選定理由 | 南方系の種で、1970年代に京都を含む本州、四国、九州の4か所から記録された種である。その後京都でわずか1個体が再発見されただけで、それ以外の報告がまったく見られない。小型種であり、記録されにくい種ではある。しかし分布域の広さからみても、近年の調査の精度であれば、引き続き記録されるはずである。減少は広範囲で起きているらしいことから、人為的要因を考えざるを得ない。この種の生息域を近縁の種から類推すれば、河岸あるいはその周辺の湿地にすむ種であるだろう。これらの場所の人工的改変に伴って生じる環境の変化の影響を特に受けやすい種と考えられる。 |
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形態 | 小型、下前側板に剛毛を欠くことによって近似種から区別できる。 |
分布 | 本州、四国、九州、東洋区、アフリカ、オーストラリア。 ◎府内の分布区域 宮津市。 |
生態的特性 | 不明。 |
生息地の現状 | 生息地周辺の大きな変更はないが、周囲の環境の変化および生活水による水質の汚濁などの多くの脅威は存在する。 |
生存に対する脅威 | 生息環境自体の消失。 |
必要な保全対策 | 再調査による生息地と生息環境の特定が先決。 |
改訂の理由 | 2002年版レッドデータブック作成時には、参照できる資料がほとんどなかったため、ひかえめな判断とせざるをえなかった。しかしその後の京都における調査および近隣地区の資料が増加したため、現時点において妥当と思われる評価に変更した。 |
文献 大石(2013)
執筆者 大石久志