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半翅(カメムシ)目 コオイムシ科
タガメ
Lethocerus deyrolli (Vuillefroy, 1864)
京都府カテゴリー | 絶滅危惧種 |
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2002年版 | 絶滅危惧種 2002年版を参照する |
環境省カテゴリー | 絶滅危惧Ⅱ類(VU) |
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選定理由 | 産地は京都府を含めてかなり局所的で、個体数も少ない。 |
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形態 | 日本最大の水生昆虫で、体長48.0~65.0mm。メスの方が大きい。体は灰褐色~褐色で、前脚はきわめて太い捕獲脚となり、先端には1本の爪がある。後脚は遊泳脚となり、とくに脛節は扁平で幅広く長毛が密に列生する。腹端には伸縮自在の呼吸管がある。翅は発達し、とくに後翅は不透明な白色で大きい。 |
分布 | 北海道、本州、四国、九州、琉球列島に広く分布。国外では台湾、朝鮮半島、中国、ロシア極東部のほか東南アジアに広く分布。 ◎府内の分布区域 亀岡市など局所的。 |
生態的特性 | 抽水植物などの水草が多い池沼や緩流(水路)などに生息し、太い前脚で魚やカエル(幼生、成体)、ヤゴなどを捕らえ、それらの血液や体液を吸収する。卵塊は水面上の茎などに産下され、それをオスが孵化まで保護する。成虫には強い正の走光性がある。 |
生息地の現状 | 生息池沼の周辺環境に大きな変化はみられないが、水田を含む農環境やその近郊市街地が前世紀後半に激変したため、個体数が激減したと思われる。 |
生存に対する脅威 | 乱開発による池沼の減少、農薬による水質汚濁、街灯の増加。 |
必要な保全対策 | 生息池沼において農薬流入を防ぐとともに、産卵基質となる抽水植物の維持保全を図る。 |
文献 林、宮本(2005)
執筆者 林正美(補筆:吉安裕)