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それでは、今年最後の発表項目となります。記者の皆様には、1年間何かとお世話になりました。特に今年は新型コロナウイルス感染症もありましたので、お世話になったことを心から感謝します。
年末の恒例で、今年1年の振り返りをしたいと思います。
やはり今年は1月以降、新型コロナウイルス感染症の話題が非常に多かったので、他の項目と並べることはせず、1つ特出しとしています。
新型コロナウイルス感染症というものは、人の命や健康を侵すだけでなく、人と人との触れ合いや人の動きを止めることによって、府民生活や社会経済活動に経験したことのないような甚大な影響を与えています。そうした困難の中で、感染拡大防止にご協力をいただいている府民の皆様、事業者の皆様、そして第一線でご奮闘いただいている医療従事者の皆様に、心から感謝を申し上げます。
先日の対策本部会議で、酒類を提供する飲食店等の時短要請と年末年始における緊急要請を行いました。また、本日午前中には、京都府医師会の松井会長と京都府立医科大学附属病院の夜久院長の3人で、年末年始に向けての緊急声明も出させていただきました。
これ以上医療を逼迫させないためにも、是非とも今年の年末年始はいつもと違う年末年始ということで、どうか静かに過ごして頂ただくように改めてお願い申し上げます。我々も引き続き、この年末年始を乗り越えるために、万全を尽くしてまいりますので、皆様のご協力を改めてお願いいたします。
新型コロナウイルス感染症以外で振り返りますと、まず、京都府特別功労表彰等授与式です。
長年にわたり京都府の産業界を牽引してこられました立石義雄様がご逝去されました。京都経済センターの開設や文化庁の京都への本格移転等、オール京都の要としてご活躍いただきました。(故)立石義雄様に京都府特別功労賞を授与し、服部重彦(はっとりしげひこ)様、井端泰彦(いばたやすひこ)様、(故)芝田徳造(しばたとくぞう)様にも特別感謝状等を授与いたしました。
次に、「2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロ」宣言です。
本年2月に開催された「KYOTO地球環境の殿堂」表彰式にて宣言いたしましたが、その後は全国にもこのような動きが波及しましたし、菅総理もカーボンニュートラルについて言及されています。
先日の11月府議会におきまして、そうした趣旨を盛り込んだ条例をご可決いただいています。これにつきましても着実に進めていかなければならないと思っています。
次に、伝統建築工匠の技のユネスコ無形文化遺産登録です。
年末にうれしい話題がございました。従来から石の文化ではない京都の文化は、素材的には火事などの災害に遭うわけですが、これが脈々と受け継がれているのは、実は、それをまた繋いでいくための技術が伝承されているということで、以前から強く主張していた訳ですがそれが認められて、
「建造物修理」や「かやぶき」、「左官」、「畳製作」など17の伝統技術で構成されている「匠の技」が文化遺産として登録が認められたことはうれしく思います。
次に、サンガスタジアム by KYOCERAです。
1月に竣工し、2月にこけら落としを実施しました。その後は新型コロナウイルス感染症がありましたが、Jリーグの方で工夫されて何とかシーズンを終えたということですが、いずれは国際試合等の誘致も励みまして、子どもたちの夢舞台として、また、府中北部へのゲートウェイとして活性化の花実にしたいと思っています。
次に、府立医科大学附属北部医療センターのがん診療棟の竣工・診療開始です。
これはまさに、京都府北部の府民の生命を守る拠点として運用を開始しました。PET-CTやリニアックも導入し、診断から治療までを一体的に行うことが可能となり、大いに期待しています。
次に、きょうと子育て応援レーンの運用開始です。
旅券事務所、京都駅前の運転免許更新センターと伏見区の運転免許試験場の府内3施設で、妊婦の方や小学生以下のお子様連れの申請者の優先受付を開始いたしました。全国に先駆けての取組となります。
次に、京阪神連携のスタートアップ・エコシステムの「グローバル拠点都市」選定です。
以前から選定に向けて努力をしてまいりましたが、大阪府と兵庫県の3つの府県で構成するコンソーシアムが国のスタートアップ・エコシステムの「グローバル拠点都市」に選定されたということです。
次に、日韓露国際直行フェリー航路の開設です。
極東ロシアに週1便定期運航される日本唯一のフェリー航路です。舞鶴港のクルーズ船の受入について今年はなかったわけですが、港としての力、日本海側とアジアの玄関口という意味では非常に有効な港です。このフェリーの開港を含めて、北部の発展の要としてまいりたいと思っています。
次に、京の米『京式部』の発表です。
