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近年、家庭をめぐっては、児童虐待、DV(ドメスティック・バイオレンス)、少年非行、ひきこもり、いじめ、不登校、高齢者虐待など様々な問題が発生している。
これらは、核家族化や都市化の進行の中で、家庭や地域における人間関係の希薄化や個人の価値観の多様化など様々な要因が複雑に絡み合い、複合的に生じていることが多い。
これら家庭内の諸問題に対しては、相談機関や民間支援団体などが相談や解決に向けて支援を行っているが、相談内容の複雑・深刻化により、緊急かつより高度な専門的対応が求められるケースも増加している。
こうしたことから、平成17年4月に児童福祉法が改正され、児童家庭相談における市町村の役割を明確にするとともに、都道府県の役割を困難事例への対応や市町村の支援に重点化するなど、身近な地域における児童家庭相談体制の充実を図ることとされたところである。
さらに、障害児者に係る相談・支援は、市町村や障害者生活支援センター等において行われているが、専門的支援が必要な困難ケースの対応など市町村への支援強化や障害児者の一貫した支援を行うため、相談判定業務の体制整備が求められている。
本懇話会は、これらの認識を念頭におきつつ、現状と課題の分析を行い、家庭を中心とした総合的な相談支援体制のあり方に関する京都府の果たすべき役割について、6回にわたって検討を重ね、府民の皆様の貴重な御意見もいただきながら、この度、最終報告として取りまとめるに至った。
京都府においては、家庭を取り巻く諸課題に的確かつ迅速に対応できるよう、最終報告の趣旨 を踏まえ、相談者のプライバシーに十分な配慮のもと市町村、民間団体等と連携・協働して、家庭問題に関する相談・解決に向けた取組みを一層充実・強化し、これからの時代にふさわしい相 談体制の再構築に取り組まれることを望むものである。
平成17年12月28日
家庭支援援・相談体制の在り方検討懇話会 | |
---|---|
代表 | 津崎 哲郎 |
代表 | 西川 満 |
代表 | 山本 智也 |
委員 | 稲垣 緑 |
久世 富美子 | |
塩尻 知己 | |
薗田 日出雄 | |
中川 朋子 | |
西野 美穂 | |
沼津 雅子 | |
橋本 政道 |
専門相談機関 | 主な機能 | 設置根拠 |
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児童相談所(3カ所) 宇治(宇治市) 京都(上京区) 福知山(福知山市) |
児童(18歳未満)に係る 虐待、養護、障害、非行、不登校等の相談、一時保護、市町村支援等 |
児童福祉法 (必置義務) |
身体障害者更生相談所 (城陽市) |
身体障害者(18歳以上)に係る 相談、補装具交付のための処方、医学的判定、市町村支援等 |
身体障害者福祉法 |
知的障害者更生相談所 (上京区) |
知的障害者(18歳以上)に係る 相談、医学的判定、療育手帳の判定、市町村支援等 |
知的障害者福祉法 |
婦人相談所 (上京区) |
要保護女子に係る 相談、一時保護、自立支援等 |
売春防止法 |
配偶者暴力相談支援センター (上京区) |
DV被害者に係る 相談、一時保護、自立援助等 |
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律 |
吉田母子寮 (左京区) |
要保護女子及びその子の一時保護及び自立支援 | 児童福祉法 |
精神保健福祉総合センター (伏見区) |
精神保健・障害に係る 相談、精神通院医療、手帳交付等 ひきこもりに係る専門相談 |
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律 |
女性総合センター (南区) |
女性が抱える問題全般に係る チャレンジ支援、情報提供、交流支援 DVに係る相談、啓発、支援等 |
男女共同参画推進条例 |
[教育委員会所管]総合教育センター (伏見区) |
子どものいじめ、性格行動、不登校等発達、教育に係る相談 | |
[警察本部所管]少年サポートセンター (上京区) |
性犯罪、暴力行為、薬物乱用、家庭内暴力、児童虐待、い じめ、不登校の相談等(20歳未満の者と保護者対象) | 国家公安委員会規則 警察法施行令等 |
行政の相談機関相互の連携強化
NPOなどの民間支援団体と行政相談機関との連携・協働 を推進
身近な地域でのネットワークづくり
真に支援が必要な家庭への相談支援の充実
現状と課題
相談機関の機能を統合し、総合的・専門的な相談体制の充実・強化
現状と課題
