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平成26年6月9日知事記者会見

知事

 会見冒頭にあたりまして、一言申し上げたいと思います。この度、桂宮宜仁親王殿下薨去の報に接しました。京都府民を代表し、謹んで心から哀悼の意を表したいと思います。以前、京都で行われた伝統工芸展にお越しになられた時にお迎えをさせていただいたことがございますけれども、本当に穏やかな、気さくな殿下でありました。心から哀悼の意を表したいと思います。

平成26年度6月補正予算案の概要等について

 まず、6月の補正予算であります。今回は4期目の肉付け予算となります。

 当初予算では、災害や雇用、教育などを中心に据えながらも、「安心」は待ったなしの課題ですのでこれまでの骨格的予算をはるかに超える予算として盛り込み、府民生活を「守り」「支える」施策を中心に編成させていただきました。今回の補正予算は、私どもがこれから目指していく京都づくりを、どのように進めていくかについて諮らせていただく予算になります。

 人口減少時代への対応や、災害、雇用など府民生活の安心を守るために、従来の発想や手法に囚われることなく、府民の総力を結集し安心を再創造していくことや、京都の活力の源でもある「中小企業・伝統産業・文化」の力を高め、未来に向かって成長と活力を再創造していきます。またそのような観点から「安心」と「活力」の再創造を基本に施策を構築いたしますとともに、今回4期目のスタートにあたり、もう一度府民の皆様、議会の皆様の幅広い共通認識のもとに府政を進めるべく、各種の構想や条例制定のための検討費も盛りだくさんに加えさせていただきました。

 待ったなしで取り組まなければならない「安心」については、既に当初予算に組ませていただいております。今回の補正予算では、これからの府の将来を見据え再創造しなければならない問題、例えば、少子高齢化に対する抜本的な対策、「災害・雇用・環境」の基本構想や条例をしっかりと作っていくこと、そして防犯に関しては女性や地域の力を生かした防犯対策を通じた安心の再創造としたいと考えております。

 それから「産業・文化・地域」につきましては、京都の活力は産業からということで地元の「中小企業・伝統産業・農林水産業」を育成推進方式でしっかり育てていく方針で、予算を組ませていただいております。

 また、京都の活力は文化からということで、琳派400年を契機とした文化・産業の振興を目的に、京都の美術にとどまらず、工芸や伝統産業、デザインなど幅広く大きな影響を持つ文化をしっかりと作り上げていく予算にしています。

 先の人事や組織の中で一番力を入れましたのは、地域構想の推進です。京都の地は南北に幅広く、それぞれの地域に合った構想を進めなければ京都の活力の再創造は実現できません。地域構想の推進については、企画理事を置いて進めさせていただいておりますけれども、今回の補正予算では、「海の京都」「森の京都」「お茶の京都」、そして14の「みやこ構想」の推進について具体的な予算を組ませていただきました。

 まず、少子高齢化の抜本対策についてです。少子高齢化の総合戦略事業として、5年間で出生数2,000人増を目指すという高いハードルを掲げました。この目標値がなぜ高いかと申しますと、この度、京都でも全国でも出生率が向上しておりますが、一方で出生数は減っているのです。つまり、出生率が少し上昇しただけでは出生数は向上しない。それだけ年齢層と申しますか、出産可能年齢層の女性が減っているということです。ですから、出生率を上げても出生数が減るということが、今、日本で起きているわけで、大変厳しい状況が生まれていると思っております。

 少子高齢化をきちんと乗り越えていくために、今回、京都少子化対策の総合戦略会議を強化してまいります。そのなかで、将来を見据えた要因分析や調査を実施し、少子化対策条例の制定へと結びつけていきたい。

 マニフェストに掲げましたけれども、大きなポイントとして第3子目以降の保育料の負担軽減、それから医療費助成の拡充などの問題についても、市町村の皆さんと一緒に検討していかなければならない問題です。今年は既存の戦略会議を機能強化して、分科会を設けたりするなど幅広く少子化対策の問題について検討を進めていきたいと思っています。

 それだけではなく、今回の対策としては「結婚」の土台を作るということで、京都婚活・子育て応援隊、婚活マスターの創設をしていきたいと思っております。婚活活動に実績を持つ地域で活躍している方やNPOなど、活動基盤のある団体を登録しまして、それらに対して活動費の助成、そして成婚に至った場合には成婚助成(成功報酬)を行っていきたいと思っております。

