鱗翅(チョウ)目 タテハチョウ科
オオウラギンヒョウモン
京都府カテゴリー | 絶滅寸前種 |
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2002年版 | 絶滅寸前種 2002年版を参照する |
環境省カテゴリー | 絶滅危惧ⅠA類(CR) |
選定理由 | 全国的に激減しており、京都府内での1990年代以降の確実な記録もないため。 |
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形態 | 前翅長30.0~47.0mmの大型ヒョウモンチョウ。雌雄とも翅表は橙色で多数の黒色の斑紋があるが、メスの方がやや大型で地色が淡く、黒斑が発達し、翅もやや丸みを帯びる。裏面の地色は緑色がかり、和名の由来になっている銀白色紋が散らばっている。後翅裏面の亜外縁に沿って並ぶ斑紋は褐色となる。 ◎近似種との区別 ウラギンヒョウモンよりやや大型で、後翅外縁部に並んでいる紋(表面は黒で縁取りされた橙色紋、裏面は銀白色紋)の形がウラギンヒョウモンでは山型であるのに対し、本種では二山型(ハート型)である。ただし、ウラギンヒョウモンでも後翅肛角部付近の紋が二山型に近い形になることがあるので、大型のウラギンヒョウモンと混同しないように注意が必要である。 |
分布 | 日本では本州、四国、九州に分布するが、現在確実に生息しているのは中国地方と九州の一部のみ。府内にも各地に記録があり、木津川流域(周辺)は多産地として知られていたが、現在は生息していないと考えられる。 ◎府内の分布区域 北部地域(福知山市)と南部地域(宇治市、久御山町、井手町、京田辺市、山城町など)から記録がある。1980年頃までは、木津川沿いに生息地があったが現在は見られなくなっている。 ◎近似種との比較 近縁なウラギンヒョウモンは府内全域に広く分布し、普通に見られる。 |
生態的特性 | 成虫は、年1回、6月上旬~7月下旬に羽化し、夏眠後、秋に再び姿を現わす。食草のスミレ、ツボスミレが生える草原が生息地である。産卵は9月以降に行われ、ふ化した幼虫は摂食せず、1齢幼虫で越冬する。 |
生息地の現状 | 以前、多産していた木津川周辺の環境はあまり変わっていないようにも見えるが、草地の管理の仕方が変化したことなどにより、生息に適さなくなった可能性がある。 |
生存に対する脅威 | 全国的に激減しており、絶滅が心配されている種である。本種が急激に衰亡した原因としては、農業形態の変化による草原の減少や、農薬の過使用、過放牧による環境破壊などが原因となったという指摘がある。 |
必要な保全対策 | 現在、確実に生息している産地は確認されていないが、北部地域などを含め、今後、再発見される可能性があるので、調査の継続が必要である。 |