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審査委員長 横山 健蔵(京都写真家協会会長)
写真講評 小幡 豊(京都写真家協会理事長)
平成17年度都市緑化月間行事の一環として、本年も「京都まちとみどり写真コンクール」が開催されました。
募集主題は、「まちの水と緑」、「まちの緑と公園」、「身近な花や緑」、「緑とのふれあい」で、今回は特に「すまいと緑」もテーマとして募集しました。
また、特別賞(福知山市長賞)は福知山市内の写真を対象としました。
応募作品数は379点で、26歳から91歳まで幅広い年齢層から155名の応募がありました写真の講評をいたします。
入賞作品は、構図に安定感のある作品が選ばれており、レベルの高さが感じられました。
人々の語らいや和みが見事に一枚の作品に定着されており、緑豊かな生活環境が安らぎと温もりを醸し出す装置として役割を果たしています。カメラを操る撮影者の皆さんが、そこを見事に捉えており、その熱意が強く伝わりました。
白のヤマボウシを画面に大胆に取り入れ、語らいをさりげなく引き込んでいます。
色彩は他の作品と比較すると地味ですが、人と植物を愛して止まない作者の人柄が伺えます。
「都市の植栽は人の和みを包み込む」証といえる作品です。
二本の木はまるで一本の様相です。
背景の建築物を意識しながら引いて見る、近くで眺める。撮影を試みているであろう人は巨木に手を合わせているかのようにも見えますが、人が木に寄せる「素朴な想い」を瞬間的に掴んで対峙している作品です。
見事です。この色彩の美しさに撮影者は虜にされています。
この場所で必ず作品を創りたい一念が通じ、「緑」は赤く染まって咲き乱れ、撮影者の心はわくわくドキドキ、鼓動が伝わってくるような、テーマに相応しい作品です。
この作品は、印画紙の色調、フィルムの選択、撮影者の意図、出来栄えが明快に伺えます。
画面構成も、色の配置がよく出来ており、上手い作品です。
少なからぬ作品に印画紙の不出来が見られましたが、作品として提出される場合には紙焼きも重要なポイントになります。
特定の場所、被写体は人を引き寄せますが、花と緑を愛する心は植物の成長に合わせたかのようにシャッターチャンスを磨きます。「すまいと緑」のテーマに相応しい作品に仕上がっています。
肉眼で眺めた風景と、レンズを通してフレーミングした風景は異なります。
また、庭の光と室内の灯りは色合いも明るさも違います。
露出の差を見極めることは経験が必要ですが、室内を暗く落として庭の緑を引き立たせたところが、この作品のみどころです。
募集主題に合致した作品です。麗らかな春、桜の華やぎが情緒を深めます。
フレーミングもシャッターチャンスも手慣れた作品です。
人物の配置と光を上手に使い、立体感のある作品に仕上がっています。
子供たちが何やら探している雰囲気もよく分かり、夏の水と緑をうまく捉えた作品です。
涼しげな風と緑が昼下がりの公園を包み込んでいます。
都市における緑豊かな環境は、多くの人にとって語らいの場であり、安堵の場につながるということを思わせる、緑を大胆に取り入れた作品です。
まちの緑も様々です。
建築構造物に絡みつく緑、元の姿を一変させて安らかな気持ちを与えてくれます。
効果的に青空を取り入れ、色のコントラストを見事に切り取った作品です。
自然と人の営みが共生した風景は、新たな景観を創り出します。
京の奥座敷、流れる時間は瞬間的に止まるようです。宴の前の静けさが伺える作品です。
水を覆うスイレン、色合いの深さ。木造の渡りは存在感を醸し出し、絵画のようです。
新しくできた北山杉のベンチは親子を包み込み、絵本の世界に引き込ませてくれるには充分な装置です。歩いて掴んだベストショット。
大胆な構図です。麗らかな春、桜の満開を満喫する人々の声が聞こえてきます。
市民に愛される福知山城。彩りを添え、風格も切り取れました。
手前に黄色のぼかしを入れるなど、単調になりがちな風景に変化をつけました。
風にそよぐ春の香りと、急ぎ行く人の生活を表現できています。
府民の皆さんの参加と協力で、都市の緑化事業が推進されていますが、写真愛好家の皆さんの作品は、その実態をつぶさに見つめていました。
人とまちの緑の空間は写真家の舞台であるかもしれません。
緑豊かな生活空間を、写真愛好家の眼で一層美しく表現していただきたいと思います。
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