これは京都府と国の研究機関が3年かけて共同開発いたしました。香り、上品な味わい、粘り、粒が大きい、白いなど色々な特徴がありますが、令和3年の秋から一般販売開始予定で努力をしたいと思いますので、皆様方からも是非PRしていただけたらと思います。
最後に、都市計画道路「東中央線」と一般国道163号「木津東バイパス」の同時開通です。
これは都市計画道路と国直轄道路の同時開通という意味でも画期的だったと思っていますが、関西文化学術研究都市「木津中央地区」の開発やまちづくりを支援することと、国道24号と163号の重複区間は慢性的に交通渋滞していますので、その交通混雑の緩和のためのネットワーク(が完成した)ということです。
この1年を振り返って、私自身が考える今年の漢字を発表させていただきたいと思います。
「家」です。新型コロナウイルス感染症の影響で、テレワークだけではなく、家にいる機会が多かったことと、それによって改めて家族の絆などに思いを致す機会が多かったと思います。なおかつ、最終盤にまいり、感染拡大を受けて、なるべく家族で過ごすことや、静かな年末年始をと申しています。そういった色々な意味で私にとっては、今年1年といえば「家」となりますし、なおかつ、年が明けてもまだまだ新型コロナウイルス感染症との闘いは続きます。そうした意味でもこの漢字を選ばせていただきました。
私からは以上です。よろしくお願いします。
本日午前中の緊急メッセージにあった重症病床30床を1つの目安にするという話やホテル療養の話を詳しく知りたい。
「30床」については、緊急メッセージの際にも夜久院長が仰っていましたが、「30床」が一人歩きするのは困るし、「30床」に達したら全てが瓦解するわけでもないので、「30床」を病床ひっ迫の1つのラインとして意識することが重要であるということは従来から認識していましたが、どういう形で表示するのがいいのかは、病院関係者の思いもありますので、なるべく早く調整して、例えば今は30床のうち17床が使用されているので、その比率を毎日報告し、それを見ながら医療体制を整えていただき、府民、事業者の皆様の感染予防措置についてもお願いしていくということです。
しかも、これは一般医療へのひっ迫度も現しているので、どういう文言がいいのかも含めて検討して、明日からでもそういう数字を参考表示するとか、常に数字を出す形で対応していきたいと思っております。(12月25日から表示対応済み)
ホテル療養については、令和3年1月13日から下京区にあるアパホテルで運用を開始するための準備に入っております。最終的にその日までに完全に準備ができるかどうか、もう少し詰めが要ると思うのですが、今のところは13日から運用開始の予定です。
室数は488室です。ただ、入る人数によって、ケアを担当していただく看護師さんの体制を整える必要があり、事務職員も食事の手配などがありますので、看護協会等と詰めていかなければなりません。部屋室としては488室(これまでと合わせ826室)を確保しています。
今は軽症や無症状の陽性者もかなり多くおられますので、病院側からも、なるべく症状に合わせて的確に療養体制を整えてほしいと言われています。宿泊施設療養のキャパが広がれば、それだけ医療関係者の皆様にも安心感を与えることができ、運用もしやすくなると思いますので、スケジュールどおり的確に運用開始できるように努力してまいりたいと思っています。地元や京都市、看護協会にも引き続きご協力をお願いしたいと思います。
実際に確保している病床数と、医療関係者の実感としての限界の病床数には相当な乖離があると思うが、この辺りについてはどうお考えか。また、ホテル療養の他に何かしらの対策はあるのか。
一番の対策は、皆さんに積極的に報道していただいて、感染予防に全員が一丸となって取り組むことです。これが一番病院関係者が望んでおられることで、だからこその緊急声明です。
コロナ感染者の方だけをケアするのであれば多分もっといけるのですが、「30床」を超えると、当然救急等他の医療に影響が出てくるということなのです。ですから、乖離があるというよりも、医療関係者の皆さんと思いは同じで、私としてはなるべく他の医療に影響を与えないためにも、「30床」というラインをしっかり意識しながら、引き続き感染予防、感染拡大防止に努めたいと思っております。
それと物理的にベッドは確保できても、マンパワーの問題があります。看護協会でもナースバンクなどを設けて看護師さんの確保に務めておられますが、全国で同じことが起こっているので、そう簡単な話ではないと思っております。
今日の専門家会議では、重症病床を早めに空けるために、今までは人工呼吸器が取れても引き続き同じ病床におられたところをなるべく早く違う病床に移ってもらうなどの提言と要望をいただきました。現場を抱えておられる病院関係者の方とよく擦り合わせて、少しでも負担が軽減されるような努力を引き続き行いたいと思っています。
当面、ホテル療養の整備をすることで医療全体の負担の軽減を図ることと、特に重症者が軽快された時の搬送体制を至急整えるなど、現場の方とお話をしながら(負担軽減の)努力を積み重ねていこうと思います。
