選定理由 | 極めて稀な種で、かつ本州中部の日本海側にのみ局所的に生息する種である。この属の種は極めて普通にみられる1種を除くと、多く生息環境が限られていて、局所的な分布を示すものが多いが、この種はその中でも特に分布も限られ、生態にも特異性があるように思われる。この点日本海周辺の生物相の成り立ちを研究する上でも学術的に貴重な種である。 |
---|---|
形態 | 体長4.0mm程度で、小楯板の先端に突起がある。 |
分布 | 日本特産種で、京都府で記録されるまでは唯一滋賀県の琵琶湖からのみ記録されていた。 ◎府内の分布区域 京都府も2000年の宮津市の由良川河口の1例のみ。2014年の調査では未発見。 |
生態的特性 | 生態は不明であるが、幼虫は水生で珪藻を食すと思われる。 |
生息地の現状 | 現在のところ環境に大きな変更はない。 |
生存に対する脅威 | 護岸工事等による環境の変更、および生活用水の流入などによる水質の汚濁。 |
必要な保全対策 | 直接的には河口の護岸工事等による環境の変更を最低限にとどめることと、河川自体の水質の維持が必要である。さらにこれにとどまらず、河川の自然な更新と遷移が繰り返され、多様な自然環境が維持されるよう、流域全体の広域的かつ長期的な保全策が必要であろう。 |
改訂の理由 | 2002年版レッドデータブック作成時には、参照できる資料がほとんどなかったため、ひかえめな判断とせざるをえなかった。しかしその後の京都における調査および近隣地区の資料が増加したため、現時点において妥当と思われる評価に変更した。 |
その他 | 日本固有種 |
文献 大石(2002c)
執筆者 大石久志