ここから本文です。

人権口コミ講座 141

拉致被害者の一刻も早い帰国を求めて

立命館大学名誉教授 薬師寺 公夫

いまだ解決を見ない拉致問題の現状

 1970年代から80年代にかけて多数の日本人が北朝鮮工作員らによって北朝鮮に連れ去られました。日本政府は17名を拉致被害者と認定しており、当時京都外国語大学から欧州留学中だった松木薫さんもその一人です。さらに拉致の可能性を排除できない方が京都府関係の方を含め875名(2020年10月現在)おられ、政府はすべての拉致被害者の一刻も早い帰国を求めています。

 2002年の日朝首脳会談で、金正日(キムジョンイル)国防委員長(当時)は、日本人の拉致を初めて認めて謝罪し、同年10月、5名については帰国が実現しましたが、他の被害者についてはいまだに安否が不明なままです。2014年の日朝政府間協議の結果、北朝鮮当局は、拉致被害者を含む同国の日本人の包括的調査を約束しましたが、2016年にはこれを中止しました。

拉致被害者の即時帰国とご家族との再会の実現を

 2014年に公表された北朝鮮における人権に関する国連調査委員会の最終報告書は、同国による拉致事案の被害者の出身国が10カ国以上に及ぶと指摘し、生存している被害者とその子孫を即時に出身国に帰国させるよう強く勧告しました。2021年3月には国連人権理事会が、また12月16日には国連総会本会議が北朝鮮の人権状況決議を採択し、拉致被害者の即時帰国を含む強制失踪(しっそう)問題の早急な解決を強く求めました。

 ご家族が再会を果たすには、拉致問題はもはや一刻の猶予もない問題となっています。拉致被害者の即時帰国と拉致問題の早急な解決を求める一人ひとりの声をさらに広げることが重要になっています。

◎令和3年3月発行の「人権口コミ講座22」の内容を加筆・修正し、再掲載しています

京都人権ナビ

人権情報ポータルサイト(外部リンク)
人権に関する相談窓口などをご案内しています

[お問い合わせ]
人権啓発推進室
TEL:075-414-4271 FAX:075-414-4268

次のページへ

お問い合わせ

知事直轄組織広報課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4075

koho@pref.kyoto.lg.jp