選定理由 | 本種の食草となるササ類が、おもにシカによる食害減少のために府内で急激に個体数が減少している。 |
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形態 | 前翅長23.0~27.0mmで、淡褐色~黒褐色の地色に黄褐色の斑紋をもつ。 ◎近似種との区別 キマダラモドキに近縁だが、前翅の翅縁が丸くなく、後翅の斑紋が眼状とならない。 |
分布 | 北海道、本州、四国、九州。国外では朝鮮半島、中国、ロシア南東部。 ◎府内の分布区域 京都府全域。 |
生態的特性 | 成虫は年1回、6月~9月に発生し、幼虫の寄主となるイネ科のクマザサ、チシマザサなどの植物周辺を飛翔するほか、近隣の花や樹液にも飛来する。越冬態は3~4齢幼虫。 |
生息地の現状 | 標高500m以上のササ類が下層植生として密生する雑木林に多産していたが、京都北山ではササ枯れとシカの食害により、食草であるササ類がなくなり、個体数は激減した。ただし丹後半島など、ササ類が枯死していない場所では現在も問題なく発生していると思われる。 |
生存に対する脅威 | 食草となるササ類のシカによる食害。 |
必要な保全対策 | シカの個体密度を規制し、ササ類を回復させることが保全の条件である。 |
改訂の理由 | 下層植生にササ類が生える山地の雑木林に多産していたが、ササ枯れとシカの食害で下層植生のササが喪失し、このような場所ではほとんど見られなくなっている。 |
執筆者 小野克己(補筆・吉安裕)