選定理由 |
典型的な層状チャートの褶曲として貴重である。またこの露頭は市街地からも近く、観察学習の適地となっている。 |
分布 |
層状チャートの分布する各地に見出される。層状チャートが広く露出する露頭では、褶曲構造が観察されることが多い。三和町猪鼻、京都市右京区保津峡、京都市左京区八丁など多くの地点にある。 |
特徴(特異性) |
層状チャートは多くのものが褶曲構造を示す。時には上下関係も数mごとに繰り返すほど密にタイトな褶曲を示すことがある。京見坂のチャートは赤褐色を呈し、数cmで極めて整然とした層理を示す。このようなチャートは三畳紀〜ジュラ紀のもので、美濃帯では鵜沼地域に見られる、チャート−砂岩相のものに類似する。京都市内からのアプローチも短く、観察に大変便利である。海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込むとき、チャートなどの遠洋性堆積物は繰り返した覆瓦構造を作りながら大陸へと付加する。層状チャートに見られる繰り返しの著しい褶曲構造は、こうした構造運動の反映である。 |
現状 |
京都市北区鷹ヶ峯から京見峠に至る曲がりくねった上り坂の側壁に連続して露出している。道の大きなカーブにあるため、崩壊防止のため金網による擁壁工事がされているが、褶曲構造はよく観察できる。 |
保存に対する脅威 |
京見坂は国道162号線の間道となっており、比較的交通量も多い、今後道路の拡幅や整備に伴って、道路側壁の保護、被覆工事が行われる可能性が高い。 |
必要な保全対策 |
カーブは広くとってあり、現状ではコンクリート吹きつけなどの工事は不必要である。現状のまま、観察のしやすい露頭として保存すべきである。 |