選定理由 |
府内の漣痕としては最大規模のものであり、堆積時の環境、河川の流れ等を考察する上でも最適の教材となるものである。 |
分布 |
各地に砂岩層の上面に見られる漣痕が報告されている。徳島県宍喰町宍喰浦、高知県土佐清水市千尋岬、和歌山県西牟婁郡白浜の化石漣痕は天然記念物に指定されている。このほか対馬などにも規模の大きいものがある。小規模の漣痕は丹波帯や舞鶴帯の他の地域にも見られるが、大規模なものは本地域のみである。 |
特徴(特異性) |
志高層群の含礫砂岩層の上面に発達した漣痕である。漣痕はリップルマークと呼ばれ、河川や海域で水の流れが砂粒を底面に沿って移動させるときに底面にできる模様(形態)である。上野採石場の入り口付近に見られる漣痕は、傾斜60度ほどの砂岩層の上面にあり、20m平方以上の面積にわたって発達している。リップルは舌状で、波長20〜40cmで左上からの一方向流れによってできたものである。国指定の他県の天然記念物に匹敵する規模と形態を持っている。三畳紀の舞鶴帯の環境と発達史を解明するための貴重な資料である。 |
現状 |
岡田由里の国道沿いにある上野砕石の構内にあり、礫岩を含むために砕石として適さないため残されている。砕石運搬のトラックの通過道路が脇にあるが露頭が大きいため、破壊等の影響は受けていない。また砂岩は堅硬なものであるので今のところ風化の影響も少ない。 |
保存に対する脅威 |
砕石所の構内であるため、事業所の意向で撤去されたり改変されたりする可能性がある。 |
必要な保全対策 |
砕石所の理解を得ながら現状のまま保存することが望ましい。なお、砕石の進行に伴って、現露頭付近が必要で無くなれば、自治体が買い取るなどの対応をとり、舞鶴帯の化石や岩石を観察できるエコ・ミュージアムとして整備できれば、自然学習のフィールドとして観光の資源ともし得る。 |
特記事項 |
赤煉瓦倶楽部舞鶴のホームページでも紹介している。 |