選定理由 |
夜久野層群のよく知られた化石産地で、保存良好な化石を多産するが、破壊が著しく、保存する必要がある。 |
分布 |
三畳紀中世の化石は南部北上山地、関東山地、四国の秩父帯などに分布し、アンモナイトの化石も報告されている。夜久野層群分布域、大江町河西、河東地域から報告されている。 |
特徴(特異性) |
夜久野層群上部層は夜久野地域ではわるいし層と呼ばれ泥質頁岩、シルト質頁岩を主体とし、細粒砂岩を挟んでいる(中沢他、1957)。わるいし層上部には化石を多産する層準があり、Danubites kogai、Hollandites yakunoensis、H. Toriiなどのアンモナイトや直角貝、腕足類、小型二枚貝が含まれている。南部北上山地の稲井層群のアンモナイトとは共通種が少ない。これらの化石はアニシアン前期を示している。 |
現状 |
谷の中の林道沿いの露頭であるが、化石マニアによって乱獲され破壊が著しい。道を越えて小川にも破砕された転石が散乱している。 |
保存に対する脅威 |
放置するとマニアによる意図的な露頭破壊が進む可能性がある。 |
必要な保全対策 |
現在は町によって化石採集が禁止されている。これを遵守して破壊を防ぐとともに、優れた化石の展示や地質の説明によって、郷土の地球史の普及に努める必要がある。 |
特記事項 |
夜久野層群の化石の一部は田倉山の夜久野荘、夜久野資料館に展示されている。上記したように、立派な化石資料であり地質の説明も加えて見学者により深く理解してもらうことが重要である。 |