京都市立病院協会からは、PCR検査を受けること自体が今かなりひっ迫しているということであるが、知事の認識は。
まず、具体的に現場がどういう状況なのか、事務方に至急調査させます。
PCR検査の実施件数は取りあえず1日当たり1,450件が行政検査の数で、これも24時間対応をすれば2,000件ぐらいまで可能と思っています。
保健所では感染者が出ると積極的疫学調査によって濃厚接触者を特定し、濃厚接触者は当然PCR検査をします。ですから、検査自体にかかる時間ではなく、PCR検査を受けるべき対象の特定に時間がかかっている可能性はあります。
全国で急拡大した時にそうしたことが起こっています。
これがまさに保健所のマンパワーの問題です。1か所で大量に感染者が発生するクラスターの場合は、範囲が比較的分かっているので、濃厚接触者を早く特定できるのですが、感染経路不明の方がたくさん出てきますと、お一人おひとりについてそういう作業をしなければいけなくなります。その辺りは、まさに保健所の現場業務の実態なので、どこがネックになっているかです。私自身は、PCR検査自体の検査器を回す能力や機器の限界ではなく、マンパワーの問題ではないかと推測しています。
京都市は年末年始に開業する診療所に支援金を出すということであるが、府としてはそういった手当はないのか。
これは既に実施すべく、感染者の受入れに対する措置については議会で議決されましたし、窓口診療についても、年末年始に開業していただく診療所に対し、支援する予定です。
年末年始に診療、検査を実施する府内の医療機関は、1医療機関当たり1日10万円を支援することで準備しており、入院患者の受入れについては1名当たり20万円を支援するということで、同様の措置をする予定をしています。
それは、京都市以外の府下の市町村に。
そうです。
29日から1月3日の年末年始期間、全部開けたとして、6日で60万円の支援になるのか。
そうですね、開けてもらった日数に合わせて支援することになると思います。
通常700近くあるはずの診療所・PCR検査が受けられる医療機関が、年末年始の期間はどれぐらい開業するのか、見込みは。
京都市域は医療機関の数が圧倒的に多いのでまだ調整中ですが、府域だけで言いますと、24日現在で一応36か所が対応可能だと言われています。例えば接触者外来などは年末年始も開けていただく予定になっております。休日診療に当たっている病院は当然開けるので、分母がはっきりしないのですが、取りあえず今のところは36か所です。なるべくたくさんやっていただくように、支援措置もお示しすることによって、さらに増やす努力をしていきたいと思っています。
今日時点で確保できた病床数は720床だが、年末までに750床確保の目標はクリアできるのか。
正直言いますと、ちょっと難しいかもしれないです。
というのは、750床ちょうどではなく、病院ごとに確保するので、750床よりも若干多めの数値でトライをしております。今、(既に確保できた720床に加え)40床程度を確保するべく最終的に調整をお願いしているところが、若干工事が必要なため、病床の確保ができるのは年明けになりそうだという報告を受けています。
できるだけ早めに確保できるように、引き続き調整したいと思っています。
750床という目標はかなり前から出されていた。12月に入って患者が急増しているが、目標の見直しはないのか。
もう年末まで来ていて、750床というのはあくまで目標で、最終の調整をやれば一応それでクリアだと思っております。
さらに必要かどうかは、感染の状況を見るのと、宿泊施設療養もフォローアップ体制をきちんとしておけば病院にいるのと同じような効果があるとも言われていますので、そちらの準備をまず優先して、1月13日に開くことによって全体の入院コントロールをしていきたいと思っています。
とりあえずいったんは750床で締めたいと思っています。
14病院連盟の声明が府とは別に出されて、府民に対し重症病床「30床」という数字が示されるということがあった。一方府としては、重症に限らず軽症でも受け入れている病院の名前を明らかにされていないので、我々も府民もひっ迫の検証がなかなかできないということがある。病院名の公表や病床の数など情報公開のあり方についての反省や見直しはあるか。
病院の人たちの意向で、基本的には病院名を公表しないことを前提にご協力をいただいていると医師会からも聞いております。例えば重症患者を受け入れている14病院につきましては、基幹的な病院なので逆に問題ないのですが、かかりつけ医等についてはやはり病院の意思もあるので、医師会との兼ね合いの中では病院の意思を尊重する形にするのが今のところはいいと思います。
公表の問題は他にもいっぱいありまして、例えばクラスターが発生した学校名やPCR検査の実施場所もそうです。これらの公表は、常に誹謗中傷、差別の危険性の裏返しになります。
