更新日:2020年12月1日

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令和2年9月1日知事記者会見

令和2年度9月補正予算案等の概要について

1点目は、令和2年度の9月補正予算の概要がまとまりましたので、ご説明します。

まず全体の基本方針ですが、昨日(の感染者)は少なかったですが、ここのところ8月は感染の連鎖が続いており、引き続き油断できない状況ですし、今後WITHコロナ時代を乗り越えていくためには医療崩壊を徹底して防ぐ。そうした上で、感染拡大防止と社会活動の両立を図っていくことが必要です。柱は「1..医療・検査体制の充実・強化」、「2..感染防止対策の徹底」、「3..雇用・経済緊急対策」、「4..WITHコロナ時代の地域活性化」の4本です。

 

 

1.医療・検査体制の充実・強化
医療・検査体制の充実・強化(84.4億円規模)
1つ目の柱の「医療・検査体制の充実・強化」につきましては、国の本部会議、また本日開いた府の対策本部会議で検査対象を新たに拡大するということで、医療機関等で実習する大学生、また感染多発地域の高齢者施設等に勤務する職員、また今後インフルエンザの流行期に発熱者の増加が想定されます。そうしたことに対応するために、検体の採取体制の強化、PCR検査能力の拡充、感染者の増加に備えるための目標病床数の設定を行いたいと思っています。
まず目標値の数ですが、唾液検査について現在280箇所で診療所での検体採取をしていますが、9月末には400箇所を目標にしたいと思っています。それから、PCR検査の検査数について、現在800件の能力ですが、年内には1日当たり1,500件を目途に拡充し、併せて臨時衛生検査所の創設なども行いたいと思っています。病床につきましては、現在周産期等のものも含めて515床のところを年内750床まで、これも感染状況に応じて柔軟に対応したいと思っています。このために総計で84.4億円規模です。

 


2.感染防止対策の徹底
施設実習生に対するPCR検査費用の支援(0.9億円規模)
2つ目の柱の「感染防止対策の徹底」につきましては、福祉や医療関係の学生については、どうしても施設での実習が不可欠ですが、当然その施設には重症化リスクの高い方がおられるので、実習生と施設の双方に安心して実習が行える環境整備をすることが必要だということで、大学や大学生が事前に実施するPCR検査等の費用の一部を助成するということで、補助率2分の1、一回当たりの上限が1万円です。併せてこの検査を実施するために、京都府立医科大学、京都大学、京都府医師会、京都府等によりまして、検査受入支援のための協定締結も行いたいと思っています。これらの費用で0.9億円規模です。

大学等の感染防止対策への支援(4.8億円規模)
大学等の感染防止対策で、8月5日にガイドラインを改訂し、順次進めていただいていますが、それをより強化するために、補助対象として例えば、食堂や喫茶室、部室等の感染防止対策。また現在オンライン授業が行われていますが、今後全てが対面になるわけでなく、対面とオンラインを併用するところもあり、そうした場合にそれだけの施設・設備が必要となるということで、複数教室間の中継授業に必要な費用。学生寮の相部屋がかなりまだ残っていますので、そうしたものを解消するための家賃補助等で、全体で4.8億円規模です。

安心・安全な京の修学旅行への支援(0.5億円規模)
修学旅行の関係で、京都府と京都市が協調して対応しており、専用の電話相談窓口「きょうと修学旅行専用24時間感染電話相談窓口」については既に開設していますが、それに加えてコロナ対策をするために部屋や食事場所の変更、バスやタクシーの乗車、万が一陽性が判明した場合にはある程度症状が重い方なら入院してもらいますが、無症状の場合は保護者の方に付き添って帰っていただくといったこともあり、そうした様々なことにかかる費用を生徒・児童数一人あたり2,000円を補助します。0.5億円規模です。

