鞘翅(コウチュウ)目 コメツキムシ科
ナルカワナガクシコメツキ
京都府カテゴリー | 絶滅寸前種 |
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2002年版 | 絶滅寸前種 2002年版を参照する |
環境省カテゴリー | なし |
選定理由 | 全国的な希少種で、府内では京都大学芦生研究林から次の1例の記録のみ。「美山町芦生演習林, 18. v. 1975, 正木清採集」。 |
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形態 | 体長16.5~18.0mm。強壮で細長く背面は圧平され紡錘形状、上翅の肩部が最も広く両端に向かいほぼ直線的に狭まる。光沢はきわめて顕著。全身濃い赤褐色、触角と前胸背板の後角は広く、小盾板大部分・上翅の基部は細く、上翅末端は不明瞭に、肢部は多少とも淡色。体毛はあまり密でない黄褐色の長毛で顕著な黄金色光沢をもつ。触角は長くオスで末端節が前胸後角端を越え、メスでは達する程度。第2節は球形に近く第3節は長三角形棒状、メスではやや短い。第4節から明瞭な鋸歯状。前頭部は広く前縁に沿いやや凹み前頭縁線はよく縁取られ完全、前方に強く伸張し庇状に張り出す。前頭溝は浅いが広くやや凹む。頭頂点刻は大きく二重状で密、点刻間は平滑で点刻は接近し点刻直径とほぼ等しい。前胸は台形に近くやや広く、側縁線中央は平行状、後角部はわずかに後側方へ伸張。背面の後縁傾斜部では縦の短い凹陥部が認められる。後角は太短く三角状で先端はやや鋭く、長い1隆起線をもつ。後縁の基部溝は小さいが明瞭で凹陥部も浅いが長く明瞭。背板点刻は頭部のものより小さく疎でやや不規則。点刻間は平滑で点刻直径よりやや広い。上翅の条線は明瞭な細溝状で間室は平坦、表面は平滑、微細な点刻を疎布。前胸腹板突起は長く、前肢基節窩の後方でわずかに内方へ曲がり後方へ伸長し、先端は鋭く突出し、その腹面に小さい段刻をもつ。符節の爪には内側に鋭く長い小歯を8~9本もつ。 ◎近似種との区別 クシコメツキ類ではほとんどの種が一様に黒くほぼ同じ形状のため、その同定は困難であるが、本種は細長い体形で区別しやすい種である。日本で最も普通なクシコメツキM. legatus Candezeがやや似るが、これは体が幅広く前胸腹板突起は太い。更にナガチャクシコメツキM. spernendus Candezeにも体色及び著しい光沢により似る点はあるが、この種より明瞭に大きくオス生殖器の形状も明瞭に細長く区別は容易である。また別属のハネナガオオクシコメツキSpheniscosomus japonicus(Ohira)にも似た外見を持つが、これとは前胸腹板突起の構造が著しく異なる。 |
分布 | タイプ産地は三重県南亦山。京都では芦生研究林で1例知られる。 ◎府内の分布区域 南丹市美山町芦生研究林のみ。 |
生態的特性 | 生態の詳細は不明であるが、近縁種から考えると腐葉土などの土壌中で植物根系など食植性と思われる。 |
生息地の現状 | 森林帯に生息するようなので、現在の森林環境状態が維持されるなら安定であろう。 |
生存に対する脅威 | 人為的な破壊現象が進まない限りはあまり憂慮する事はないものと思われる。 |
必要な保全対策 | 生態が不明なので、現況の維持保全が望ましい。 |
その他 | 日本固有種 |
執筆者 岸井尚(加筆修正:水野弘造)