我々としては、取りあえず病院に協力してもらうことを大前提に今までやってまいりました。非公表を前提としてご協力いただいている中では、今の我々のやり方はいたし方ないと思います。
その辺りは多分各都道府県でばらばらだからいろんな問題が起きていると思うので、国に一定のガイドラインを示していただきたいというのが私の思いです。
京都府は、医師会との関係からして、今の時点では公表は難しいと思っております。
反省点というよりも、検討すべき論点はたくさんあると思います。
受入れ可能な病床数をもう少し早く交渉していればよかったという考えはないか。
感染症用の病室を確保するということは、隔離しなければいけないので非常に大変ですし、マンパワーも取られますから、交渉を早くすればたくさん確保できるというものでもないのです。病院の事情と我々の持っている情報から、こういうところならば可能だというところを見ながら交渉しておりますので、早ければよかったというものではないと私は思います。
ホテル療養だけは、春、最初に公募し、ホテルの稼働率が最も低い時の公募だったので、かなりたくさんのホテルから応募がありました。その際、相手側の意向がかなり分かっていたので、今回もその中から決めました。看護協会に聞くと、やはり大きなホテルの方がケアするのに効率がいいというので、その意向も反映しました。ホテルに関してはそういう情報があります。
一応病院についても情報は持っていて、その中での交渉なので、絶対750床で止めると思っているわけではないのですが、病院側にも感染状況や社会貢献の必要性とも兼ね合いがありますので、そこをにらみながら、手遅れにならないように、次にアクションする場合には手をつけたいと思っています。
今夜に河原町で知事自らチラシを配って感染防止を呼びかけるそうだが、その狙いは。
今感染が拡大している大都市域では、20~50代の、比較的活動される世代の方が感染して、無症状や軽症のうちに感染を拡げることによって感染状況が非常に急拡大しています。そのことが医療の現場にもいろんな影響を与えている。そういう現状について少しでも理解を進めていただくことが、チラシ配付の狙いです。特に年末年始に向けて危機感と感染予防の意識を持ってもらうために、私自身もチラシの配付をさせていただくことにいたしました。
京都私立病院協会の会長によると、重症病床の上限をこれまで専門家会議に30床と伝えてきたにもかかわらずこれまで明らかにされなかったというふうに主張されていたが、それについての理由と受け止めは。
「30床」という数を主張されたかどうかは分からないのですが、松井(医師会)会長から、重症患者が春先で一番増えた12名の時に、20名ぐらいになると今の手持ちのマンパワーでは大変だろうという話は出ておりました。86床全部にいくと、通常医療が相当厳しくなるという話も出て、重症病床の上限については常に話題になっていたと思います。
その後感染が収まって、夏になってくると一般の医療がそれほど逼迫しない状況になりました。それが、冬になると心臓麻痺など循環器の病気が増える上に感染の急拡大が重なってきて、現場で改めて精査されて「30床」という数を出してこられたのだと思います。
専門家会議でも物理的な病床だけではなく、マンパワーとの兼ね合いや一般医療との兼ね合いをきちんと考えていかなければいけないという話は、毎回ではないとしても、常に出ておりました。我々も当然そういうことは意識しながら対応してきたつもりです。
府として、もしくは知事として「30床」という数字は認識していなかったということか。
「30床」という数字は、今回実際に重症患者を受け入れている14の病院長が他の救急医療との兼ね合いやシフトの状況なども考えた上で、一般医療への影響を与える一つのラインとして改めて出されたわけで、実際私自身が「30床」という数字を聞いたのは最近です。
最近というのはいつか。
14病院長が数字を出される少し前に、そういうことで検討されているという話を聞きました。そのことと全体の感染拡大があったので、対策本部会議で時短要請なども考えさせていただいたということです。
「30床」という数字について、明日以降どういう捉え方をするのかも検討しているということか。
厚労省は「重症」の定義をECMOと人工呼吸器と高流量酸素の使用としていて、医療現場から「30床」という数字を、キャパというよりも一つのラインとして意識してほしいという要請があるので、「30床」という数字を使った何らかのサインを出すようにしたいと思っております。呼び名や形式については至急検討いたします。
ただこれも全て「感染予防に皆さん努力してください」と言うための数字で、その思いは病院関係者は共通しています。ですから、数字の捉え方の問題ではなく、それだけ危機感があることをお知らせするために、今日特に3人で会見(緊急メッセージの発出)をしようという話になったのです。
すぐに使える重症者の病床数が「30床」だという認識で言われているのかなと理解したが、その認識と府の認識は違うのか。
