選定理由 |
後氷期の池沼堆積物について先駆的研究がなされた。 |
分布 |
巨椋池干拓地に広くあるとおもわれるが、その他の後背湿地域にもあると考えられる。 |
特徴(特異性) |
伏見区横大路で1967年に伏見下水処理場の建設工事が行なわれ、厚さ約10mの旧横大路沼の堆積物とその下位に最終氷期の河床礫層が観察された(石田他、1969)。主に黒色粘土と砂層であるが、多くの層準の流木の炭素14年代が測定され、深度7.5mにある火山灰はアカホヤ(Ah、6300年前)であるとわかった。深度4.7m付近の細砂と泥の細互層に木の葉がぎっしり挟まっていた。ほとんどがイチイガシの葉で、一部アラカシその他の葉や種子も産した。特にアラカシの葉の裏にコナジラミ科の昆虫の蛹殻が付着していたのは、化石では新発見である(石田・山川、1999)。 |
現状 |
伏見下水処理場沈砂池 |
保存に対する脅威 |
同様の堆積物は、横大路沼や巨椋池干拓地に広くあることが推定できるので、開発・掘削に当たっては、第四紀や堆積学、生物学的研究が行なわれることが望ましい。 |
特記事項 |
その他の後背湿地(例えば丹波山地の盆地の谷あい)は、地点によりその地域の環境を示すと考えられるので、できるだけ多くの地点で研究がなされることが望ましい。 |