特徴(特異性) |
昭和49年の夏、舞鶴市笹部の舞鶴カントリークラブの造成工事で、黒色頁岩層から保存のよいビカリヤ化石が大量に産した(荒木、1977)。それには現在、奄美大島より南のマングローブ沼に生息するマングローブシジミ( Geloina)とキバウミニナ( Terebralia)(糸魚川・津田、1986)をともなっていた。中川・竹山(1985)、Ozawa et al.(1986)によれば、この地層は内浦層群下累層塩汲峠礫岩砂岩部層で、Vicarya japonica 300+, Vicaryella ishiiana42, Terebralia itoigawai8, Crassostrea gravitesta5, Geloina stachi5など14種を産した。そしてビカリヤの幼貝から成貝までの各成長段階の個体が産し、マングローブ沼泥底の現地性の群集であるという。ここのビカリヤ化石については、前記した2引用文献の図版に、舞鶴在住の荒木邦雄氏採集の見事な標本の写真が載っている。またカラー写真は「京都五億年の旅」、「新京都五億年の旅」、「京都の地学図鑑」などに載っている。1988年6月13日、荒木氏に現地を案内していただき、工事による包含層掘削のようすを推測した図を示す。 |