それは同じです。病院の現場の皆さんがそう仰っていますから。
ただ、「すぐに使える」と言っても、実際は「集めてきたら使える」場合もあり、そこは病院の運用の話だと思うのですけれども、翌日にならシフトしたりしてある程度空けられる状況だと聞いています。
夜久院長は「超重症病床」という言葉を使われていた。
ここまで半年以上、感染対策を続けてこられた中での反省点は何か。まだ全部振り返る段階ではないと思うが、1月に最初の患者が発生してから、2ヶ月程度準備期間があって4月以降急激な対応に迫られたかと思うが、そうしたことを踏まえて今後いかしていけるような教訓をどのように考えているか。
反省点はそんなにないですが、教訓はいっぱいあります。
まずは、緊急事態宣言を出して人の動きを止めればウイルスの感染拡大を防げることは分かったのですが、学校の休業がその一つの典型であったように、府民生活や社会経済活動に甚大な影響を与えることが身をもって分かったということです。
だからこそ、そのあとは、感染拡大予防と社会経済活動の両立をめざして、バランスを取っていくことに腐心しました。これは明確に数値による基準があるわけではなく、数字だの基準だのを機械的に示すことは難しいということが、一つの教訓として残っています。
それから感染予防はやっぱり府民の皆様、事業者の皆様のお一人おひとりの意識によって止めていくしかないということもまた改めて分かりました。そういう意味で対策の難しさは非常に教訓としては残っています。
その上で、外に向けて感染の状況をどういう形で発信していくのかは課題として残っていると思います。一番は1日当たりの感染者数なのかなという気もするのですけれども、どうもそれだけではないかもしれません。私としては、そこをいかに感染予防の活動につなげていくのかが、一番大きな課題だと思っております。
他にも法律改正の話もありますし、地域ごとの対応の話など課題はいっぱいあります。
京都府はたまたま全国に先駆けて、北部地域と南部地域を分けて学校の休校措置を行いましたが、都道府県ごとに感染の状況が違うのと同じように、京都府内においても地域によってかなり感染状況が違います。それをどこまできめ細かく対応するのかということです。一方で、ウイルスは行政境とはあまり関係なく感染が動きますので、全国に向けた発信と都道府県、さらに都道府県の中でどういうふうにきめ細かく対応していくのかということについて、感染症対策は非常に難しいと痛感しております。この辺りは多分これからもずっと課題になるのではないかなと思います。
菅政権が発足して3か月、この間の国のコロナ対策に対してはどう評価するか。
もともとコロナ対策というのは未知のウイルスとの闘いで、私がさっき言ったような感染拡大防止と社会経済活動の両立をどう図っていくのかという、悩みはまさに同じだと思っております。
ただ、新政権が発足したあとに、例えばデジタルトランスフォーメーションとか、脱ハンコとか、携帯の通信料金の値下げとか、カーボンニュートラルとか、様々な実務的な政策を打ち出されている時に、感染拡大が広がっていることに関しては、正直、非常に難しい政策運営の舵取りをされているのではないかというのが率直な感想です。
なかなか正解が分からないことではあると思うのですけれども、やはり色々なことをやろうとする時に、常にコロナ対策を意識しなければいけないことへのもどかしさがあるのではないかなと思っています。
温室効果ガス実質排出ゼロについて、今年度の目標達成は難しい状況にあるが、反省点やこれからの取組で具体的に考えていることはあるか。
今回、「2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロ」をめざす趣旨を条例に盛り込むことを議会で通していただきました。その前に京都市会が同じ趣旨で先に通しておられます。全国を見ても、政令市とそこの所在都道府県が同じ趣旨の条例を通すのは初めてだと思います。
仰るように非常に難しい課題だと思います。京都府だけでできることも少ないし、地球環境問題というのは国際的な課題、国の課題も多い。けれども、私自身は、政府がカーボンニュートラルの目標を掲げ、全国にも同じ宣言をしている仲間がかなり増えていて、そういう意味では、目標を達成する環境が整いつつあるのではないかと思っております。まだ具体策としての大きな柱は国から打ち出されていないけれども、達成に向けた追い風にはなっていると思っています。
個別には色々な課題がありまして、家庭部門がなかなか達成せず、まさにお一人おひとりの意識の問題があります。けれども、国全体が、多分国際的にも、「温室効果ガス排出量ゼロ」に向かっていこうという極めて大きな流れがあります。その流れをうまく捉えて京都府内でもぜひとも実現したいなと思っております。
どうも1年間ありがとうございました。
お問い合わせ
京都府新型コロナウイルスガイドライン等コールセンター
TEL:075-414-5907(平日9時から17時)