蜻蛉(トンボ)目 エゾトンボ科
ハネビロエゾトンボ
京都府カテゴリー | 絶滅寸前種 |
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2002年版 | 絶滅危惧種 2002年版を参照する |
環境省カテゴリー | 絶滅危惧Ⅱ類(VU) |
選定理由 | 府内での記録はあるが、確実な生息地が不明であるため。 |
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形態 | 腹長37~50mm、後翅長39~45mm。金属光沢のある濃緑色のトンボ。未熟個体には胸部に黄斑があり、オスは成熟すると大部分が消失する。メスの胸部黄斑は成熟しても消失せずに残る。メスの産卵弁はクサビ状で長く下方に突き出ている。 ◎近似種との区別 オスは尾部上付属器の形状などにより、メスは産卵弁の形状などにより区別できる。 |
分布 | 北海道、本州、四国、九州に局地的に分布。 ◎府内の分布区域 山城地域、京都市・乙訓地域、中丹地域に記録があるのみ。 |
生態的特性 | 平地から丘陵地の、周囲に雑木林を伴う湿地や水田脇の細流に生息する。幼虫は水中の落ち葉等に潜んでいる。成虫は6月頃から出現し、盛夏~10月に見ることが多い。成熟オスは草木に囲まれた細流の上をホバリングしながら縄張り飛翔をする。メスは水深の浅いところで飛翔しながら打泥産卵を行う。 |
生息地の現状 | 過去に記録のある地域は、宅地開発により環境が大きく変わり果てた。本種の生息地となる環境は、開発による破壊と里山の利用放棄による荒廃が見られる。 |
生存に対する脅威 | 開発などに伴う生息地の破壊や消滅は、本種の生息にとって大きな脅威となる。 |
必要な保全対策 | 早期に現存する生息地を見つけ出し、保護対策を行う必要がある。 |
改訂の理由 | 生息している可能性はまだあると思われるが、本種の生息状況は不明である。2002年以降の調査でも再確認できなかったため、絶滅寸前種と判断した。 |
文献 尾園ほか(2012)、関西トンボ談話会(1975、2006)、山本ほか(2009)
執筆者 田端修