選定理由 |
層状チャートから珪質頁岩そして黒色泥岩への移行関係を示す重要な露頭であり、また当時の大陸における酸性火成活動を示す点でも重要で、保全されるべき露頭である。 |
分布 |
半遠洋性堆積物としてのジュラ系赤色頁岩の記載は少ないが、美濃帯勝山地域の木曽川河床、西南日本外帯秩父累帯などに分布する。周山八千代橋付近は丹波層群のうちII型地層群TIIcユニットが分布する。TIIcユニットでは層状チャートから上位の珪質頁岩への移行時期がジュラ紀古世になっている。したがってジュラ紀古世の赤色頁岩が分布する地域はTIIcユニット分布域に限られる。三和町猪鼻などで見出される。 |
特徴(特異性) |
丹波層群II型地層群の場合、ジュラ紀古世の遠洋性、半遠洋性堆積物は酸化的で赤色ないし赤褐色を呈することが多い。本赤色頁岩は遠洋性堆積物であるチャートから、陸源砕屑物である泥岩、砂岩へ移行する中間的な堆積物(武蔵野、1993)で、プランクトンである放散虫遺骸をかなり含む泥岩である。通常の泥岩と比べて珪質である。またジュラ紀古世は中・朝古陸で酸性火成活動が活発化した時期であり。遠洋性・半遠洋性堆積物にも酸性凝灰岩質の砕屑物が含まれている。希土類元素のユーロピウム負異常が認められている(Musashino、1989)。本赤色頁岩では緑灰色珪質頁岩が頻繁に挟在するが、これは特に凝灰質である。 |
現状 |
国道162号線の総合庁舎前バス停付近の露頭で、かつて三畳系―ジュラ系チャートと赤色頁岩の露頭が道路沿いの崖に見られたが、道路拡幅に伴いコンクリートにより被覆されてしまった。この崖の北東側の道に沿って低い崖があり、そこに赤色珪質頁岩が分布する。層序的により上位と考えられる黒色泥岩とは、この崖の露頭中で断層により切られている。 |
保存に対する脅威 |
脇道の道路整備に伴い、露頭がコンクリート等によって被覆されてしまう可能性が高い。 |
必要な保全対策 |
脇道の露頭は崖の高さも低く、崩落による災害の危険性も低いところである。不必要な道路改修等を避け、露頭を保全しておく必要がある。 |