 NPOの運営を見ておりますと、イベントなどの活動にかなりお金をかけている。また、成婚まで誘導するにも負担がありますので、そこをできるだけ和らげるような支援を行っていきたいと思っているところです。

 それから、「妊娠・出産」の土台を作る。少子高齢化の3つの壁と言いますのは、結婚の率自体が非常に低くなっていること、晩婚化に伴い結婚しても子どもが生まれない家庭が増えていること、そして子どもができても第3子目以降の出生数が非常に減っていることです。

 そこで、「妊娠・出産」につきましては、不育症の治療費助成制度の創設と男性不妊治療への助成拡充を行います。対策としては全国トップになったと思っております。今までも男性不妊治療については女性の治療に伴い一部ありました。しかし、この度の少子化の抜本対策では、男性を対象とした不妊治療の助成を拡充しましたので、これにより女性・男性両方に対して日本でも最高、トップクラスの不妊治療助成が行われることになります。

 それから、「子育て環境」の土台を作るということで、婚活・子育て応援隊(子育て支援コンダクター)の設置や保育所の590名増、放課後児童クラブの80名増で市町村に対して助成を行っていくことになります。

 次に高齢化でありますけれども、この対策も待ったなしの状況で、幾つか予算を出しております。この度の補正予算では、当初予算で政策ということで見送っておりました看取りについても3大プロジェクトの主な施策に予算を組ませていただきました。

 まず、リハビリでは府立医大にリハビリテーション医学教室を開設して、リハ専門医20名、リハ認定臨床医40名の養成を目指します。それから、回復期リハ病床整備への助成では、現在の1,100床から1,600床への増床を目指して取り組んでまいります。

 認知症プロジェクトでは、これまでばらばらになっていたカフェや治療、デイサービスなどの機能を総合的に整備した認知症総合センターの検討に着手する構想費から入っていきたいと思っております。そうしたセンターを作りたいというのが私の1つの夢でもあり、今回マニフェストに書かせていただきました。

 看取りプロジェクトにつきましては、対策協議会を設置します。在宅医療の場合にはどうしてもモルヒネが要るわけですけれども、そのシステムがまだ整備できていない現状があります。こうした在宅における看取りの支援として、緩和ケアで使用する麻薬等の薬剤供給システムを構築するとともに、訪問相談を実施します。また、施設の場合も、家族が施設で看取りをされる時に泊まれる部屋などの改修助成制度を新たに創設いたします。

  次に、「災害・雇用・環境」についての新しい視点からの基本構想づくりですが、既に当初予算に組んでおりますので、新しい条例が3本出てまいります。

 「災害からの安全な京都づくり条例」の検討、そして「若者等就職支援条例」の検討、それから「再生可能エネルギー導入促進条例」の検討をそれぞれ今回計上しているところであります。

 最後に、「安心の創造」の治安についてですが、犯罪は大きく減らすことができていますけれども、対策の質を高めていくことでさらに犯罪を抑制していきたいということから、特に防犯に女性の力を生かそうではないかということで「防犯ウーマノミクス」という言葉をマニフェストに書きました。例えば、性犯罪被害など女性にとってセンシティブ、ナイーブな問題に、女性警察官が対応できるようにしていきたいということで、必要性の高い交番等から女性の配置をしていきます。

 「すべての交番に今すぐ女性警察官を配置すればいいじゃないか」と思われるでしょうけれども、例えば交番に男性用と女性用のトイレを整備することや24時間体制の場合ですと待機室など、交番の改修が必要になりますので、今回の補正予算では13交番の改修を行う予定にしております。

 女性警察官が24時間勤務可能な交番については「平安なでしこ交番」という名称に統一にします。「何だ、サッカーのまねをしたのではないか」と思われるかもしれませんけれども、ナデシコは京都府の草花なのです。「平安なでしこ交番」を創設して、愛称で呼んでいただきたいと思っております。

 そのほかにも、最近増えておりますのは、前の「オレオレ詐欺」からより巧妙になっております「特殊詐欺」です。この特殊詐欺被害対策、それから性犯罪被害者への支援体制の整備にも今回予算を投じているところでございます。

