選定理由 |
ジュラ紀古世の放散虫を含み、宇治川の名石として知られているもので保存される必要がある。 |
分布 |
亀石、亀岩、亀山石、亀甲岩等と呼ばれるものがあるが、石灰岩を除いて堆積岩でこのように呼ばれるものは多くない。酸性凝灰岩は西山の出灰(本田・丹波地帯研究グループ、1991)や北山の持越峠(井本ほか、1989)などに認められる。 |
特徴(特異性) |
酸性凝灰岩の層状に重なる部分が、亀の甲羅干しに似ていることから、伝承になったものと考えられる。堆積岩で岩質や年代の明らかになった亀のつく岩石は、千葉県鴨川市海浜の亀岩、和歌山県北山川の瀞峡の亀岩があるが、亀石自体から化石を産出するものは全国的に珍しいものである。この地域を代表する酸性凝灰岩(楠、2001)からなり、ジュラ紀古世前期を代表する放散虫化石群集( Parahsuum simplum群集)を産出し、丹波帯のII型地層群の周山ユニットの泥岩層に対比可能なことを示している。宇治地域のII型地層群のユニット区分に重要な岩相と化石の根拠を示す露頭であると同時に、文化的な面も備えている重要な露頭である。 |
現状 |
宇治川の河床の水面付近で浸食されている。説明の書かれたプレートが設けられ、伝承が書かれている。 |
保存に対する脅威 |
文化的・学術的に貴重な遺産が川の浸食にさらされている上、採集禁止とも立て札に書かれていない。 |
必要な保全対策 |
河床であるため保全は困難であるが、採集・破壊禁止であることを明記する必要がある。 |