選定理由 |
深海底に堆積したタービダイトであり、古流向を示すフルートマークは砕屑物の供給地の推定に重要である。 |
分布 |
タービダイト層の存在する日本各地に存在する。礫岩は美濃帯の中古世界には多いが、丹波帯では少ない。タービダイトに見られる層裏痕は丹波帯では福井県遠敷郡名田庄村染ヶ谷林道などに典型的なものが見られるが、京都府内では少ない。 |
特徴(特異性) |
本地域のタービダイト層は層厚10cmから2mまでのもので、基質の少ないアルコース質砂岩で構成される(楠・武蔵野、1989)。砂岩層の下底には南南西ないし南南東からの古流向を示すフルートマークが発達する(武蔵野・中村、1976)。厚い砂岩の下底では荷重がかかりgreat bulbous flute markとなっている。また厚い砂岩の下底付近が粗粒の礫岩となっている。この礫岩は酸性火成岩・火山岩、変成岩などの礫を含み、後背地の推定に貴重な材料を与えるものとなっている。また、砂岩および礫岩の粒子組成は、ジュラ紀における中・朝古陸東縁における地質を反映したものであり、またフルートマークはそれら粒子の供給方向を示している。これらは丹波帯の構造発達史考察の上で貴重な資料である。 |
現状 |
露頭は雲ヶ畑川の栗夜叉谷入り口から約1kmの採石場跡であり、現在は放置されたままとなっている。ほぼ垂直の崖となっている部分が有り、崩落の危険がある。 |
保存に対する脅威 |
旧採石場は放置されたままとなっているため、露頭の崩落、埋没の可能性が高い。また露頭観察を行うには危険な状況にある。 |
必要な保全対策 |
礫岩部分およびフルートマークの部分を採集し、保存するとともに、タービダイトの典型的な露頭部分を崩落、埋没を受けないように、保護しておく必要がある。 |