地域公共交通の安心確保への支援(2.5億円規模)
地域公共交通機関の関係で、これまでも地域公共交通機関は感染拡大局面でも止めずに、かなり輸送密度が低い中での運行をしていただいておりましたので、そうしたことを踏まえた支援を行っていきます。乗合バスについては国との協調の補助として、車内の密度を抑えた運行についての実証事業、京都丹後鉄道につきましては、非常に乗客の減少している現状などがあり、魅力向上のための車両改良や運行確保に繋がる取組について支援します。合わせて2.5億円規模です。

 


3.雇用・経済緊急対策
コロナ離職者採用等への支援(府市協調・8.4億円規模)
3つ目の柱の「雇用・経済緊急対策」につきまして、まず京都市が先行的に京都市内でコロナの影響を受けて離職した方を採用・雇用する場合の支援をしています。多数の申込が来ていると聞いていますので、その効果を府内一円に広げますと共に、京都市内におきましては府市協調でその効果を時期的にも拡大していくということで、6月1日から12月15日までの期間に新たに雇用し、3か月以上継続雇用した場合について、正規雇用で一人当たり30万円、非正規雇用で一人当たり10万円の支援をします。8.4億円規模です

学生の府内企業就職促進に向けた緊急対策(0.1億円規模)
学生に着目した支援でインターンシップ事業です。来年に卒業する方の就職ももちろん大変ですが、企業側がなかなか今の3年生のインターンシップを取れないことで、再来年の就職期についても、学内で皆さんが困惑し、心配されています。企業側はインターンシップの受入人数を減らしており、学生側は情報が入手できないということなので、情報のマッチングと就職に繋がりやすいような中長期かつ有償のインターンシップについて、府内中小企業に対する支援を併せて行います。これはもちろん学生への支援というものもありますけれども、元々府内の中小企業でかなり優良な企業でも学生の確保に困っているところもありますので、こういう時にきちんと情報を繋ぐことで優秀な人材の確保に繋げたいと思っています。これが0.1億円規模です。

ものづくり企業の販路開拓の取組への緊急支援(3.1億円規模)
ものづくり企業の販路開拓への支援です。4月補正、5月補正、6月補正では観光関連産業等を中心に様々な支援をしてまいりましたが、ものづくりについてもじわじわとコロナの影響が及びつつあります。ものづくり企業について雇用の不安が訪れますとかなり規模が大きいということや、一旦生産基盤が壊れますとなかなか復活するのも大変だということで、今回コロナ禍での経営が悪化して受注回復の目途が立たたず、この際新たな販路の開拓が必要だというところについては、そうしたものに対する新製品の研究開発・試作、販路開拓、設備投資や生産工程の見直しなど経営上の課題を解決するための取組に対する支援を行います。3.1億円規模です。

商店街店舗の設備投資等への支援(6.0億円規模)
6月補正で3億円の予算で実施しています商店街等が「新しい生活様式」を踏まえた店舗改修等をする場合の支援措置ですが、現在のところ申込状況が非常に多いとのことですので、3億円では要望に応えきれないということで6億円規模の増額をしたいと思っています。

「京の酒」の販路拡大支援(0.2億円規模)
「京の酒」の販路拡大支援です。京都のお酒は京都産の酒米を使うことによって、より京都のブランド力を高めたお酒を販売しておりましたが、ご承知のように飲食店での需要やインバウンドでのお土産需要等が激減しておりまして、「京の酒」の販売量が前年比3割程度減っております。お米が予定通りできますと酒の在庫も増えますので、それが来年の酒米の作付面積に影響するので、「京の酒」の販路拡大をし、海外市場に対してアプローチするということで0.2億円規模です。

府内産木材利用拡大等への支援(1.6億円規模)
木材について、住宅着工の動向が非常に厳しく、木材需要が減退しています。それに対して府内木材の需要拡大、販路拡大、場合によっては工務店と木材の業者を連携させることによって、コロナ後も一つの流通の体系ができないかということもあり、工務店が府内産木材を購入する経費の4分の1を支援するというものです。

中小企業の資金繰り支援(府市協調・600億円規模)
資金繰りの実質無利子無担保融資です。これも非常にニーズが高く、600億円規模で預託金の増額をするものです。これは京都府と京都市揃って対応するものです。

