選定理由 |
第二次大戦後のごく短期間のみ貴重なエネルギー資源として採掘された。また炭層の
内外には保存の良い三畳紀の植物化石を産する。
|
分布 |
三畳紀の炭田は山口県の大嶺炭田が有名であり、一部で無煙炭が採掘されている。京都では第二次大戦後、エネルギー資源として本地域のほか、難波江層群中の石炭層が採掘されたが、すぐに停止されている。 |
特徴(特異性) |
志高層群の上部層は砂岩、泥岩を主とし礫岩を挟んでいる。この中に厚さ1〜2mの炭層が1層挟まれている。炭質は無煙炭の粉炭である。炭層周辺には植物化石のCladophlebis, Podozamites, Taeniopterisが含まれている。Oishi(1932)はジュラ紀中世としたが、その後中沢ほか(1958)は二枚貝化石が夜久野層群と共通することから、三畳紀古〜中世とし、夜久野層群とは同時異相であるとした。陸上の大型植物化石の産地として貴重であり、今後の研究や三畳系の模式的露頭として保護する必要がある。 |
現状 |
すでに採掘跡は破壊され、露頭は樹木等によって覆われている。ただし、地下には挟炭層の一部や含植物化石層が続いていると推定される。 |
保存に対する脅威 |
国道に近く、道路沿いの商店や施設の整備によって、露頭が破壊されたり、消失する可能性がある。 |
必要な保全対策 |
植物化石含有層については、露頭の消失を防ぎ、崖を保全する手立てを講ずる必要がある。 |