選定理由 |
丹波帯の三畳紀二枚貝化石として重要であり、石灰岩体は道路の拡幅等によってほとんど消滅している。 |
特徴(特異性) |
ハロビアは三畳紀のカーニアンの年代を示す化石である。本露頭のハロビア含む石灰岩は、頁岩層に二次的に挟まれる形でレンズ状に見出されている。産出した化石は、Halobia sp. cf. talauana、H. sp. aff. Superbescens、 H. sp. aff. Sedaka、H.sp. aff. Disperseinsecta、H. sp. indet. などである。また、同石灰岩からカーニアンのコノドントも報告している(Nakazawa and Nogami、1967)。その後、多くの研究者が調査したが見いだされず、取り尽くされたものと思われたが、山田ほか(1977)によって再発見され、その後再発見地点のものも取り尽くされた。坂口(1958)が京都西山山地の地質と層序を調べて地質構造発達史を書いて以来、田能層に含められていたが、近辺から産出する放散虫化石やその岩相から、ハロビア石灰岩付近の地層は出灰層に帰属するとする見解(丹波地帯研究グループ、2001)もあり、化石を含めて付近の岩石露出ルートは露頭の帰属に関して重要である。とりわけハロビアは三畳紀後期を示す小さな二枚貝化石で、当時古生代とされていた丹波帯で、最初に発見された中生代の化石である。ハロビアは、チモールや中国南部で見いだされた二枚貝化石と共通することから、南方からもたらされ付加したとする根拠の一つになっている(Nakazawa、1992)。本地点は、かつて少ないながらも露頭から保存良好な中生代化石が産出する地点であったが、取り尽くされてしまった。今後このようなことがないように、再発見されたなら採集禁止し保護すべきである。 |
現状 |
ハロビアの含まれていた石灰岩は見い出せるが、ハロビアの密集した部分は既に取り尽くされている。ただし,ハロビアの密集した石灰岩はレンズ状に挟まれていたため、今後付近より見いだされる可能性がある。 |
保存に対する脅威 |
化石産出地点は多くの化石愛好家により化石の採集がなされ、なくなってしまっている。 |
必要な保全対策 |
道路工事などにより、新たな露頭が作られ、化石が再発見された時に備えて、化石の採集禁止等の立て札が必要である。 |