生活福祉資金の貸付(65億円規模)
生活福祉資金の貸付については、全額国費の対応ですけれども、非常に経済状況が悪いということでニーズが高く、これも貸付期間の延長と合わせて貸付原資の積み増しをするものです。65億円規模です。

消費者被害等防止の取組強化(8百万円規模)
府指定文化財等の所有者に対する支援(0.3億円規模)
消費者被害の未然防止支援に800万円規模、府の指定文化財所有者に対する支援については、コロナの影響でそうした方の収入が減っております。そうした支援に0.3億円規模です。

 

 

4.WITHコロナ時代の地域活性化
グローバル展開を見据えたスタートアップ支援の拡充(0.1億円規模)
4つ目の柱の「WITHコロナ時代の地域活性化」につきましては、1つは、グローバル展開を見据えたスタートアップ支援の拡充です。
ご承知のとおり、京阪神連携のスタートアップ・エコシステムが国の「グローバル拠点都市」に選定されました。そうしたことを受けて、コロナ禍ではございますが、国内外からのビジネスアイデアを京都に集積させるためのオンライン交流会の実施や、集積したアイデアの事業化に向けた支援、世界戦略として特に知財の関係、海外での特許取得に必要な手続きの相談窓口の新設などを行うもので、0.1億円規模です。

「地域づくりファンド(仮称)」の創設(1.0億円規模)
「地域づくりファンド(仮称)」の創設です。
これは海・森・お茶の3つのDMOが府内の金融機関と連携して「地域づくりファンド(仮称)」を創設する、それに対する支援です。もともとDMOには、観光はもちろん、観光よりもより広い地域振興の総合的な担い手となってほしいと思っています。地域に眠っている資源、例えば古民家を趣ある客室に改装することによって、一棟貸しの宿泊施設にする、サテライトオフィスとして利用する、隠れ家的なレストランにするなど、地域資源を活かした取組について支援していこうというものです。補助では一回限りとなりますが、ファンドによって事業体をつくりますとある程度持続性のある支援になると想定しており、1.0億円規模です。

歴史的建造物の保存伝承(0.6億円規模)
歴史的建造物の保存伝承です。広隆寺桂宮院本堂(こうりゅうじけいきゅういんほんどう)、仁和寺飛濤亭(にんなじひとうてい)、宇治市にあります松殿山荘修礼講堂(しょうでんさんそうしゅうれいこうどう)等です。非常に傷んでいまして、国宝や重要文化財の所有者からの受託により、保存修理を実施するものです。国の採択を受けて追加で工事を実施するものです。0.6億円規模です。


予算案の規模
予算案の規模については、9月補正予算で809億円台、補正後予算額は、11,878億円台です。今年は異例な形で補正予算を組んでいますが、この9月補正後の予算については、昨年度である令和元年度と比較すると32.1%の増となっていまして、非常に大きな規模となっています。

 

令和2年度9月補正予算案等の概要について(PDF:996KB)

 

新型コロナウイルス感染症対策本部会議の結果について

2点目は、午前中に開催しました新型コロナウイルス感染症対策本部会議の概要についてです。補正予算と重なるところもございますので、簡潔にご説明をいたします。
7月31日の対策本部会議で(1)飲食店、(2)大学生、(3)重症化リスクの3つのターゲットに絞った対策を実施するということを決定しました。
8月の感染者状況を見ましても、ターゲットは引き続き同様だと思っています。まずは、全体として飲食店(感染)の比率が下がっているものの、家庭内感染の比率は上がっています。家庭内感染というのは、どこかから家庭内に持ち込まれているということであり、飲食店の比率は比較的高く、またこの間、カラオケ等でも集団感染が発生しているため、ターゲットとしては重要な分野だと思っています。大学生については、7月31日以降秋の開校がだんだん近づくにつれて、心配される声も挙がっていますし、この間にも、大学の課外活動等での集団感染も発生しています。

