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審査委員長 井上 博義(京都写真家協会会長)
今回、応募作品総数が523点、応募者数は170名(最年少11歳、最高齢93歳)の方々から寄せられました。これらの写真群には応募要項・細則にそぐわない作品、また構図においてまったく問題のない写真でありながら、パソコンソフトによる「シャープネス」や「彩度」の過剰処理によって異質に強調され、不自然な画像となった作品であるため、残念ながら選外となった作品が数十点ありました。特に後者に於いてはプリントの濃淡・色明彩は確かなご自身のスケールを常に持たれることをお勧めします。決して過剰調整依存型にならないで下さい。今一度、「自然とジックリ、向き合って構えて撮る。」この姿勢にリセットされてはいかがでしょうか?ご自分の想いを意のままに切り撮ることは、決して容易な事ではありませんが、ある時思わぬ自然風景に巡り合い、心ときめかしながらしっかり撮れた時の気分は爽快です。そして、その快感がまた次の撮影へと駆り立ててくれます。どうぞ基本に立ち返りノーマル且つシンプルな撮影で腕を競って頂くことを望みます。
ちなみに、テーマ外・手振れ・甘ピン・粗粒子・過調整・合成などはマイナス要因です。
絢爛に咲き誇る桜、春真っ盛りです。暮なずむ頃の桜花に夕日が射し、ひときわ染まる事で立体感が増しました。枝いっぱいに花が咲き乱れる中、僅かな楕円の空間に架かる趣のある橋。作者がこのスチエーションに遭遇、束の間の時間の中で瞬時に橋上の二組の配置に注視し、且つ画面右の灯明を遠慮気味に配されたことが構図に生かされております。この場の空気感すべてをこの画面に凝縮されたことに、素晴らしいの一言です。見る者をも酔わせる作品となりました。
青空の下、穏やかに流れる白川の川側に緑輝く柳が“ぐっと”画面を引き締めています。右に祭礼巡行列、左行者橋の架かる白川の流れ、若さ溢れるカップル、この場所に早くから寛いでいた最中に、折好く粟田神社の巡行列が側に来て「ラッキー」と携帯で記録。この時の作者のカメラ目線は非常に鋭く、行者橋上の人の有無とカップルのこの動きを注視しながらのシャッター。タイトルは実のところ作者自身がおもわず発した「ヨッシャー!ラッキー」なのかも。派手な動きはないですが動感のあるすばらしい写真です。
雲ひとつ無い澄んだ青空に、山懐の木々の枝葉の緑と散り初めの桜、その枝間から垣間見える紅葉の芽吹きは春本番です。お二人はきっと、鶯の谷渡りの囀りのBGMにじっと耳を傾けて居られるでしょう。作者のコメントに「ゆっくりと時間が流れるそのような光景」と有り、まさにぴったりです。東屋の青い屋根、さりげなく見える雪見燈籠、女性の目線の先には緑豊かな五葉松、男性の目線はちょっと先の下草の緑。彩すべてが非常に綺麗な配色で構成されています。そしてもう一色、小鳥の囀る音色?も見えて来ます。
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