オニバス群落
分類 | 浮葉植物群落 |
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特徴 | オニバスは日本で最大の浮葉性の一年性水草であり、ため池などにごく普通の植物であったが、近年急速にその姿を消しており、環境庁のレッドデータリストでは絶滅危惧II類に、レッドデータブック近畿版では絶滅危惧種C類に位置付けられており、近畿地方でも地域によっては絶滅したとされている種である。一年性であるために、環境の変化があると簡単に姿を消してしまうような性質があると共に、その種子は長期間の休眠状態になることが知られており、長年消えてしまっていたような池で工事を行なうと、環境条件が変って突如として出現したというような例もある。葉は大型の円形であるために、広い面積を取るが、他の浮葉性水草との共存も可能で、ヒシ類などとともに見られる事が多い。 |
分布 | 本州、四国、九州のやや富栄養化したような池や川などで見られ、かつては広く報告があったが、今は極端にその分布場所が減っている。近畿地方でも現在確実な分布場所は非常に少なくなっており、府内では今回のリストの亀岡市馬路町中池や宇治市木幡池が知られている分布場所の一つである。さらに、伏見区横大路でも自生が知られている。 |
保存に対する脅威 | オニバスの生育条件はあまりよく分っておらず、またため池のように日常的に利用している場所にある群落であるため、その保全は困難な課題がある。現在の利用状況を変えずに活用し、水質等についても、変えないようにするには、その池だけの問題ではなく、その地域全体にかかわる問題となってくる。当面は池の生物や水質などのモニタリング調査を続けて、今後の管理の方針を決めていくことが必要であろう。さらに、かつて分布地であった地域では、当時の池堆積物中に休眠した種子が保存されていることから、このような堆積物の保存は、貴重な遺伝子保存の観点から重要である。 |