重症化リスクについても、まさに重症化リスクのある方に対する対応が一番重要であると考えています。高齢者施設等での集団感染も発生していることもあり、このターゲットについては変更しませんが、それぞれのターゲットに対する対策を強化していこうということです。それに合わせて、医療検査体制の充実・強化です。

まず飲食店の対策については、「きょうと5ルール」の周知・徹底を図るということです。大学生が戻ってきますので、7月31日の時にも大学当局へお願いしていますが、改めて周知・徹底していきたいと思っています。
「こことろ」の普及拡大については、登録店舗数は15,700店、個人登録数は18,700名となっていますが、より普及拡大していきたいと思っています。

大学生については、有識者によるメッセージ動画、感染防止ガイダンスをお願いしています。学生への一斉注意喚起メールはすべての大学で終了していると聞いていますが、繰り返し感染拡大防止の注意喚起は続けていかなければいけないと思っています。
学内施設の感染防止対策の支援、学生を対象としたPCR検査の実施については、先ほど説明したとおりでございます。

重症化リスクのある方の対策強化について、こちらも先ほど申し上げましたが、職員の方はまだまだ不慣れなところもありますし、改めて所内施設を視察しますと、マニュアル通り行われていない、マニュアルの存在を知らないところもありましたので、改めて研修動画を作成して、配布するとともに、自主点検チェックリストを配布していきます。
PCR検査については、医療機関、高齢者施設で、職員、入院・入所者を対象者として、感染が多発している地域について積極的にPCR検査を実施したいと思います。

宿泊療養施設については、以前から新たな施設の確保に向けて調整を続けていると申し上げていましたが、今のところ施設の使用率が11.2%で、338室確保しています。今後の感染状況を見ながら、時期を失しないかたちで新たな施設を確保していきたいと思います。今確保しているものではなく、目標として今後対応していくものです。

入院コントロールセンターについては、京都で病院間の連携が比較的進んだのは、入院コントロールセンターの役割が非常に大きいと、医療関係者の方から評価をいただいています。さらにその機能を強化するために、重症者の受入病院の病院長との会議はこれまで不定期で開催していましたが、これを定期的に開催することによって、患者情報等を受入病院とその他の皆さんと同じレベルで共有することも含め、重症化リスクをなるべく避けるということ、そしてより効果的な治療に繋げていくために、引き続き連携を進めていきたいと思います。

 

新型コロナウイルス感染症対策本部会議の結果について(PDF:493KB)



京都府新型コロナウイルス緊急連絡サービス「こことろ」利用方法紹介動画の作成・公開について

3点目は、京都府新型コロナウイルス緊急連絡サービス「こことろ」利用拡大に向けた利用方法紹介動画の作成・公開についてです。
「こことろ」の利用方法を広く府民の皆様に知っていただくために周知動画を作成しました。この動画は利用者向けと事業者向けの2本立てとなっています。実際のアプリやホームページ上の画面を示しながら、順を追って利用方法を紹介していますので、初めて利用される方にも分かりやすいように作成しています。京都府公式youtubeや京都府ホームページにおいて公開していますので、より多くの方にご覧いただけるように是非とも周知をお願いします。
動画は2分程度となっていますので、本日は、利用者編だけご覧いただきたいと思います。

(こことろ動画再生)

私からは以上です。よろしくお願いします。


京都府新型コロナウイルス緊急連絡サービス「こことろ」利用方法紹介動画の作成・公開について(PDF:289KB)

 

質疑応答

記者

週ごとなど長いスパンで見たときに、今の感染状況をどのように見ているか。

 

知事

週末には低い値が出るので、昨日一昨日は別ですが、昨日の段階で(7日間)移動平均値は18人と一時に比べてやや低くなっていると思いますが、京都府の場合、41人という1日での最高の数字が7月29日、8月20日と3週間を置いて出たことがあって、必ずしもきれいな正規分布になっていません。まだまだ警戒を緩められないと思います。

