膜翅(ハチ)目 ハバチ科
クチナガハバチ
京都府カテゴリー | 絶滅寸前種 |
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2002年版 | 絶滅寸前種 2002年版を参照する |
環境省カテゴリー | 情報不足(DD) |
選定理由 | 1940年に京都府芦生から採集されたメス2頭、オス2頭をタイプシリーズとして記載されて以来、福岡県英彦山のみから記録がある極めて稀な遺存種であり、絶滅の可能性が高い。 |
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形態 | 体長はメスで5.5mm、オスで5.0mm。口器は極めて特化し、小顎ひげと下唇鬚は著しく伸長する。 ◎近似種との区別 ヒダクチナガハバチは腹部背面に黄紋を有する点で、本種と区別できる。 |
分布 | 日本固有種であり、現在のところタイプ産地である京都府南丹市美山町芦生以外では、福岡県の英彦山から採集記録がある。日本の冷温帯の林床部に早春出現する黒色の小さなハチであるため、発見される機会が少ないことも考えられる。 ◎府内の分布区域 中部地域。 |
生態的特性 | 生態は未知である。近縁属の構成種がいずれもシダ類を寄主植物としており、本種もシダを寄主としている可能性が高い。故竹内博士によると芽吹き始めたシダの1種に飛来したところを採集したとのことである。突出した口器は花蜜を吸うのに適した構造であることが想像できるが、その機能についても明らかでない。 |
生息地の現状 | シダハバチ類は単食性であるが、本種は芦生のブナ原生林の林床に生えるシダを寄主としていると思われる。おそらく日本のよく保存されたブナ原生林から再発見される可能性があり、原生林の状態を知る指標ともなり得る。 |
生存に対する脅威 | ブナ原生林の伐採、特に谷筋の道路整備によって絶滅するおそれが強い。 |
必要な保全対策 | 京都大学芦生研究林の保全が必要である。 |
その他 | 日本固有種 |
文献 Takeuchi(1941a、1941b)、Togashi(1972)、Naito(1973)
執筆者 内藤親彦