特徴(特異性) |
最も新しい地磁気極性逆転であるBrunhes/Matuyama境界は、酸素同位体期19で、78万年前とされている。この境界が大阪層群のどの層準にあるかを求めたのは、当初アズキ火山灰と深草火山灰とであった。アズキ火山灰(Ma3)が逆帯磁していることはKawai(1951)によって知られていた。その1層上の火山灰はMa4の上の深草火山灰で、深草と枚方市楠葉、堺市今熊の3地点16個の試料を測定して正帯磁であった。古琵琶湖層群では湖西のアズキ火山灰の上位にバイオタイト火山灰(Takaya, 1963)があり、逆帯磁であった。そのことからMa4付近にブリュンヌ/松山境界が求められた(Ishida et al., 1969;Maenaka etal.,1977)。この論文を読んだコロンビア大学のKukla教授が深草の大阪層群を見たいということで、鞍ケ谷付近を案内した。彼は深草火山灰直上の粘土とMa4の上限から2.5m下、すなわち下底から40cm上の海成粘土とを採集した。前者は正帯磁、後者は逆帯磁だったという。それらは交流消磁しても変わらなかったと手紙をくれた。その後日本でも残留磁気の弱い試料の測定が可能となり、消磁技術もいろいろ努力され、Ma4が正帯磁で(Nishida and Ishida,1975)、酸素同位体期19の高海水準の海進による海成粘土層であると認められた。 |