新型コロナウイルスの性質上、ある程度連坦した都市の一箇所だけで感染が収束したり感染爆発することはないと思いますので、全国的な傾向では専門家の方も一定のピークは超えたのではないかと仰っており、感染拡大基調にはないと思いますが、油断できない水準にあると認識しています。

 

記者

拡大傾向が見られない中、検査体制の強化についてPCR検査数や病床数もかなり増えるが、それぞれどういった目標があってこの数字になっているのか。

 

知事

それぞれ目標の期間を設けています。補正予算との関係で言いますと、原則9月議会の次は12月議会ですし、通常インフルエンザの流行期に向けて備えるという意味では、目標値としてはある程度高いというか、枠組みとしては万全の体制を作りたいという思いがあります。
数値については、10万人あたり25人という「ステージ4」を一つ念頭に置いており、病床については、そうした状況になっても大丈夫な数値です。「柔軟に対応する」と書かせていただいたのはこれはあくまで予算上の設定であり、病院側の負担もありますので、感染状況を見ながら個別の医療機関との調整を進めていきたいと思います。PCR検査についてはそれとは少し違い、全体の検査体制も増えていますが、検査ニーズも様々な形で増えています。例えばこの夏でも、発熱や喉の痛みなどの有症状の方がかかりつけ医に来られている状況を見ると、秋冬はそれが多くなるとその分だけでも検査ニーズが増えるので、こちらは1日あたり1,500件を目標としておりますが、これは余裕のある数字とは考えておらず、秋冬の検査ニーズを踏まえて少なくともこれくらいは必要ではないかと考えています。これも第4ステージの感染者数をベースに陽性率を仮定して計算しています。

 

記者

入院病床を750床まで増やすということだが、コロナ病床の増床によって地域医療に更に負担がかかる懸念があるがどのように考えているか。

 

知事

地域医療との関係については、医療機関と調整して進めています。春は一般医療のニーズに対してプライオリティ高くしてコロナ病床を作りましたが、今は医療機関との綿密な打ち合わせの下で目標を定めておりますので、医療機関に負担をそれほどかけない形で病床を確保します。総病床数からするとそれほど多いわけではないので、医療機関の地域医療のニーズを踏まえた数値にしております。

 

記者

コロナの専用病棟や病院を作る方が、棲み分けができるのではないかと思うが、そうした考えはあるか。

 

知事

専用病棟にはいろいろな考え方もありますが、今の感染状況を見ると、軽症ないしは無症状の方が非常に多く、そうした方は施設療養の方がいいのではないかという声もあります。専用の病棟や病院を作るのは非常にコストがかかりますし、他府県の状況を見ても既存の入院患者さんがいるところを変更するのは手間がかかると聞いています。新たに用地を確保して建物を作るのはコストもかかりますし、時間もかかると思います。京都の場合は医療機関からの協力体制がよくできていますから、専用病棟を作ることは選択肢の一つとして常に検討の俎上には上げていますが、今の段階ですぐさま設けることは考えておりません。

 

記者

予算規模が膨らんできており、1兆2千億円に近づいてきているが、知事としてこれだけの額の予算を取り扱っていくことについてどのように感じるか。

 

知事

金融機関の預託がありますので、すぐに財政ニーズとして出ていくわけではないですが、それにしても大きいです。今のところは地方創生の臨時交付金と医療関係の緊急包括支援交付金を国の二次補正予算として交付決定いただいています。我々としては、国の財源を最大限活用して予算編成をしています。もちろん財政状況については常にウォッチしなければいけませんが、一方では全国知事会でも議論されていますが、地方創生臨時交付金も緊急包括支援交付金も今の額では足りないという声が出ております。引き続き、国に対してはコロナ対策に必要な財源の確保をお願いしていきたいと思います。

 

記者

国の交付金頼みになり大変だと思うが、京都府はこの状況をいつまでなら耐えられるか。

 

