選定理由 |
ペルム系舞鶴層群は礫岩・砂岩・泥岩などの浅海性砕屑岩と石灰岩からなるが、このうち礫岩は、後背地の推定にも重要な岩相である。本礫岩は極めて多様な礫種構成からなり、特異なものである。 |
分布 |
岩手県の北上山地南部のペルム系にも多源礫岩があり、薄衣礫岩と呼ばれている。これは酸性火成岩を多く含むことに特徴がある。舞鶴層群分布域の舞鶴市、綾部市、夜久野町などにも礫岩は分布するが、本地域のものは厚く粗粒で礫種構成も明瞭に識別できる。 |
特徴(特異性) |
落合の礫岩層は層厚120mと厚いが急激に砂岩・泥岩に移化する。礫岩は淘汰が悪く、亜角礫が多い。礫種はチャート、砂岩、粘板岩、石灰岩が多く、安山岩、ひん岩、石英斑岩、花崗岩質岩も普遍的に含まれる。他にスピライト、閃緑岩なども含まれている(中沢・野上、1958)。蓼原の露頭では石灰岩礫が多く含まれ、この石灰岩にはNeoschwagerina margaritae、 Pseudodoliolina sp.、Fusulinella sp.、Siphonodendron nakazawai、Waagenophyllum sp.など石炭紀、ペルム紀のフズリナや珊瑚を含んでいる。花崗岩質岩は半深成岩〜浅成花崗岩が卓越しており、花崗岩質岩〜斑岩〜流紋岩複合岩体が供給地に存在する事が推定されている(加納他、1961)。礫岩は後背地の推定や、年代の決定に重要であり、本地域のように典型的な露頭は保護しておく必要がある。 |
現状 |
蓼原の露頭は国道沿いの畑脇の小農道に露頭があり、上からの崩れで露頭が一部埋まっている。落合の露頭は集落内の道路脇の崖であり、草などで覆われているが放置された状態である。 |
保存に対する脅威 |
蓼原の露頭うち国道沿いの部分、コンクリートで覆われてしまっている。畑脇の農道も覆われかねない。落合の露頭は集落内の生活道路なので、道路の整備とともに覆われてしまう可能性がある。 |
必要な保全対策 |
落合の場合は適切は崖の勾配を確保する事などによって、露頭すべてを覆うような工事は避けるべきである。 |