専門機関との連携の確保
困難事例に対処できる専門家集団の配置
DV、ひきこもり相談等の専門性の強化
現状と課題
府の相談機関における専門性の強化
あらゆる相談機関における相談員の資質の向上
一時保護機能の充実強化
民間支援団体との連携強化
一時保護所の保安体制の確保
参考1:家庭支援・相談体制の在り方検討懇話会 委員名簿(五十音順)
氏名 | 所属団体・役職等 | 備考 | |
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学識経験者 | 津崎 哲郎 | 花園大学教授 | 児童関係 |
西川 満 | 児童養護施設「京都大和の家」施設長 | 児童心理・障害関係 | |
山本 智也 | 京都ノートルダム女子大学人間文化学部助教授 | 家族問題関係 | |
相談機関等関係者 | 稲垣 緑 | NPO法人 京都オレンジの会理事長 | ひきこもり関係 |
久世 富美子 | 日吉町社会福祉協議会 介護保険事業部長 | 高齢者問題関係 | |
塩尻 知己 | 府PTA協議会副会長 | 当事者・府民代表 | |
薗田 日出雄 | 舞鶴市保健福祉部・教育委員会 社会教育部次長 | 福祉全般関係 | |
中川 朋子 | 弁護士(両性の平等に関する委員会委員) | DV問題関係 | |
西野 美穂 | 乙訓障害者地域生活支援センター「キャンバス」コーディネーター | 障害・高齢関係 | |
沼津 雅子 | 知的障害者更生施設「みずのき」施設長 | 障害関係 | |
橋本 政道 | 長岡京市立長岡中学校長 | 不登校関係 |
懇話会の代表は、学識経験者とする。(3名)
参考2:家庭支援・相談体制の在り方検討懇話会 開催状況
第1回
日時 平成17年6月23日(木曜日)午後5時30分~8時00分
場所 ザ・パレスサイドホテル 2階会議室レガート
出席委員 久世、塩尻、薗田、津崎、中川、西川、沼津、橋本、山田、山本
議事
第2回
日時 平成17年7月12日(火曜日)午後4時30分~7時10分
場所 ザ・パレスサイドホテル 2階会議室モデラート
出席委員 稲垣、久世、薗田、津崎、中川、西川、西野、沼津、橋本、山本
議事
第3回
日時 平成17年7月29日(金曜日)午後5時00分~7時25分
場所 ザ・パレスサイドホテル 2階会議室モデラート
出席委員 久世、塩尻、薗田、中川、西川、西野、沼津、山本
議事
第4回
日時 平成17年8月9日(火曜日)午後5時00分~7時30分
場所 ザ・パレスサイドホテル 2階会議室モデラート
出席委員 稲垣、塩尻、薗田、津崎、中川、西川、西野、沼津、山本
議事 家庭支援・相談体制の在り方に係る中間案について(意見交換)
第5回
日時 平成17年9月7日(水曜日)午後2時00分~4時30分
場所 ザ・パレスサイドホテル 2階会議室モデラート
出席委員 稲垣、久世、塩尻、薗田、津崎、中川、西野、沼津、橋本、山本
議事 家庭支援・相談体制の在り方に係る中間案について(意見交換)
第6回
日時 平成17年12月16日(金曜日)午前10時00分~11時30分
場所 ザ・パレスサイドホテル 2階会議室モデラート
出席委員 稲垣、塩尻、薗田、中川、西川、西野、沼津、橋本、山本
議事 家庭支援・相談体制の在り方に係る最終案について(意見交換)
出席委員:敬称略・五十音順
参考3:京都府の専門相談機関の概要
1 児童相談所
市町村と適切な役割分担・連携を図りつつ、子どもに関する家庭その他からの相談に応じ、子どもが有する問題又は子どもの真のニーズ、子どもの置かれた環境の状況等を的確に捉え、個々の子どもや家庭に最も効果的な援助を行い、もって子どもの福祉を図るとともに、その権利を擁護することを主たる目的とした行政機関。
人口50万人に最低1箇所を目安に都道府県(政令指定都市を含む)に設置義務があり、京都府では所管地域を南部・中部・北部に分け、宇治・京都・福知山児童相談所の3所で、京都市を除く府域全体を所管。
主な業務内容
ア 相談(専門的な調査・診断・判定(総合診断)、援助指針の策定等)
イ 一時保護(子どもを家庭から離して一時保護)
ウ 措置(児童福祉司等による指導、児童福祉施設等への入所、里親委託等)
エ 市町村援助(市町村相互間の連絡調整、情報提供等)
2 身体障害者更生相談所
身体障害者福祉法の規定に基づき、身体障害者の更生援護の利便及び市町村援護の適切な実施の支援のために設置された行政機関であり、京都市域を除く府内全域を所管。
主な業務内容
ア 補装具交付に係る処方、適合判定等
イ 更生医療に係る判定
ウ 相談業務(身体障害者更生援護施設の利用、養護学校卒業後の進路、補装具の利用等身体障害に係る全般的相談)