 次に、活力の再創造であります。まず中小企業、伝統産業ですけれども、中小企業の育成促進費、京都版エコノミック・ガーデニングの支援強化事業費を組み込んでおります。

 伝統産業につきましては、道具類の更新について、また老朽化した設備の更新について、補助率3分の1ということで基盤強化をしてまいります。

 そのほか、商店街のリノベーション応援事業費として、集客力の向上や店舗出店について、民間資金を活用した誘致や、補助制度を構築いたします。補助率3分の2で実施したいと思います。

 もう一つは経営環境の悪化克服対策です。円高が続いている中で原油、原材料費の高騰、そして消費増税による反動減につきましては、大体想定内におさまっていると思いますけれども、5月、6月とさらに需要の動向を見ていかなければならない時期に、転ばぬ先の杖ということで緊急の金融支援費を計上して、仮に長引いた場合についても即手が打てるように構えをとっておく費用です。

 それから、秋の商工・農林水産業祭の開催事業費です。これは春に実施したところ、とても評判が良かったです。北部で4,000人超、南部で2万5,000人超が集まり売り上げも非常に良かったということで、皆さんに喜んでいただきまして「是非とも秋にもお願いしたい」という声が上がってまいりましたので、「それでは10月頃の開催を目指して商工・農林水産祭をやりましょう」ということになりました。うまくいけば年2回が定番になるかもしれませんね。こういった消費拡大対策も予算に入れていきたいと思います。

 中小企業経営安定化等支援事業費ですが、当初予算にも組んでいたのですけれども、とても好評です。その結果を受けて5億円規模の積み増しをしていくことになりまして、こうした中小企業の経営安定化の支援事業や消費拡大対策が事業者の方から好評で歓迎されたということを、我々としても嬉しく思っているところであります。

 それから、伝統産業と中小企業について、企業交流によって成長を生み出していくのが京都「企業の森」であります。府内の中小企業、大学等が2分の1以上属します異業種グループを作っていきます。かつては試作センターや試作グループを作っていましたけれども、そうしたグループ化を推し進め、中小企業の製品開発を支援していこうではないかという取り組みです。

 例えば、超高品質シルク開発グループが、「洗えるシルク」などを出しています。そうすると、今までの着物に対する概念が変わるかもしれない。今までの着物は洗えず大変だったのですけれども、化学的な処理をせずに洗えるような絹ができるという研究も進んでおります。そうした取り組みを1社で行っていても、それは素材だけにとどまりますから、企業グループを作ることで製品が実用化に向かって一気に加速できるようにしていく。そうしたグループが幾つもできることによって、京都の企業が森のように生い茂っていくということを願っております。この「企業の森」創造推進費で、今年度は20グループ程度を作り上げていきたいと思っております。交流による活性化の1つの大きな柱になっています。

 もう1つは、イノベーションベルト構想推進費です。今、国際戦略特区やR&Dの誘致をしております。そうしたものについてワンランク上の研究開発から活力づくりを行います。原油価格高騰や消費増税対策から中小企業のエコノミック・ガーデニングによる応援隊に至るまで一貫して育てていく体制。そうした人たちがグループを作って新しい事業へ乗り出していく、またはイノベーションを起こしていく。さらに、国際戦略特区を利用して海外からも研究者等を呼び込みながら、競争力があり、活力のある京都を作っていくというのが今回構想にしているところであります。

 農林水産業につきましても、TPP等の影響に備えると、非常に競争力のある農林水産業づくりを推進していかなければなりません。当初予算では、付加価値の高い農林水産物の生産強化として、京野菜や酒米生産支援などを打ち出しました。

 今回の補正予算では、マーケットに対応した商品開発ということで、6次産業プロジェクトを進めてまいります。京都は6次産業が弱く、ブランド力に頼っている。京野菜でもブランド力に頼っていて、6次産業化というのは今までお漬物などが強かったのですが、新しいものへの対応が弱かったところがあります。今回、京都6次産業プロジェクト戦略事業費を組みまして、新商品や京野菜ブランド、新しい和牛の海外展開「KYOTO SILKY BEEF」(仮称)のような名前が、農林水産部で考えられているということであります。