知事

国が耐えられなくなったら京都府も耐えられなくなります。国の財政と地方の財政は負担していただくのは国民であり、府民なので、そこは常に効率的・効果的に使わなければいけないと思いますが、今の感染状況からすれば感染拡大防止は絶対ですし、社会経済活動と両立していかなければいけません。必要な財政資金については国の方にも確保していただきたい。交付金頼みということですが、春先にあったように全額を一般財源で行うとなると、それぞれの自治体による財政力によって救われたり救われなかったりすることが起こるのは非常に大きな問題だと思います。一定の財政調整は国にやっていただけかなければいけないと思います。

 

記者

対策本部会議での第一波の検証の中で一番の課題と感じているところ、取り組むべきところはどこか。

 

知事

一つは感染拡大防止について、今ターゲットを絞った対策と言っていますが、第一波の時に効果があった緊急事態宣言のようにすべての人の行動をかなりの強さで止めることは効果があるのですが、社会経済に非常に打撃を与えたので、感染状況を見てなるべく効果的に拡大防止をするということです。
もう一つは病床について、病床使用率が最高7割ぐらいになりました。その時は毎日気が気ではなかったです。入院が必要な方が入院できない状況は一番困るからです。確保の必要性を感じてから専用病床になるには2週間でも難しいことがあります。2週間経てばそれだけ感染者が累積しますので、感染拡大の局面において病床はある程度余裕を持って確保しておかないといけないということです。我々も安心できませんし、府民の皆様も一番気にされている部分です。コロナに感染することは不可抗力でも、安心になります。
あとPCR検査について、最初の頃に比べて検査の窓口が増え、検査能力も広がっています。これが感染拡大防止に相当寄与しているのではないかと思います。春とは比べられませんが、早めに陽性者を捕捉して積極的疫学調査で抑えていくと二次感染・三次感染が抑えられていますので、ここはベーシックな感染拡大防止としては効果があると思います。

 

記者

今回の補正では人員拡充はないが、PCR検査件数が増えるが、対応できる技師や看護師などのマンパワーは足りているのか。

 

知事

PCR検査の実施主体については民間の検査機関もかなり充実してきていますし、病院もあります。全てを京都府の保環研や京都市の衛生研の公務員に頼っているわけではありません。応援体制についても、京都市も昨日保健所の応援体制を拡充することを言われていましたが、検査機器を充実しますが、本当に大変な時には同じ台数の検査機でも24時間フル稼働させるとか応援体制によってさらに能力を高められます。今のところ十分に、今回の増加に伴うマンパワーは足りていると思います。

 

記者

臨時衛生検査所とはどういうものか。

 

知事

民間施設を行政検査所として登録するものです。今は島津テクノサービスを登録しています。これをもう1箇所追加します。いわゆる病院や行政機関である保健所や衛生研究所と違う臨時の施設で、PCR検査に特化した検査所として認めています。本当に大変な時にはいろんな協力していただくことになると思います。

 

記者

既に1箇所あり、2箇所を設置するということか。

 

知事

そうです。

 

記者

補正予算の中に府市協調で取り組むことがいくつか盛り込まれているが、改めて府市協調の重要性をお聞かせいただきたい。

 

知事

府市連携については、修学旅行に安心して来ていただけるようずっと対策はしてまいりましたが、今回の予算では相談窓口の設置と、学生・生徒1人あたり2,000円を上限に支援するのはまさに京都府・京都市で連携して行います。
雇用対策の中でコロナの影響で離職された方の雇用について正規雇用の方は30万円、非正規雇用の方は10万円を支援する制度は、もともと市が7月補正予算で先行して行ったもので、かなり申し込みがあり効果があるということなので、市内分については府市共同で、府内については府で広げようということで、まさに一緒にやっていこうということです。
民間金融機関の無利子・無担保の融資は府市協調で預託金を積んでおりますので、これも完全に府市協調でやっていきます。府市協調と書いているものは少ないかもしれませんが、実際に今日の対策本部会議で(京都市の)仁科危機管理監が言っておられましたが、感染の75%が京都市内なので、感染拡大防止については全て府市協調でやるべきものだと思っています。コロナの感染拡大防止はかなりの部分は府市協調だと考えていただいていいと思います。予算上では、今、申し上げた3つとなります。

