選定理由 | 北方性の種で、おもに本州中部以北から記録されている。京都では現在のところ深泥池1か所のみに分布が確認されていてる。局所的で種で生息地での個体数も通例では非常に少ない。しかし深泥池では例外的に非常に個体数が多く、特に浮島の中では多産し他には例を見ない密度である。浮島のような腐植層が極度に厚く堆積した特有の生態環境にとくに適応し、繁栄している種と考えられる。 |
---|---|
形態 | 体長3.0mmほどの小型のハエではあるが、オスに顕著な二次性徴があり同定しやすい。 |
分布 | 北海道、本州、全北区。 |
生態的特性 | 幼虫は水生で、腐植性。 |
生息地の現状 | 浮島は保護されているが、池の孤立化と環境の劣化が危惧される。 |
生存に対する脅威 | 長期的にみれば、浮島が次第に草原化してこの種の生息に不適となっていくであろう。 |
必要な保全対策 | 現在の保全策を継続し、環境の改変を行わないこと。ただし浮島の草地化は将来には対策が必要になるだろう。 |
改訂の理由 | 2002年版レッドデータブック作成時には、参照できる資料がほとんどなかったため、ひかえめな判断とせざるをえなかった。しかしその後の京都における調査および近隣地区の資料が増加したため、現時点において妥当と思われる評価に変更した。 |
文献 大石(2013)
執筆者 大石久志