 これまでは「京都肉」と「亀岡牛」を「京の肉」と呼んでいたのですが、その辺りの名称が統一されていなかったこともありまして、ポークもチキンもそれぞれ名前を付けてブランド化しなければならないということで、この度「京都シルキービーフ」という名前になっています。シルキーというのは、甘みでありますとか舌触りの良いという意味がありますので、そこから持ってきたのかなと思いますが、まだ仮称ですので、京都和牛もブランド化に向けていよいよ本格的に乗り出していこうではないかということです。

 それから、産業を支える人材の育成としまして拠点づくりを行います。あじわいの郷を3つの拠点「販売開発拠点」「人材育成拠点」「都市交流拠点」として整備していきます。丹後あじわいの郷に行かれた方もいらっしゃると思うのですが、京都産品を販売するところではなかったわけです。全国展開をされている方に委託をして、そこが持っている工場で生産していて、例えばドイツ式ソーセージなど、売っているものも作っているものも、京都オリジナルのものではなかったわけです。

 京都産品は、丹後あじわいの郷の入り口のところに幾つかあったのですが、中には入れないという状況がありました。「海の京都」のなかで、農林水産物の10次産業、つまり製品をつくり、それを加工し、販売する、ここまでで6次。さらに人づくりも合わせて10次という拠点として生かしていくべきではないかということで、大きく方針を転換することになると思います。これまで全て委託しておりましたので、赤字という問題は全く丹後あじわいの郷にはなかった。しかし、これからは京都全体であじわいの郷を拠点として整備していく、新しいあじわいの郷にしていくという予算を組んでいます。

 次に文化でありますけれども、来年、琳派が400年を迎えます。琳派はありとあらゆるところ、街中にもあふれているけれども、我々はあまり意識していないということがあります。琳派を通じて、もう一度京都の文化を再認識して、さらに盛り上げていこうではないかということです。特に伝統産業や工芸品に幅広く活用されているものだけに、そうした分野にも取り組んでいきたい。京都の持っている文化の素晴らしさを府民の皆さんとも共有して、その認識のもとに文化の都である京都の活力を作っていこうではないかという取り組みを今回の補正予算で計上したところであります。

 関連商品の開発や、府立植物園など府内各所でのプロジェクションマッピングなどにも取り組んでいこうと思っております。その他、商店街や産地組合でも琳派をテーマにした集客の取り組み支援を行いたいと思っています。今でも買物袋に琳派系を使っているところがたくさんあるのですが、商店街などでも統一していこうではないかと思っております。そして観光スポットもPRしていきたいと思っております。

 また、「現代作家200人による日本画・工芸展」や連続フォーラム、各種イベントでの「琳派コーナー」などにも取り組みたいと思います。

 忘れてはいけないのですけれども、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに合わせて文化フェアに取り組んでいきたいと思っております。これは国に対しても活動を展開していきますが、そのためのコンセプトづくりの費用計上もしているところであります。

 次は、地域構想づくりであります。3つの京都づくり、「海の京都」づくり、「森の京都」づくり、「お茶の京都」づくりに取り組んでまいります。

 「海の京都」は、昨年から既に始めておりますので、今年は来年のターゲットイヤーを見据えた総仕上げに取り組んでいきまして、京都府北部を全国有数の競争力ある観光地として思いきり盛り上げていきたいなと思っているところであります。

 「森の京都」については、森の資源を多面的に生かしたい。森の維持・保全、林業の活性化、そして森の文化というものの発信、これらを京都の中北部を中心に行っていきたい。

 南部は「お茶の京都」づくりということで行っていきたい。

 今行っている「みやこ構想」につきましては、北近畿の新しい産業基盤など様々なものが進んでおりますので、投資を加速するために補助率のアップを行っていきたいと思っております。

 具体的に申しますと、「海の京都」づくりでは、これから小天橋リニューアルなど拠点整備に入ってまいります。丹後郷土資料館もこれから基本構想を作って整備してまいります。それから、景観と回遊システムでは国道178号の防護柵が壊れて汚くなり赤くなってまいりましたので、これをきれいにして歩道の整備や案内板、サイクリングロードそして先程申し上げましたあじわいの郷を中心とした10次産業などに取り組んでいこうと思います。

