の親になるような若い人への支援をもっとしないといけないということか。

知事

ある程度、若者に対してフォーカスしないといけないと考えています。ただし、6年間ずっと議論してきましたが、子どもができた時に、例えばいじめや虐待、ヤングケアラーといった色々な課題があります。そうしたことにきちんと社会が向き合っていくというメッセージを出しておかなければ不安になります。片方ということではなく、両方きちんとしないといけないということは間違いありません。

ただし、子どもを増やすという観点に立てば、これから子どもを持つ世代に入る若者に向けて、一定の政策的なアプローチが必要だと考えています。

記者

東京都や山梨県において、将来子どもを持ちたい女性に対して、卵子凍結に助成金を出すという先行的な取組をしている自治体もある。知事はこうした取組をどのように感じているか。将来子どもを持つ方への対策の考えをもう少し詳しく教えてほしい。

知事

今御紹介があった政策について詳しくは知らないのですが、様々な先進的な取組を自治体がやることは非常に重要なことで、自治体が取り組むことによって、それが国の政策につながっていくと考えています。

例えば、我々が令和6年度当初予算で提案している「プレコンセプションケアプロジェクト」は、年齢が上がれば妊娠率が下がるということを知っている人が少なく、そうしたことを教えながら、しかも自分のライフデザインの中でどのような設計をすればいいかを考えることを合わせたプログラムです。

これは国内初なので、そういうことをやって、それがいずれ国の政策につながればいいと考えています。例えば、母子手帳の京都版は、父親の役割も大事だということで「親子手帳」に名前を変えたり、いろいろな取組があります。

最終的にいいと思う政策は、国に採用してもらいたいです。ただ、国は規模も大きいので、すぐに舵を切れないということであれば、我々がモデル的に一定やってみて、うまくいかない場合もあるかもしれませんが、やってみるということです。

今のお話も含めて、色々なことがあるので勉強をしていきたいです。いずれにしても、いいことであればできる限り早くこども家庭庁で取り入れてやるべきだというのが、私の持論です。

記者

北陸新幹線が3月16日から敦賀まで延伸開業するが、受け止めはどうか。

知事

前に関西広域連合の枠組みで、新しい敦賀駅を視察しました。サンダーバードが下に入り、新幹線が上に入るという構造であり、整備新幹線の中では一番大きな駅だと言われていました。

地元敦賀でも期待されているということで、改めて地元の期待の大きさを感じましたし、今回被災地に行った時にも開業に合わせて様々なことに取り組まれているということはポスター等を見ても分かりましたし、改めて地元の期待と、新幹線整備が地域活性化に与える効果を認識しました。

能登半島地震がありましたが予定通り16日に開業します。この開業が能登半島地震の被災地の復旧・復興につながることを期待したいです。

記者

敦賀の先として小浜・京都ルートが決定していると思うが、知事はこのルートを推進する立場なのか。

知事

議会答弁で何回も言っていますが、北陸新幹線の敦賀以西の話は、日本海国土軸を形成する重要な路線ですし、大規模災害時には東海道新幹線のリダンダンシーとして代替ルートになるということで、京都だけというよりも関西全体にとって重要な国家的プロジェクトだと考えています。

ルートについては既に与党で決められていて、そのルートに基づいて鉄道運輸機構が環境アセスメントを法律に基づいてやっていますので、我々はできる限りの協力をしている状況です。

ただ様々な施工上の課題もあるので、早期整備のためには施工上の課題解決につながるようなことと、環境上の配慮をきちんとすることこそが早期整備につながると考えていますので引き続き、国と鉄道運輸機構に対して慎重な調査と丁寧な地元説明を求めていきたいと考えています。

記者

京都府としては、小浜・京都ルートのメリットをどのように考えているか。

知事

もともと京都府は、決める過程では舞鶴ルートを主張していました。ただ、B/C(費用対効果)の関係もあり今のルートに決まっているということですので、私が知事になった時にはこのルートありきでしたので、それに基づいて国や鉄道運輸機構が推進されているものだと受け止めています。

記者

このルートだと京都府を通る距離が長く、京都府の財政負担の懸念があるがどのように払拭するか。

知事

これはもともと申し上げておりますが、受益に応じない負担は過剰な負担になるので、京都府にとっては受益に応じた負担になるようお願いしています。その考えに全く変わりはありません。

記者

北陸新幹線の新駅が松井山手駅付近にできる予定だが、敦賀駅開業を契機に何か施策などを実行される考えはあるのか。

知事

まだそこを考える段階にはありません。

先程言ったようにルートは松井山手を通ることになっていますので、そのルートを前提としたアセスメントをきちんとやっていただくことです。松井山手駅の構造上からいっても、施工上の課題として、既に街ができあがっていて、地形にも課題があると思うので、そうしたことに対しては、きちんと対応できるような案にしていただきたいと常々申し上げています。

おそらく駅勢人口としては枚方市の方が多いと思いますので、まだそういうことを考える段階ではないと考えています。

記者

ロシアのウクライナ侵攻から2年が経つが、避難の方の現状や長期化も見据えて府としてどのような支援を考えているか。

知事

G7をはじめとした国際社会が結束してウクライナへの支援を行っているものの、ここまで侵攻が長期化していることと終結の見通しが立たないということで、非常に厳しい状況であり強く懸念しています。

