選定理由 | 府内における生息個体数が少ない。 |
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形態 | 成貝は殻長20~30mmで、最大48mmに達する。殻底肋は1~3本であるが、ほとんどの個体で2本である。次体層の縦肋数は10~16で、平均12.9である。殻表には縦肋を完全に分割する大きなイボ状の顆粒が3~5個ある。琵琶湖の北岸には、顆粒が縦肋を完全に分割することのないタイプ(肋型)が分布する。胎貝は殻長1.5~2.5mmで、殻表面はオリーブ色で、体層に3本の濃褐色の色帯がある。 ◎近似種との区別 縦肋を完全に分割する大きなイボ状の顆粒があることで、ほかのビワカワニナ類とは容易に区別できる。 |
分布 | 滋賀県、京都府、大阪府に分布する。府内では琵琶湖疏水、宇治川で記録がある。 ◎府内の分布区域 淀川水系。 ◎近似種との比較 ナカセコカワニナやタテヒダカワニナなどのほかのビワカワニナ類と混生している。 |
生態的特性 | 岩石、礫や人工湖岸などの硬い基質の上に生息するが、砂浜や深い泥底には生息しない。夏は浅い場所に生息するが、冬は深みへと移動して冬眠する。雌雄異体で、卵胎生である。メスの胎貝保有数は20~30で、平均18.5である。産仔は5~7月がピークである。ほとんどの個体は生後1年あまりで死亡し、2年以上生きるものはほとんどない。 |
生息地の現状 | 琵琶湖疏水では増えているとされていたが、過去30年ほど生息記録がないことが明らかになった。また、宇治川でも過去20年ほど生息が確認されていない。琵琶湖内には生息するが、瀬田川では近年生息が確認できていない。 |
生存に対する脅威 | 河川改修による生息場所の破壊や水質汚濁による環境の悪化。 |
必要な保全対策 | 安定して水が流れる場所に、天然石を利用した石積護岸を行うなど、生息場所の回復が必要である。 |
改訂の理由 | 過去20年以上、発見記録がない。 |
その他 | 日本固有種 |
文献 森(1972)、西野(1991)、紀平ほか(2003)
執筆者 近藤高貴