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審査委員長 木村 尚達(京都写真家協会会長)
カメラの普及はパソコンの普及と比例してデジタル化し益々身近なものになりつつあります。当コンクールにおいてもデジタルの占める割合が年々増えつつあるのは事実であり、フィルムカメラの良さを知りつつデジタルの利点に傾かざるを得ないのが現実であります。
そのような現状の中で求められるのは、最終処理までの技術の向上と「目」を養うことであります。今回も「不自然な色調」が際立った作品が多々見受けられました。今後、引き続き研鑽をお願いいたします。
作品の傾向としては、人物を配した暖かい雰囲気の作品が多いようで、それを決して否定するものではありませんが、いわゆるしっかりした「風景写真」での応募も今後期待するところであります。
柔らかな初夏の日差しの中、休日を公園で過ごす若い家族の幸せそうな雰囲気が漂う大変優れた作品です。緑と水の恵み、そして太陽の光、そんな環境の中で、家族の健康と子供たちの健やかな成長を願う気持ちは誰しも共感するところでしょう。半逆光で撮影された為、緑のコントラストが季節感と立体感を強調して良い効果をもたらしています。人物の配置と空間のとりかたもゆったりした時間を感じさせてくれます。
植物園での野外学習のひとこまでしょう。逆光の効果を活かされた大変写真的に技巧を要する作品です。緑と日差しの中に元気な子供の動きと水しぶきをハイスピードなシャッターでとらえた的確なカメラワークは見事なものです。右をわずかにカットすればさらに良くなったでしょう。
みずみずしい新緑の季節、美しく整備された公園施設の中での家族の風景が見事にあらわされた作品です。孫を気遣うお爺さんのポーズ、幼い子供に注がれているやさしい視線が平和な家族の絆を感じさせます。人物の位置、水面の分量、池の鯉まで良い作品を引き立てています。作品左を少しカットすれば人物がもっと強調されたでしょう。
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