選定理由 | 留鳥として年中府内に生息する。繁殖個体数は極めて少ないが、近年減少はしていない。 |
---|---|
形態 | 全長17cm。オスの夏羽では全体が暗青灰色で腹部は少し淡色。外側尾羽の白色はない。メスの頭央線と眉斑は黄褐色。頭側線と頬は褐色(頭頂に2本の褐色の頭側線)。背はオリーブ褐色で黒い縦斑がある。 |
分布 | 本州中部以北で繁殖し、本州南西部以南で越冬する。本州では日本海側の山地に多く、兵庫県氷ノ山でも繁殖記録がある。府内では芦生で繁殖し、冬期は全域で越冬する。 ◎府内の分布区域 全域(繁殖期は南丹市美山町)。 |
生態的特性 | 繁殖期はササの生えた亜高山針葉樹林や混交林で、冬期は山地の薄暗い林で過ごす。繁殖期は昆虫、冬期は木や草の種子を主に地上で採食する。巣は地上1~2mの低木の中、ササの茎が密生する上に乗せるようにつくる。造巣はメスのみが行い、5~8月に一腹3~5卵を産み、雌雄が約12日間抱卵する。 |
生息地の現状 | 府内では1982年頃から芦生のクマザサの生えた落葉広葉樹林で少数個体のさえずりが聞かれ、2001年に営巣が確認された。冬期は府内全域に少数が越冬する。府内では芦生でしか営巣が確認されていない。 |
生存に対する脅威 | 芦生の繁殖個体群は,シカによりササが消失し営巣環境が消失したため近年絶滅に近い状況になりつつある。 |
必要な保全対策 | 芦生の営巣地を保護し、他に営巣している地域がないか調査する必要がある。 |
文献 日高(監)(1997)、京都府(1993)、真木、大西(2000)、高野(1982)
執筆者 須川恒、梶田学