選定理由 | 生息地が局限され、地理的分布域の南西限にあたる。 |
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形態 | 殻径45~50mmの大型のマイマイだが、要注目種ナミマイマイや準絶滅危惧種ギュリキマイマイ(およびその平地型イセノナミマイマイ)に似るが、螺管の巻きはより太い。木津川流域の木津川市に生息し、城陽市からも記録がある。 |
分布 | 東北南部から近畿東北部にかけて広大な分布域を持つクロイワマイマイのなかでは、比較的小型の地方亜種で、伊吹山地(岐阜県、滋賀県境)から鈴鹿山脈(三重県、滋賀県境)を経て京都府南部にかけて分布する。 ◎府内の分布地域 山城地域の木津川市(加茂町)に生息し、文献では南山城村、城陽市での記録もある。 |
生態的特性 | 主として低山の森林に生息し、集落周辺の社寺や樹林にも見られる。通常は地上棲だが、活動期にはしばしば樹上に登り、樹幹で休眠する個体も見られる。 |
現状と脅威 | 生息密度はあまり高くなく、森林伐採などにより生息環境が劣化するおそれがある。集落の周辺の生息地では、開発行為により生息地が失われるおそれがある。 |
改訂の理由 | 既知の生息地が局限され、しかも集落や河川に近接した環境であるため、人為的な環境劣化による生息状況の悪化が懸念される。文献ではミノマイマイとして扱われているが、ミノマイマイは本来は岐阜県側の平地に見られる型に対する呼称であり、また、府内の既知の生息地は山がちな環境でその形態的特徴からイブキクロイワマイマイとした。 |
その他 | 日本固有種 |
文献 長谷川(1998)、中井ほか(2000)、大谷、中井(2011)、多那瀬、垂井(1972)
執筆者 中井克樹