選定理由 |
府内唯一超塩基性岩体が見られる地域であり、さまざまな珍しい鉱物が産する。 |
分布 |
超塩基性岩体は日本の各地で見られる。最近の地球科学の知見ではマントルから直接由来した岩石であると考えられている。 |
特徴(特異性) |
舞鶴帯のすぐ北側に接して、大江山岩体、出石岩体、関宮岩体など大形の超塩基性岩体が東西方向に分布する。大江山岩体は東西約12km、南北約4kmの大きさをもつレンズ状の岩体で周囲は北側を宮津花崗岩に貫かれ、南側は中部ペルム系の下見谷層と断層で接する。岩体は主としてダンかんらん岩、斜方輝石かんらん岩および単斜輝石岩からなるが単斜輝石かんらん岩、変はんれい岩、優白岩などのテクトニックブロックもある。さらにダンかんらん岩中にははんれい岩や輝緑岩の岩脈が貫入している。岩体の北部には単斜輝石岩の東西に細長く延びた比較的大きな岩体があり、それに接して北側に角閃石岩、南側にウェールライトの小岩体を伴っている。岩体の北縁部には緑れん石角閃岩相の変成作用を受けた角閃岩があり、顕微鏡的な藍晶石、十字石が見いだされている。かんらん岩は岩体の中央部では変質しており、蛇紋石が主要構成鉱物になっている。また、北部では残晶鉱物の特徴からダナイト、レルゾライト、ハルツバージャイトなどが認められる(Kurokawa、1985)。 |
現状 |
大江山全体は観光地として整備された状態になりつつある。 |
保存に対する脅威 |
道路沿いの良好な露頭から、岩石や鉱物が取り尽くされるおそれがある。 |
必要な保全対策 |
岩体の地質学的、岩石学的意義を広く訴え、露頭を保護する努力が必要である。 |