ウクライナ国内で生活されている方もおられますが、国外に出ている方もかなりおられます。亡くなられた方にお悔やみを申し上げますとともに、負傷をされた方にお見舞いを申し上げます。

府内にはこれまでに98名の方が避難されて来られ、現在は81名の方がおられます。我々も受入れ当初から専用相談窓口の設置や義援金の募集、避難してきた留学生を受け入れた大学への支援等をしてきました。これは引き続き支援をしていきたいと考えています。

国も定住に向けた自立支援を4月1日から予定されていますし、そういうことも合わせて、国や市町村や大学の関係機関と連携して、引き続き避難されている方の支援を続けてまいります。

そして何と言っても、一日も早い戦争状況の終結を望んでいます。

記者

日銀総裁が「現在の経済状況はインフレ状態にある」と発言されたが、これについて知事の所感はどうか。

知事

日銀総裁の物価水準に対する見解と違うことを言う勇気はありませんが、おそらくインフレ状態なのだと思います。

インフレというのは特定の品目の物価上昇や消費税が上がったから上がるということではなく、平均としての物価水準の上昇がある程度継続的に一定期間上昇することをインフレと称しているということです。

もともと物価水準の上昇2%を目標に掲げておられていましたから、そう評価されたということは、これまでの金融政策に一定の効果が出てきたということを総裁は仰られたのだと考えています。

ただ、総理も言われていますが、重要なことは、その物価上昇の水準を上回る賃上げが実現し、経済の好循環が図られることが何よりも重要なので、インフレ目標だけを達成しても実質賃金が下がるだけなので、この春に向けて重要なことは、経済の好循環を成し遂げるための持続的な賃金引き上げが必要だということです。

そのためには、それに見合った賃上げをするだけの企業の経営力をつけていくことが重要です。そういうところで我々がやっているきめ細かな産業施策も活きてくるのではないかと考えています。

記者

山陰近畿自動車道の計画検討委員会が3月7日に開催される。網野・久美浜間については、都市計画決定はまだだが、地元の期待は大きいと思う。委員会の開催がまさに第一歩だと思うが、どのように取り組んでいきたいか。

知事

新名神高速は若干、開通時期の遅れが発表されていますが、工事は最盛期に来ていますし、それが開通しますと、残っているミッシングリンクは山陰近畿自動車道です。

これは京都だけではなくて、全国的に見ても残っている数少ないミッシングリンクであり、道路はネットワークを通じることが重要なので、ここが開通することは特に北部振興においては最大の課題だと考えています。

このためにいくつか準備をしてきて、一つは昨年、無料区間だったところを有料道路事業許可を得ました。単に維持管理費にお金を取るだけでなく、従来税金で負担していた維持管理について、一定の受益者負担を入れることで、その財源をこの先の全線開通に活かしたいという思いがあり取り組みました。

残りの国の直轄代行で行っている区間である大宮峰山道路は、国土交通省に一日も早い開通をお願いするということです。

そうすると、計画道で残っているのは、網野から久美浜のルートを確定することです。そのために今回、計画検討委員会ができるということなので、府としてはルートがまず決まらないとインターの位置やその後の地域開発の話もできません。ルートが決まって初めて様々な地域活性化策が出てくるので、早期に道路計画を策定する必要があると考えていましたので、かなりの前進だと思います。

記者

とはいえ、ここから事業化までは時間がかかるということか。

知事

それはあります。今はまだルートが希望帯という形で幅広いままになっていますが、いわゆる道路計画のレベルまでルートを正確に作るということは道路整備においては一番の前提です。それが決まらないうちは用地買収等、次の段階に進みませんので、その意味で一歩前進だと受け止めていますし、是非検討委員会でも実のある議論をお願いしたいです。

記者

先日、松井京都市長が就任された。就任前は、挨拶に来られた際に話をされたと思うが、例年、夏に府市懇談会をされているが、松井市政になってから知事と市長が今後の府市協調のあり方を話し合う場を設ける考えはあるか。

知事

もともと府市懇談会は私と門川さんだけではなくずっと行われてきました。私の思いとしては、当然連携を強化したいということです。

トップ同士の話し合いは、その一つの形を表しているものであり、年1回がいいのかどうかや、例えば年2回やってもトップ同士が会っただけになってしまわずに、政策につなげなければいけません。府市協調のために松井市長と私の意志疎通や話し合いをどのような形でやるのが一番いいのかについては市長と私とで相談したいと思います。ただ、私だけの考えではなく、当然松井市長にもお考えがあると思います。

ただ、松井市長は今週月曜日の26日が初登庁で、一次編成として令和6年度当初予算を議会に提出されたところです。彼も初めて京都市役所に入るので、市政全体の把握や課題の整理をされると思いますが、あまりぐずぐずはせず、折を見てどういう形でやっていくかは松井市長に私からも提案したいし、市長の考えも聞きたいです。どういう形の連携の仕方が一番いいのかという観点で考えたいです。今まで通りを踏襲するということではありません。

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