 「森の京都」は、推進会議を設置いたしまして、構想策定などを行っておりますけれども、同時に要適正管理森林の指定に向けた現地調査と、芦生の森再生事業、自然再生計画の策定を行ってまいりまして、国定公園化につなげていきたいと思っております。

 林業の活性化につきましては、「京都式循環型林業構想」を策定いたしまして、府内産木材の利用拡大事業、加工流通体制の強化等についても予算を計上しているところであります。

 森の文化の発信につきましては、観光資源の発掘や交通事業者と連携したプロモーションを実施していきます。

 そして、「森・里の回遊システム」では肱谷バイパスの整備や広河原美山線の改良等も行っていきたいと思っております。

 「お茶の京都」につきましては、推進会議を設置して構想を策定してまいりますけれども、世界文化遺産関連の事業を中心に取り組みますと同時に、茶業の活性化のため、茶業研究所の機能強化と茶園の整備、それから宇治茶づくしの文化発信と茶畑の景観保全に取り組んでまいります。「お茶の郷回遊システムの整備」では大津南郷宇治線(あがた通り)の歩道整備や修景舗装なども予算に入っているところであります。

 もう一つの今回の特徴としては、マニフェストに掲げておりましたけれども、全く新しい制度として「公共員」を配置していきたいと思います。最も分かりやすい例で言いますと消防団でしょうか。消防団はボランティアなのですけれども、位置づけは非常勤公務員です。一定の報酬や手当が支払われております。おそらく消防団の人も公務員というよりは、地域のことは自分たちで守る、そのために行政から支援を受けているという意識だと思います。過疎・高齢化社会においてリーダーシップを発揮して、地域協働で課題に取り組んでいただく人、その人たちを「公共員」というポストで任命していきたい。公共員を各地区に配置して、普段は農業をやっているけれども午前中は集落を回り高齢化社会における見守り活動をしてもらうなど、何かあった時には活動してもらえる「半公半X」の人を配置しようという話であります。

 今までに例がありませんので、新しい試みとして「里の仕事人」や「里の仕掛人」とともに、色々な課題解決に当たっていただきます。「里の仕事人」の皆さんも公務員として頑張っていただきましたけれども、3年、5年と経っていくと、転勤もしなければならいし、人も代わっていかなければならない。地元にいて、ずっと取り組む人がいなければ、活動が長続きしない。そうした時は公共員を配置することで持続可能な集落づくりの取り組みを進めていく。

 同時に「まちの公共員」といたしまして、高齢化する団地の活性化など、過疎の農山村の集落に限らず解決が困難な課題を有する地域に入り、暮らしながら取り組んでもらうというもので、こちらは、ある程度専門知識のある方になろうかと思いますが、モデルとして2名ほど配置していこうと思っているところであります。

 今まで誰もやったことのないような試みですので、これから色々な面で紆余曲折があるかもしれませんが、地域における必要な新しい試みとして、今後進めていきたい。市町村長さんにも説明したところ、意義を感じていただいておりまして、皆さんにも賛同していただいているところで、配置に踏み切っていきたいと思っています。

 たくさんプロジェクトや構想が出てまいりますので、4期目のスタートにあたって、これから4年間をしっかりとつくり上げるための予算になったのではないかと思っております。

 全体の予算としては、222億円台という額になっております。平成26年度現計予算8,970億円台と6月補正予算の合計は9,192億円台になります。

 条例は2点出しております。この前の宇治豪雨を背景にして、森林管理についてきちんと取り組まなければならないという危機感で提案させていただいております。

 1つは、森林の所有者の責務を定めて森林の適正管理を促進していく。そして森林の荒廃に起因する災害を防止して、あの宇治豪雨のような災害から京都府民の命を守ろうという条例であります。全国初の条例になりますけれども、森林の所有者等の森林管理に関して責務を明確化していく。そして、危険な状態になった場合には、防災措置のための勧告・命令・罰則制度を設けるというものでございます。

 もう1つは、これも宇治の時に問題になりました保安林の指定についてです。同意が得られないためになかなか保安林の指定が進まない。同意というのは法律要件ではないのですけれども、国の指導により同意が事実上必要とされており、そのために保安林の指定が進まない場合があります。これを条例により手続きを明確化しようではないかということです。