記者

国の対策が出てきたことで府の対策本部会議の日程が変わったりしたが、国に要望することはあるか。

 

知事

国の8月28日の対策本部会議で示されたものの中には我々に従来から知識があるような施策もありますが、新しく出てきているものもありました。抽象的に書かれており、具体的にどういう運用になるのか、国からの支援はどういう形で行われるのかなどより詳細な制度設計は早く示してほしいというのが希望です。

 

記者

具体的にはどの部分か。

 

知事

PCR検査で例えば「自己負担分について積極的に対応する」とあるが我々はどういうことをすればいいのかということや、感染多発地域やクラスター発生地域における積極的なPCR検査では「感染多発地域」の定義をしていただければありがたいですし、市町村が行うPCR検査についても高齢者やリスクのある方とありますがどういう定義であてはまるのかなど、今の段階でわからないことも多いので制度設計についてもう少し詳細にお示しいただいた方が施策の実施がよりスムーズに入れると思っています。

 

記者

9月補正予算は翌年度の当初予算に盛り込みたいことや翌年にやりたいことの種まきも入ると思うが、コロナに絡んだことが多く、今の難しさはどこにあるか。例えば本来であれば総合計画の「子育て環境日本一」を一丁目一番地の柱としてやっていく真っ只中だったはずであると思うがどうか。

 

知事

国であれ地方自治体であれ、貴重な税金を使って仕事をするわけですから、ニーズに的確に応えるという意味では、今の足元では新型コロナウイルス感染症が最も社会経済に影響を与えているので、これに対して的確な手を打つのは、逆に言えば最も重要な課題なのでそれは当然だと思います。それによって何か他のことができなくなるということではないと思います。ただし、緊急避難的なもの、緊急的な対応だけするということでは、中長期的な展望も立たないし夢もないかもしれないので、未来への投資も含めたものも準備していかなければいけません。
そういう意味では予算編成上は当初予算を我々は編成しているので、今の状況だと若干障害がある可能性がありますが、これをきちっと執行していかなければいけません。その上で6月補正予算でお願いした産業分野における危機克服会議も含めて、総合計画を見直すというよりどのような影響を与えるのか平行して検討しておりますし、かなり多くの有識者の方のご意見を聞いていまして、コロナ後の社会をコロナ以前よりもよくしていこうという意見も多いので、その声をくみ取って次の施策運営に反映していくことが重要だと思います。
根幹的には例えば災害からの安心・安全は時代を問わず必要ということもあるし、産業政策では産業構造が変わるかもしれないのでそれに合わせていかなければいけないなど柔軟にコロナ後を見据えて、検討を進めていくことが今の段階で一番重要だと思います。

記者

テレワークや周産期の受入などコロナが終わった後も、これから役立ちそうなものは入っている印象があるが、今だったらどういった姿を府民に対して示せるか。

 

知事

今まさに考えているところでして、根幹的にどこまで変わるかわかりませんが、今出ている影響をプラスに捉えて新しいポストコロナ社会に繋げていくことが重要だと思います。

 

記者

門川市長との懇談で、保健所の相談体制の一本化を提案されたと思うが、その後京都市から返答があるか。

 

知事

私が提案したのは、保健所が大変だと思っていて、積極的疫学調査等のために京都府としても京都市の体制を支援したいと思い、私が考えついたアイデアを示したものです。現場の状況を踏まえて検討するという回答をいただき、その後回答をいただいているわけではないですが、昨日の京都市の対策本部会議で改めて保健所機能の体制強化については、人の増員を含めてかなりのことを打ち出されています。私が言ったからだとは思いませんが、私の問題意識と根っこを同じにしたものですから、そうした最新の保健所機能の強化への動きも踏まえて検討されるものだと思っています。

お問い合わせ

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