選定理由 |
典型的な層序、化石を示すもので貴重であるが、林道沿いにあり保全が必要。 |
分布 |
内帯では丹波-美濃-足尾帯のジュラ紀付加体とその相当層分布地域、外帯では秩父累帯南帯および東北地方の安家-田野畑帯、北海道渡島帯の各地域から報告されている。美山町田歌地域、京北町八丁地域、亀岡市保津峡地域などのI型地層群分布域で報告されている。 |
特徴(特異性) |
淡緑色から暗黒色を呈するほぼ均質な珪質シルト岩〜頁岩からなる。珪質シルト岩は塊状であるが、頁岩は劈開が発達し剥離性に富むことがある。顕微鏡下の観察では、灰緑色珪質頁岩には放散虫化石が多数含まれている。一般に、体積モードで十数パーセントの放散虫化石、数パーセントの砕屑粒子を含んでいる(丹波地帯研究グループ、1990)。飛騨金山の馬瀬川で見いだされたMirifusus baileyi群集とされたものと共通種が含まれている(田辺利幸・丹波地帯研究グループ、1982)。さらに、上位にはジュラ紀新世後期を示すLoopus primitivusを含む砂岩頁岩互層が重なり、I型地層群上部の模式的層序が認められる(丹波地帯研究グループ、1990)。府内産地の産状、特徴、層序関係が類似しており、地質図上で良く連続し層序関係や堆積関係が確認できる露頭は五波谷以外にはなく、模式地としての条件を備えた学術的に重要な露頭である。模式地として、あるいは保存良好な化石多産地点として保護する必要がある。 |
現状 |
舗装されていない幅の広い林道の切り割り露頭で、福井県側の名田庄村染ケ谷に抜ける道路脇にある。 |
保存に対する脅威 |
無舗装の広い林道で、交通量も多く事故の危険性や土砂崩れの危険がある故、道路改良工事の対象となりやすい。 |
必要な保全対策 |
林道が地層の走向を切っているため、露頭としては塊状で崩れにくく周辺工事においては網をかける程度で、採集禁止の立て札等を施すべきである。 |