選定理由 | 既知の生息地が限定的で、生息密度が低い。 |
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形態 | 成貝はマイマイ類のなかでは螺塔が著しく高まるドングリ型で、殻長は30mm程度になる。殻表はなめらかで鈍い光沢があり、淡黄褐色の地色に円い周縁部に濃赤褐色の細く明瞭な色帯をめぐらす。殻が薄質であるため、螺層部分の軟体表面の黒色のまだら模様が透けて見える。 ◎近似種との区別 同属のニッポンマイマイ類と多少似るが、螺塔がさらに高く、幼貝の段階から螺層周縁部が丸いことなどで区別できる。 |
分布 | 中部(長野県)から近畿北部を経て中国中部(広島県)にかけて分布する。 ◎府内の分布地域 丹後地域から京都市・乙訓地域にかけての山地に生息する。 |
生態的特性 | 主として山地の森林やその林縁部に生息し、落葉広葉樹林にもスギの植林地にも見られる。地上棲で草本の上を匍匐することも多い。 |
現状と脅威 | 生息密度は低く、森林伐採などにより生息環境が劣化するおそれがあり、近年のシカの増加による森林下層植生への食害も、地上棲の本種の生息に影響を与えることが懸念される。 |
改訂の理由 | 地理的分布域から推測される潜在的生息域は比較的広いが、既知の生息地はきわめて限定され、しかも主たる生息環境となる落葉広葉樹林は、シカ等の増加による植生、林床変化が生息環境の劣化につながる可能性が想定される。 |
その他 | 日本固有種 |
執筆者 中井克樹