膜翅(ハチ)目 ミツバチ科
クロマルハナバチ
京都府カテゴリー | 絶滅危惧種 |
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2002年版 | 絶滅危惧種 2002年版を参照する |
環境省カテゴリー | 準絶滅危惧(NT) |
選定理由 | もともと平地ではトラマルハナバチやコマルハナバチに比べて個体数は多くない種であるが、1980年頃までは京都府市内でも深泥池や東山近辺ではまずまず普通種であったが、最近、京都府市の市街地はもちろん貴船や芦生でさえほとんど姿を見ないくらいに減っており、ほぼ全域で絶滅が危ぶまれる。 |
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形態 | 体長19.0~20.0mm。黒色濃密な短毛に覆われ、ビロード状。オスは鮮黄色。ワーカーはコマルハナバチのメスと混同されるが、頭が大きく、毛が濃いことなどで区別される。 |
分布 | 本州、四国。九州。やや山地性のマルハナバチ。 |
生態的特性 | 森林の地中のノネズミなどの穴に営巣する、社会性のハナバチ。4月下旬から11月初旬まで営巣する。 |
生息地の現状 | 原因は不明だが、クロマルハナバチの個体数は激減している。コマルハナバチはまだ比較的よく観察される。場所にもよるが、コマルハナバチは5~6月に集中的に活動するので、それなりの個体数を維持しているようである。自然植生の大きな変化が、なんらかの形で影響している可能性も高い。1960年代の初めに、宮本セツ氏は農薬の乱用や自然植生の単純化の進行にともない、特にクロマルハナバチが減少しつつあると先見の明をもって警告している。残念にして近年、事態は破局的に展開している。 |
生存に対する脅威 | 長い営巣期間中、それぞれの季節に開花する植物に依存しているので、訪花植物の種類は多岐にわたる。自然植生の破壊によって、局所的に開花植物のセットに欠損が生じると、その影響を深刻に受ける。 |
文献 宮本(1961、1963)、加藤(1988)、角谷(1991)
執筆者 遠藤彰