選定理由 |
岩脈を構成する角閃石ひん岩は化学組成から高マグネシア安山岩に分類される。また、角閃石かんらん岩をゼノリスとして含む岩脈の産状は珍しく、火成岩体の形成過程を解明するうえで貴重な露頭である。 |
分布 |
国内では本地域と同様な白亜紀の高マグネシア安山岩質の岩脈は少量ながら岐阜県内の美濃帯から知られている。府内では丹波帯の堆積岩類を明瞭に貫く東西性の類似岩脈が各所にみられる。角閃石かんらん岩ゼノリスを含む岩脈の例は国内では本地域だけである。 |
特徴(特異性) |
角閃石ひん岩は丹波帯I型地層群に属するジュラ紀新世と考えられる頁岩を貫き、母岩と接する部分には10cm以下の急冷周縁相を形成している。褐色角閃石と斜長石を主要構成鉱物とする。自形の角閃石を多量に含むが、斑晶と石基の区別が明瞭でない完晶質の岩石である。全岩化学組成は安山岩質でありながら、マグネシウムに富んだ(SiO2、53%、MgO、9.09%)、未分化な性質を示す。角閃石かんらん岩は岩脈の露頭下部にみられる。かんらん石とその間隙を埋める褐色角閃石を主要構成鉱物とする。他に単斜輝石、金雲母、クロム鉄鉱、トレモライト─アクチノライト系列の角閃石、磁硫鉄鉱を含む。斜長石を含まず、角閃石が完全にかんらん石を包含する関係になってはいないので、領家帯や阿武隈にみられるコートランド岩とは異なった岩型である。かんらん石には自形〜半自形(最大6mm)を示すものの他、2ないし3個の結晶が集合して変形したと思われる外形を示すものもみられる。全体に蛇紋石化が著しい。褐色角閃石はかんらん石の結晶のまわりに他形〜半自形のいくつかの結晶として発達する。単斜輝石は自形〜半自形の結晶の集合体として産し、褐色角閃石に包有されることが多い。かんらん石はマグネシウムに富んでおり(苦土かんらん石)、角閃石はパーガス閃石質である。輝石はクロム透輝石といえるものがしばしば含まれる。角閃石かんらん岩は地下深部からもたらされた同源捕獲岩であると考えられるが、その上昇機構は不明である。角閃石ひん岩の角閃石K-Ar年代としては108±5Maの値が報告されていることから、本岩脈は白亜紀前期の火成活動の産物であると考えられる。(貴治、1987);(木村・貴治、1993)
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現状 |
大広谷の林道の崖と林道に沿った川の河床に露頭が認められる。角閃石かんらん岩の捕獲岩は河床のみで観察される。 |
保存に対する脅威 |
急流であるため、侵食や崩壊によって露頭の形態が変化する可能性がある。また、林道の拡張や整備によって、露頭が破壊されたり、人工物で被覆される可能性もある。 |
必要な保全対策 |
露頭を保護しながら、道路を整備する必要がある。また、角閃石ひん岩岩脈の延びの方向に沿って、岩体の追跡調査を行なうことも重要である。 |