選定理由 |
観光地で、伝承のある岩として意義があるとともに砂岩の熱変成岩ホルンフェルスとしても貴重である。 |
分布 |
砂岩ホルンフェルスは、砂岩が花崗岩体などの深成岩に貫入されているところに見られる。したがって全国各地に分布する。宇治田原町など領家帯付近の花崗岩体が分布する周辺部、亀岡市北部の花崗岩体の存在が推定されている地域、京都市左京区では花脊の花脊花崗閃緑岩体周辺などにみられる。 |
特徴(特異性) |
原岩は丹波層群の砂岩が比叡花崗岩の貫入による熱変成作用を受けたものである。原岩は丹波層群のうちI型地層群の砂岩(木村他、1998)で、石英にとむ長石質砂岩である。ここではホルンフェルスとして堅く緻密になった岩石が風化浸食作用に耐えて、比叡山の山頂部と大文字山の山頂部をつくり出していることに特徴がある。 |
現状 |
四明岳公園内にあり、立て札によって伝承が説明されている。保護の重要性地形発達の上から、比叡山、大文字山の高まりと両者の間にある比叡花崗岩の風化による比叡平の地形的な低下を説明できるものとして重要である。また比叡山山頂の砂岩ホルンフェルスの孤立岩体は「将門岩」と名づけられており、平将門の京都侵入の故事にちなんだ伝承を持っている点でも保存の価値がある。 |
保存に対する脅威 |
山頂公園当局の保全の意図があれば脅威はない。 |
必要な保全対策 |
山頂公園の乱開発を避け、自然現象の遺物、文化的伝承遺物として保全することが必要である。 |