エ 市町村等支援業務(市町村・障害者生活支援センター・施設職員への研修等)
オ 地域リハビリテーションの推進
3 知的障害者更生相談所
知的障害者福祉法の規定に基づき、18歳以上の知的障害者に関する専門的な知識及び技術を必要とする相談・指導を行い、 市町村が行う更生援護の適切な実施の支援のために設置された行政機関であり、京都市域を除く府内全域を所管。
主な業務内容
ア 障害者の相談支援と指導(個別支援・施設利用・養護学校卒業後の進路等の相談)
イ 医学的・心理学的判定及び社会診断(療育手帳判定)
ウ 施設利用に係る市町村相互間の連絡調整等
エ 専門技術的援助及び指導等
オ 市町村職員・施設職員・生活支援センター職員等への研修の実施と情報提供
カ 地域生活支援の推進、地域支援ネットワークへの援助
4 婦人相談所
売春防止法の規定に基づいて設置された行政機関であり、京都市内に一時保護所及び婦人保護施設を併設し、京都市域を含む府内全域を所管。
主な業務内容
ア 相談及び指導・援助(要保護女子の相談、指導・援助)
イ 一時保護及び自立援助(入所保護、婦人保護施設等による自立支援)
ウ 啓発活動(リーフレット等の作成、研修会、講習会等)
エ 調査及び判定(実状把握のための調査、援助の一環としての医学的・心理学的判定)
5 配偶者暴力相談支援センター
平成14年4月1日からの「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」の全面施行に伴い設置。
主な業務内容
ア DV被害者からの相談、情報提供、カウンセリング
イ 一時保護及び自立に向けた援助等の実施
ウ 保護命令制度の利用についての情報提供
6 吉田母子寮
児童福祉法の規定に基づき、配偶者のいない女子又はこれに準じる女子及びその者の監護すべき児童を入所保護し、社会的自立に向けた支援を行うための施設。
主な業務内容
ア 母子相談(離婚問題、借金、児童の進路等の相談)
イ 養育支援(沐浴、授乳、離乳食等子育ての助言・援助)
ウ 児童健全育成(児童の日常生活支援、自立訓練、学習指導)
エ 就労支援(経済的自立に向けた支援)
オ 緊急一時保護(暴力等により緊急に保護する必要のある母子・婦人の一時保護)
7 精神保健福祉総合センター
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定に基づき、精神保健の向上及び精神障害者の福祉の増進を図ることを目的として設置された行政機関であり、京都市域を除く府内全域を所管。
主な業務内容
ア 精神保健及び精神障害者福祉に関する知識の普及及び調査研究
イ 精神保健及び精神障害者福祉に関する相談及び指導
ウ 精神医療審査会に関する業務
エ 精神科通院医療に関する業務
オ 精神障害者手帳に関する業務
カ 精神障害者デイ・ケアによる生活指導・作業指導
キ ひきこもり専門相談
8 女性総合センター
「京都府男女共同参画推進条例」に基づき、男女共同参画社会の実現に向けた取組みを推進するための拠点施設として設置。
主な業務内容
ア チャレンジ支援(チャレンジオフィスの設置、チャレンジ相談の実施等)
イ 情報提供(図書、行政資料、情報誌等の閲覧・貸出、ホームページの開設)
ウ 学習研修(「KYOのあけぼの大学」の開催、共催による講座等の開催)
エ DV対策(啓発講座の開催、グループワーク・カウンセリングの開催)
オ 交流支援(団体・グループ等の自主的活動の支援)
9 総合教育センター
京都府総合教育センター条例」に基づき設置。京都府教育委員会の「『京の子ども、夢未来』プラン21-京都府の教育改革」及び「指導の重点」を踏まえ各事業を実施。
主な業務内容
ア 教育研究事業(社会の変化に対応した教育内容・方法等の研究)
イ 教職員研修事業(教職員の資質・能力の向上を目指す研修)
ウ 教育相談事業(子どもの成長や発達に関する援助・助言)
エ 教育情報収集・活用(研究・研修の基礎となる教育情報の整備・データベース構築)
10 少年サポートセンター
専門的な知識及び技能を必要とし、又は継続的に実施することを要する少年警察活動について中心的な役割を果たす機関として設置。
主な業務内容
ア 少年相談(少年相談専門職員や少年補導職員等による相談)
イ 被害少年支援活動(助言、カウンセリング、一時保護施設等への入所措置)
ウ 街頭補導活動(不良行為少年等の早期発見、早期措置)
エ 立ち直り支援活動(環境美化・社会福祉・スポーツ・社会奉仕活動等への参加)
オ 情報発信と広報啓発活動
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