 ですから、例えば森林所有者が不明である場合や、どうしても防災工事が必要なのに森林所有者が指定に同意しないとき、これまではとにかく説得、説得、説得でやってきたわけですけれども、それにどれくらいかかるかわからない。同意が法律要件でもないのに、指導要件として組み込まれているなら、その要件がある程度明確化されないといけない。ですから、これも全国初になりますけれども、手続要件を条例で定めるということにいたしました。

「平成27年度 国の施策及び予算に対する政策提案」について

  それから二番目は、6月補正予算と対になるのですけれども、「国の施策及び予算に対する政策提案」について、明日から国を回ってまいります。

 まずは、総合的な少子化対策であります。この後、総務大臣と6団体との懇談や国・地方協議の場にも出てまいりますので、そういった場でもしっかりと訴えていきたいと思います。

 何度も申しておりますように、今年は少子化対策を国家的な運動にするということで去年から取り組んでまいりました。今年からさらに体制を整えてやっていて、少子化対策については本当にみんなが大変な問題だと認識するところまで来ております。さらに活発化させ、第一弾としては京都府としても取り組み、国に対して攻めの姿勢に転じていきます。

 7月第1週に全国知事会があります。その会でも論点の一つに少子化対策を挙げています。昨日、関西佐賀県人会があり、古川知事が来ていました。今回の全国知事会は佐賀県ですので「やるぞ」という気概で色々策をめぐらしておりましたけれども、去年、私はこれからの日本を支えることとして若者の人づくり、女性の社会参画、少子化対策の3つを言いました。

 人づくりと女性の活躍促進については、12月の政府補正予算で両方合わせて1,000億円の基金がつきました。それによって今、人づくりや女性の活躍促進に我々は取り組んでいます。少子化は残念ながら交付金が30億円にとどまりました。婚活については「合コンのようなものにカネを使うな」といった話を財務当局が言うなど、全くの無理解、現実を知らない霞が関にいる人たちの危機感のなさが、あの30億円に表れていると私は思っています。そのような対応について、今年は外堀、内堀を埋める作戦をとってまいりました。少子化対策、女性の活躍促進、正規雇用拡大のための人づくり、雇用創出。若い人たちが家庭を営む見通しを持った仕事に就かないと結婚もできないし、出産につながらない。つまり少子化対策とも密接に関連しているということを訴えていかなければならないと思っております。

 地域産業については、中小企業の成長支援ですとか、国際戦略特区の活用、コンテンツ産業、けいはんな学研都市におけるスマートシティ構築などがあります。

 東京オリンピック・パラリンピック開催を契機とした京都ならではの文化・スポーツの観光振興。これには和食や文化財保存修復国際センター構想なども含んでおります。「海の京都」「森の京都」「お茶の京都」については、世界遺産の暫定一覧表への記載対象の拡大を盛り込んでいるところであります。

 農林水産業では、TPPを見据えたグローバル化に対応した農業政策や6次産業化と同時に、森と緑の公社、これは民事再生法の適用を申請したところですけれども、第三セクター等改革推進債に係る特別交付税措置の継続についても提案してまいります。

 国土強靭化については、緊急防災・減災事業や、由良川、桂川の緊急治水対策や下水道整備など、それから多重・分散型国土軸の形成と災害時のリダンダンシーの確保を図る道路整備として、山陰近畿自動車道や平成26年度全線開通予定の京都縦貫自動車道も提案していきたいと思っております。また、日本海側拠点港として「京都舞鶴港」の機能強化を図ります。それから日本海国土軸の形成と太平洋国土軸との連携強化などのほか、リニア中央新幹線の京都誘致の実現を提案しているところであります。

 医療については、介護保険法などが審議されております。私は、本当に必要な人たちが施設に入り、できるだけ在宅で介護予防または状態が悪化しないように、一番身近な市町村が総合的な事業を行っていくという国の方向性は理解しています。厚生労働省と財務省が一連でやってきた方向性は悪くはない。しかし、例えば後期高齢者、障害者自立支援法などのお題目などは悪くはないのだけれども、予算をしっかり確保しなければならないと言っていかなければならないと思っています。

 その他の重点提案では、原子力発電所における地震に対する安全対策や障害者雇用、就労対策や高校生の学業継続など大切なものが並んでおります。従来から重点事業として提案しているものについて引き続き提案をしていきたいと思っております。

