選定理由 |
明治時代より知られる化石産地であり、丹波帯の石灰岩の年代を示すものとして重要である。 |
分布 |
京都市〜鞍馬・貴船地域、灰方、京北町〜芦見谷、周山西方、井戸南東、美山町〜安掛、瑞穂町〜質志、園部町〜観音峠、熊崎、宇治田原町〜鷲峰山付近、夜久野町額田〜かしわ谷、大江町〜広畑桂谷、公庄西ノ谷など。 |
特徴(特異性) |
明治20年頃から知られている化石の産地で、Pseudofusulina cf. santyuensis、P.vulgaris、P. sp.のフズリナや、Heritschioides ozakii、H.? sp. indet.、Stylidophyllum quadaratumの珊瑚化石が報告されている(坂口・山際、1958;Sakaguchi、1963;坂口、1965)。古くからの化石産地であるが、訪れる人は全くいない状況である。レンズ状に産出する石灰岩体はそれほど大きなものではないと考えられる。本地点の転石には西山地域の石灰岩では見られないくらい保存良好で多数の大きなフズリナが密集しており、露頭並びに周辺地域の保護が必要である。 |
現状 |
亀岡から国道423号線を大阪方面へ南へ抜ける道の途上に西別院町がある。西別院町から能勢町や豊能町へは自動車で2〜3分の位置にある。国道423号線の犬甘野口を府道32号(亀岡能勢線)を西へ約2Km進むと犬甘野である。約70年前まで石灰を焼いていたが、現在では転石と小さな採石場が谷の斜面に残っているだけである。そのことを知っている地元の人も村で2〜3人のみとなっており、戦後の地質図にも正確にその位置を記載されておらず、このまま放置しておくと10年後にはわからなくなると推定される。犬甘野では、道路工事がいたるところで行われており、1/25000地形図においても道路の状況が刻々と変わっている。地元の人によると、住宅や工場の施設が建てられては倒産してなくなる状況であるそうだ。開発は進むが村自体はお年寄りばかりで、山地の内部はブッシュが多く荒れ果てている。 |
保存に対する脅威 |
採集が自由のままであると、標本業者や化石マニアなどが来て直ぐに取り尽くされてしまう可能性がある。また、大都市近郊であるため大規模な開発には注意を要する。 |
必要な保全対策 |
調査による採取位置を公開せず、できる限り現状保存が望まれる。 |