「オール京都」で取り組む農業ビジネスを目指して

  3点目は、7月23日に「きょうと農業ビジネスフォーラム」を行うと同時に「きょうと農業ビジネスプラットフォーム」を立ち上げます。競争力の高い京都ならではの強みを生かした農業ビジネスの展開に努めるために、補正予算では6次産業化を出しておりますけれども、きょうと農林漁業ファンドが結成されたように、関係者がネットワークを組んでどうやって適用していくかについてもビジネスプラットフォームで検討を進めていきたいと思います。

重度障害者等緊急生活支援事業(はあとふる商品券事業)の申請期限について

  4点目は、この4月の消費増税で、立場の弱い方々に急に負担がかかるといった事態を避けるために、経過措置といたしまして、重度障害者の方や難病の方の緊急生活支援事業を実施しております。「はあとふる商品券事業」として、特別障害者手当や障害児福祉手当、経過的福祉手当のいずれかの受給者の方、そして特定疾患重症患者、難病の方、小児慢性特定疾患重症患者の方、要介護4または要介護5の認定を受けている方につきまして、お配りさせていただきます。

 約3万5,000件の方が対象になるのですけれども、申請のあった方は2万2,000件程度であります。ですから、まだ4割弱ぐらいの方が未申請になっております。期限が6月末になっておりますので、出来る限り早く残り1万3,000人弱ぐらいの未申請の方に申請をしていただきたいなと思っております。私どももさらにPRをしてまいりますけれども、今日おいでの皆様もPRしていただけたらと思います。

主な質疑

記者

 今回の補正予算は、「再創造」という大きなキーワードの中に「安心」と「活力」ということだが、そこにどれくらいの割合で配分しているのか。

知事

 どちらかというと、「活力」ですね。「安心」は当初予算で結構組み入れていますが、補正予算では、中小企業関連の予算が多くなっており「活力」の割合が多くなっています。「安心」は当初予算でできなかった部分の補足が今回の補正予算であり、どちらかというと前向きな「活力」の再創造に予算を重点配分しております。

記者

 国への政策提案に関連して質問するが、リニアについて、名古屋以西を前倒しという声が盛り上がってきているように思うが、どのように考えるか。

知事

 いい話だと思います。ただ、JR東海にしても京都や大阪でものすごい利益を上げているにも関わらず、何故それが東京〜名古屋間に先に集中投下されないといけないのですか。東京から名古屋だけを使われるお客様の分をリニアに使われるのはわかりますが、東京から京都に来られるお客、東京から大阪に来られるお客の収益分まで、全部東京〜名古屋間が最初というのは、納得がいかないです。

 この問題は、昭和48年にルート設定して以来、まともに検討がなされていなかった。奈良市付近だから京都も関係するのに、国土交通省は京都を除いて少しヒアリングしただけでさっさとやってしまったという点については、関西国際空港とのアクセスはどうするかといった問題も含めてしっかりとした議論を残しておかないといけません。

記者

 森と緑の公社について、国策で進められたような事業ではあるものの、国は責任を取らずに府民として納得がいかないところもあると思うが、どのように考えるか。 

知事

 まず、この問題というのは国策です。私は国が責任をとらない態度というのは納得がいかないのですけれども、一方で森林は儲けるためだけにやってきたわけではありません。その森林を整備することにより京都の環境が守られ、空気が守られてきたからこそ、取り組んできた。これからも費用的な問題として減るわけではないのですが、森林には施策を講じていきたい。

 ただ、この有意義な森林が果たして来た役割というものを山林所有者の方々も含めてきちんと説明していかなければならない。今、素晴らしい森林が残っており、それが多くの京都府民の財産としてあるということを我々は説明していかなければいけないのではないかと思います。

 記者

 今週、舛添都知事と会談する予定聞いたが、どのような話になるのか。

知事

 舛添氏は議員時代からよく知っている人で、都知事になられたので表敬しようかということもありますが、東京は地方公共団体、都道府県でもあるが、税の問題や東京一極集中の問題など、ほかの都道府県と違う立場に置かれているので、そうした東京の立場について共通理解を作っておくことが中心になると思います。東京オリンピック・パラリンピックもありますので、そうしたものも含めて話をしたいと思っています。

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